噛みつき評論 ブログ版

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コロナ被害最小でも何故か安倍政権は不人気

2020-04-26 21:55:28 | マスメディア
 欧米諸国では新型コロナウイルスが猛威を振るっている。一方、日本の状況は欧米ほど深刻ではない。主要国の4月24日現在の状況は以下の通りである。

     感染者数    死亡者数    100万人あたり死亡者数
米国    866646     49759      151.2
イタリア  189973     25549      421.6
フランス  159460     21889      326.8
ドイツ   153129      5575        66.8
日本     12388       317        2.5

 日本は感染者数も少ないが、100万人あたり死亡者数では圧倒的に少ない。米国の60分の1、イタリアの168分の1しかない。日本は欧米より早く感染が始まったがそれは日本に有利な要因ではない。欧米の方が準備の時間があったことを意味する。そのことを考慮するとこの日本の結果は抜きん出ている。

 これが政府のコロナ対策だけの結果であるとはむろん思わない。欧米とのこれだけの格差は政府の対応だけでなく、社会習慣の差、人種的な差、ウィルス株の性質の差など、まだ明らかにされていない要素があるのだろう。しかし政府の対応もあっての結果である。なにより圧倒的に死亡者数が少ないという結果が大事なのである。

 新型コロナウィルスの危機に対して、各国の政府では首相や大統領が陣頭指揮を執っている例が多くみられる。そしてその熱心な仕事ぶりが評価されたのであろうか、多くの感染者と死亡者を出しながらも、首相や大統領は多くの国民の支持を得ている。

 一方、日本の安倍内閣の支持率は逆に下降気味である。感染者数、死亡者数が圧倒的に少ないという結果が出ているのにもかかわらず、である。なんとも奇妙な国である。安倍内閣としては「こんなのやってられないよ」と言いたくなるだろう。なぜこんなことが起きるのだろうか。

 多くのメディアから遅すぎると言われた緊急事態宣言から2週間、感染者数はピークを過ぎ、下降線をたどり始めている。政府による外出自粛や営業自粛などの要請が効果を現し始めたと見てよいと思われる。制御の可能性が見えてきた。この先はわからないが、現在のところ、政府の方針は概ねうまくいっている。しかも欧米の強制ではなく緩やかな要請である。

 人と人との接触の制限は感染抑制に効果がある一方、経済活動に制約をもたらす。両者は二律背反(トレードオフ)の関係である。どの時点でどの程度の制限を課するかは、経験がないだけに難しい問題である。「やってみなければわからん」という部分があるのは仕方がない。

 緊急事態宣言を早く出せば感染はより抑えられる。しかし経済は大きい打撃を受ける。メディアの関心は初めの頃、経済ではなく、感染拡大に集中していたように思う。緊急事態宣言をしつこく促したのはそのためだろう。それで政府の対応はすべて遅すぎるという印象を与えることに成功した。

 織物を作っている知人の会社は売上が8割減で、悲惨な状況である。死活的な影響は旅行業界や飲食業界だけではないのである。緊急事態宣言の後、メディアの関心は経済に移り、政府の経済対策の批判に多くが費やされることになった。要するに政府批判が終始継続することになった。政権支持率が下がったのはこれらのことが影響していると思う。この背景には常に野党の立場で政権の足を引っ張る左派メディアの存在がある。本来の使命である報道よりも政治的な意図を優先するメディアの存在である。

医療崩壊を手助けする小池都知事

2020-04-19 21:55:54 | マスメディア
 私のように無職の人間にはコロナ禍の影響をさほど感じない。暇をつぶすのに慣れているから外出自粛と言われても平気である。しかし売り上げの急減に見舞われた方々、毎日リスクを負いながら仕事をする方々は大変だと思う。とりわけ医療関係の方々には頭が下がる。

 なんといっても恐ろしいのは医療崩壊である。医療崩壊が現実となれば多くの死者が出ると予想される。医療崩壊の理由のひとつに医療関係者の感染がある。イタリアでは医師だけで約100人が死亡したと言われる。たとえ死亡しなくても医療関係者が感染するだけで重大な影響を及ぼす。一人の感染者が出ると濃厚接触した数人~数十人が隔離されることになり、病院の機能は大きく低下し、治療を受けられない患者が続出する。この事態を防ぐのは防護服やマスクなどの医療資材である。

 小池東京都知事が中国に送った防護服は当初の10万着だと思っていたが、その後も送り続け、合計33万6000着にも上るという。防護服を寄贈した相手の中国はそれに報いるどころか、日本企業の中国内生産のマスクの輸出まで差し止めし、日本のマスク不足を招いた。防護服不足は深刻な問題になっており、小池知事の行為は東京の医療崩壊を強く後押しすることになりそうである。小池都知事の動機はいったい何なのか、都民に何の見返りがあるのか、疑念は尽きない。備蓄とはこのような非常時のために都税を使って用意された貴重なものなのである。都民の命を守るためなのである。大阪府は足りない防護服の代用として雨合羽を募ったが約30万着も集まったという。東京も真似をすればよいと思うが、防護服の不足に注目されると中国への寄贈にも注意が向くので、できないのではないか。

