噛みつき評論 ブログ版

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安田純平氏は英雄か、それともただの無謀者か

2018-10-28 21:12:54 | マスメディア
 人物の評価がこれほど極端に分かれることも珍しい。シリアから解放された安田純平氏のことである。まず英雄と持ち上げた極論の主、テレ朝の玉川徹氏の発言の概要を紹介する。

「民主主義といっても国や企業で権力を持っている人たちは、自分達の都合のいいようにやって隠したいんですよ。隠されているものを暴かない限り、私たち国民は正確なジャッジができないんです。それには情報がいるんですよ。その情報をとってくる人たちが絶対に必要で、ジャーナリストはそれをやっているんです。フリーのジャーナリストは命を懸けてやっているんです。一番危ないところに行かれているんですよ、安田さんは。
 そういう人を守らないでどうするんだ。民主主義が大事だと思っている国民であれば、民主主義を守るためにいろんなものを暴こうとしている人たちを『英雄』として迎えないでどうするんですか」

 民主主義には情報が不可欠→だからジャーナリストには大きい価値がある→命を懸けた安田さんは英雄。こういう論法だが、なんとも粗雑かつ単純である。反論するのもバカらしいくらいで、まるで小学生の議論のようである。これではジャーナリストならなんでもOKということになる。自分の仕事の価値を大きく見せたいだけではないか。意図的に間違った印象を伝える有害ジャーナリストだって存在する。

 以下は10月27日のJ-CASTニュースに載った読者コメントだが、自己責任論の代表しているものの一つだと思うので以下に引用する。
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ビフォー
「俺たちの取材は自己責任なのだから、放っておいてくれ!」
「日本政府はすぐに『即刻退避しろ』と言ってくる。日本は、世界でも稀に見る臆病国家だ!」
「取材の邪魔をするな!」

アフター
「助けて~ 助けて~ 億単位の身代金払ってでもボクちん助けて~」
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 このコメントの前半は2015年の、シリアで捕まる前の安田氏の発言『戦場に勝手に行ったのだから自己責任、と言うからにはパスポート没収とか家族や職場に嫌がらせしたりとかで行かせないようにする日本政府を「自己責任なのだから口や手を出すな」と徹底批判しないといかん』を受けたものだと思われる。

 読者コメントの90%程度は批判的な自己責任論であり、安田氏擁護論はほとんどない。また玉川徹氏にも言えることだが、事情の一部しか判明していない段階で断定的な評価をするのは適切ではない。ただ、安田氏は今回が5回目という拘束のベテランであり、捕まる可能性が予見できたと考えられるにもかかわらず、誘拐・身代金保険をかけていなかったこと、またシリアに密入国した直後に拘束されるなど、計画に問題があったのではないかなど、気になる点がある。また300万ドルと言われる身代金が武装グループに渡ったとすると彼らの武装に使われる可能性があり、それはさらなる流血を招くかもしれない。従って現時点では多数派である自己責任論に納得できる点が多い。また安田氏が得た情報の重要さと日本が受けた被害の大きさも考量しなければならない。

 安田氏についてはいずれ明らかになると思うが、テレ朝の玉川徹氏の発言についてはその異様さが明確になったと思う。マスメディア、ジャーナリストの価値は言われるまでもないし、危険地帯に行くジャーナリストにも尊敬できる方がいるのは分かる。しかし芸能ネタ専門のジャーナリストもいるし、紛争地域で何回も捕まってしまう人もいる。また従軍慰安婦の強制連行などという虚報を意図的に流すジャーナリストもいる。民主主義に邪魔なジャーナリストも数多くいる。ジャーナリストという概念を純粋化しているところに問題がある。純粋な概念として扱うから奇妙なことになる。中学生並である。どうやら玉川氏は多面的、緻密な思考が不得意な方らしい。

 もし安田氏がジャーナリストとしての「信念」を貫き、来年あたり紛争地帯へ出かけてまた6回目の拘束を受け、身代金を要求される事態になったとしよう。玉川氏は彼をまだ英雄と呼ぶだろうか。玉川氏の理屈では捕まる回数が多くても英雄に変わらない筈だ。まさか英雄は拘束5回までとは言えまい。このような浅慮の人物を長年コメンテーターとして起用してきたテレ朝の見識もまた疑われる。テレ朝も同レベルなのだとすれば謎が解けるが。
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「しつこさ」は最高の素質

2018-10-21 21:11:09 | コラム
 しつこい人は嫌われることが多い。しかし「しつこさ」は本当に嫌われるだけの、負の素質なのだろうか。例えばこんな例はどうか。何年間も別離を強いられた恋人達がやがて再会し、めでたく結ばれる。この裏には何年もの間、飽きずに相手を慕ってきたという「しつこさ」がある筈である。但し、双方ともよほど異性に持てないための消極的選択の場合もあるだろうが、まあそれは別としよう。