 たとえ弁舌が上手くても、数か月先の見通しさえできない人は政治家に向かない。豊洲移転のときも安全だけではなく安心も必要とわけのわからない理由で数百億円の損失を出したが、今回の防護服問題ではメディアは何故か沈黙を守っている。知事に弱みでもあるのか、それとも単に理解力がないだけなのか。知事の仕事はちゃんとしていても、僅かな金額の私的流用で大バッシングに遭って知事を辞めざるを得なくなった舛添氏のような人もいる。実に不合理でバランスが悪い。この不合理な報道を決めるのは何であろうか、メディアのアホさだけだろうか。メディアの報道によって選挙結果は決まると言ってよい。防護服寄贈問題を葬ってしまえば小池氏は再選される可能性が高い。民主主義なのだから。

 ところでこの新型コロナウイルスは人口ウィルスであるという説がある。明確な根拠のある話ではなさそうで、真偽のほどはわからない。しかし発生地の武漢には高度の設備をもつ武漢ウィルス研究所があり、ウィルスの研究をしていたことは間違いない。一方、この新型コロナウイルスの治療薬が次々と候補に挙がっている。日本のアビガン、オルベスコ、アクテムラ、米国のレムデシビル*、カレトラなどが有力視されている。これらは日本と米国の企業であり、断じて中国ではない。中国のウィルス研究所は果たして人類のためにウィルスによる疾病の治療法やワクチンを研究しているのだろうかという疑問が生じる。つまり本当の目的は軍事利用ではないかと勘繰りたくなる。

*レムデシビルは米ギリアド・サイエンシズ社の製品であるが、この会社はC型肝炎をほぼ100%治癒させる治療薬ハーボニーで有名である。ウィルス研究に熱心な中国から人類に役立つこのような製品が生まれればよいが、それは八百屋へ行って魚を求めることかもしれない。

新型コロナウイルスによる波紋

2020-04-12 21:53:14 | マスメディア
 中国の武漢から広がった新型コロナウイルスによって、世界がこれほどの影響を受けるとはほとんどの人は想像できなかっただろう。この世は何が起きるかわからない、と改めて思う。生物兵器を作ろうと努力を重ねてきた国々はこのコロナ禍を見て「よし、もっと強力なものを作ろう」と強く励まされたに違いない。将来、世界が滅びるとすれば、それはよく言われたように核ではなく、強力すぎるウィルスによることになるかもしれない。

 こういう時期の政治家はお気の毒である。前例のない事態を迎えると対応のマニュアルがない。役人の得意な前例踏襲が役に立たなくなるわけで、自分の頭で考えなければならない。習っていない問題を解けと言われたようなものだ。政治家は現状把握能力、先見性など、真価を問われることになる。コロナの感染が拡大してきても桜の会やモリカケを重視していたセンセイ方は…言うまでもないだろう。

 安倍首相の緊急事態宣言は危機感がよく伝わり、説得力があった。大阪の吉村知事、小池都知事もよく熱意が伝わる会見であった。ただ小池都知事には何かしらパーフォーマンスが感じられたのは、中国に防護服10万枚寄贈など先見性に問題があったためかもしれない。それらに対して、わが京都の西脇知事、門川市長はいささか精彩を欠く。せめて危急時には原稿を淡々と読むスタイルを改めてもらいたいと思う。それでは危機感がよく伝わらない。言葉で人を動かすのが政治家という商売なのだが。

 韓国の新興宗教、新天地イエス教会では大規模な集団感染が発生した。感染が自分の教会だけで起きたものではないと見せかけるため、感染者を他宗の教会に潜入させ感染を謀ろうとした凄い教会である。他国でも教会やモスク(イスラム教の礼拝堂)は感染の温床となった。どうやら信者たちに対して神のご加護はなかったらしい。14世紀、ヨーロッパではペストに襲われ、人口の3分の1が失われるという事態となったが、当時、強大な力をもっていたキリスト教会はペストに対して無力であり、そのために教会の力が低下して社会変動が起きたという。中世の人々でさえ、神の無力を知ったわけだが、現代の新天地イエス教会などの信者はどうなのだろう。興味をそそられる問題である。

 日本は中国から年間約44億枚のマスクを輸入してきたが、現在は週に1000万枚程度(年率で5億枚)に過ぎないとされる。中国は日本企業のマスク生産分も含め日本への輸出を停止させ、余ったマスクを困っているヨーロッパ諸国などへ売りつけているという。フランスにはマスク10億枚の輸出にファーウェイの通信システムの購入を条件としているという。日本は当初、中国へマスクや防護服を寄贈したのに、である。一方、台湾は日本に無償でマスクを寄贈するという。これに安倍首相が感謝の意を表すと中国が抗議してきた。どちらもマスク外交と言われるが、中身はいささか異なる。

 また、ロシア、カンボジア、カザフスタンなど11の食糧輸出国が、自国への供給を優先するため輸出規制を行っているそうだ。この動きがどこまで広がるかわからないが、真っ先に影響を受けるのは食料を輸入に頼る貧しい国々である。今後の広がり次第では日本の食糧輸入も影響を受ける恐れがある。なにしろカロリーベースの食料自給率が世界最低レベル、40%に達しない国なのだから。

 好ましいこともある。新型コロナウイルスは日本の安全保障を考えさせるきっかけになった。安全保障は軍事面だけではない。食料安全保障、エネルギー安全保障も国の存立にかかわる重大事であるが、メディアにはその認識がまったく足りないように思う。目先のことばかり追いかけているとそうなるのだろうけど。

色恋営業の滋賀県警敗北 誰も責任とらず、究極の無責任

2020-04-05 21:20:05 | マスメディア
 滋賀県東近江市の湖東記念病院で入院患者を殺害したとして12年間服役した元看護助手西山美香さんの無罪が確定した。4月2日、大津地検が上訴権を放棄したことによる。西山さんの逮捕から12年の服役を含め、無罪確定まで約16年の歳月が過ぎた。人生のもっとも輝かしい時期を殺人犯として獄中で過ごす、これほどひどい人権侵害はないと思うが、これに対して誰ひとり責任を取らず、謝罪すらない。

 彼女を殺人犯に仕立て上げたのは山本誠刑事(45)を中心とする滋賀県警とされる。しかしその事件の真偽を判断するのが仕事である筈の裁判所は一審、二審、最高裁とすべて誤りを犯した。何のための三審制か。この背景には起訴有罪率99.9%(年度により少し差がある)という日本独特の司法制度があると思う。

 99.9%という有罪率は起訴をする検察がほとんどすべての有罪・無罪を決めているということを意味する。裏返せば裁判所は有罪・無罪を決定するところではないということだ。主な仕事は検察側が求刑する量刑を2割ほど割引いて判決を言い渡すことである。99.9%を検察が決めるという状態では、裁判所は有罪・無罪の判断能力を求められないし、判断能力も維持できないだろう。

 99.9%の起訴有罪率は本当に有罪の者だけを起訴しているのだから優れた制度だ、と言う見方がある。確かにそういう側面はある。だが怪しい者でも起訴する自信がなければ野放しと言うことになる。しかし検察という捜査機関が裁判まで担うことは大きな問題である。裁判の本来の意味が失われるわけであり、北朝鮮並みのやり方になる。元判事の井上薫・弁護士は「私も刑事事件を2000件ほど手がけましたが、無罪判決は1件だけでした」と述べる。この方の場合有罪率は99.95%である。

 裁判所の判事と検事とは人事交流があり、両者の関係は友好的であり、緊張状態とは言えない。99.9%には裁判所の検察に対する信頼があると思われる。つまり両者は実質的に独立した機関とは言えないのではないか。

 西山さんの事件では彼女の無罪を示す証拠を警察が提出しなかったとされる。警察や検察は決して無謬ではない。偶然の出来事が誰かを犯人だと思わせるような状況を生むこともある。そうした場合の、誰もが間違うような場合の判断ミスは仕方がない。しかし、西山さんの事件はそうではない。無罪を示すような証拠を故意に提出しなかったことは山本誠刑事ら警察が西山さんを殺人犯に仕立て上げたこと、つまり自らが有罪の決定をするつもりであったことが推定できる。

 自然死した人を殺害したとして事件を創作し、殺人犯人をでっち上げるのは論外である。しかも犯人とされたのは軽度の発達障害のある若い女性である。社会経験の少ない弱い女性を大の男が寄ってたかって罪に陥れたもので、卑劣極まりない。警察・検察は事件の犯人を捕まえたら評価される。担当刑事は評価されたことだろう。その小さな評価と無実の女性のかけがえのない人生とは比較にもならない。事件の主役、山本誠刑事はその後特別公務員暴行陵虐罪で書類送検されたが不起訴、現在、県警本部警部に昇進しているそうだ。殺人犯をでっち上げても評価は下がらないようである。

 こんな理不尽なことが起きて、謝罪なし、責任なしでは納得できるわけがない。それがまかり通るなら、司法制度の問題と考えなければならない。残念なことにこの事件ではマスメディアの反応が弱い。前に書いたが、朝日に従軍慰安婦の記事を書いた植村隆氏の裁判に手弁当の弁護士が170名も駆けつけたのと大違いである。政治信条には熱心な彼らだが、本心では人権問題などには関心がないのかもしれない。偽善の匂いがする。

 こんな理不尽なことが起きることを防ぐにはマスメディアのキャンペーンによって制度を動かすしかないだろう。ダイオキシンや環境ホルモン、モリカケのような、ロクでもない騒ぎではなく、たまには役立つことをやっていただきたい。

 参考 関連拙記事
 事件の詳細をお知りになりたい方は片岡 健氏による次の記事が参考になります。
再審開始の湖東記念病院事件 県警の捜査資料から新たな疑惑