 自然科学系のノーベル賞受賞者、彼らは能力と運に恵まれ、着眼が優れていることが多い。しかしそれだけでは足りない。何年間もひとつのテーマを追い続ける「しつこさ」が大きな要素であると思う。初志貫徹、不屈の精神、不変の信念、これらは何れも肯定的な意味に使われるが、平たく言えばどれも「しつこさ」のことであり、たいていの人があきらめてしまうことを頑固にやり通すことである。

 籠池氏は首相から「しつこい人」と評された。しかし、恐らくそのしつこさのおかげで小学校創立直前までこぎつけた。野党とメディアが政局に利用しようとする騒ぎに巻き込まれた結果、公金詐欺までが発覚し、服役する身となった。むろん小学校も夢に終わった。あんな騒ぎにならなければ詐欺は多分発覚していなかっただけに不運をお嘆きのことだろう。話が逸れたが「しつこさ」の価値に変わりはない。

「しつこい」と言うと悪いイメージが先行する。というか、そういう場合に使われるのが習慣になっている。だけどそれは気持ちが変わりにくいことを指しているだけで、不変の信念などという場合と同じである。硬直的な性格を別の言葉で表しているにすぎない。とすれば「しつこさ」は大事を成し遂げる場合には不可欠の要素と言えるのではないだろうか。
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野党百害、メディア百害

2018-10-14 21:47:13 | マスメディア
 塩野七生氏によると、ローマ皇帝の国民に対する最大の責務は「安全」と「食」の確保であるという。現代では防衛と経済である。これはいつの時代でも国の基本であり、最も重要なことなのだが、果たしてそれにふさわしい関心が払われているだろうか。

 津波のような自然災害でも百年も経験しなければその怖さを、その存在さえも忘れる。百年も続くとそれが永遠に続くものと思いやすい。70年の平和も同じ効果をもたらすのだろう。周囲の国が核やミサイルを持ち、海空軍力を急速に強化し、戦争の準備に精を出していても、対岸の火事のごとくある。防衛の必要がない国であっては軍事力は戦争か軍事的恐喝以外に使い道はない筈である。

 我が国は食料6割とエネルギーのほとんどを海外に依存しているから、海上輸送ルートは極めて重要である。しかし数隻の敵潜水艦で輸送ルートが壊滅する脆弱性をもつ。政府はインドやオーストラリアと軍事的な連携を強めていると小さく報道されているが、中国包囲と共にこれはシーレーンの防衛という意味があるのだろう。

 しかし、こうした防衛の問題に対し、野党とメディアの無関心は甚だしい。 ただ防衛力強化に反対の意思を示すことだけはある。地上配備型ミサイル迎撃システム「イージス・アショア」にだけは強い反対の意向を示した。これは中国のミサイルにも有効であり、中国の国益に沿った結果となった。どこの国のメディアなのかわからない。しかし一般に野党もメディアも防衛力の強化に積極的な関心がを示すことはない。

 また、経済では所得格差、資産格差が大きな問題となっている。「たったの62人」の大富豪が全世界の半分の富を持つ、あるいは世界の金持ち8人の資産と下位36億人のそれが同じとか、言われている。富裕層は経済だけでなく政治的な力をも持つようになり、格差はさらに拡大するとも言われている。この格差の大きさは古代の王国の時代を思い出させる。実質的な平等や機会均等はなきに等しい。この解決は難しいが、将来に向けての実に重要な社会問題である。

 以上、政治における重要な問題の例を挙げた。しかし野党とメディアにとってはこんなことはどうでもいいらしい。もっともっと大事なものがあるようだ。1年半にわたって騒いできたモリカケ問題である。政権の監視も結構だが、そればっかりで国会の機能を麻痺させては弊害の方が大きい。本来なら中国や北朝鮮の軍事力増大にたいして核の保有で対抗するとか、空母を作るとかの議論をしなければならない。そのような議論が堂々となされれば相手への牽制になるし、軍拡競争に陥る危険を、その愚かさを知らせることになる。つまり議論だけでも抑止力となる。このまま放置すれば軍事的劣勢を招くかもしれないが、それが平和を脅かすことは歴史が示すところである。

 「野党百害」は新潮45の最終号に載ったタイトルだが、よくできたタイトルである。
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虎ノ門ニュース

2018-10-07 22:41:51 | マスメディア
 虎ノ門ニュースという、ニュース専門のネットメディアがある。知名度も上がってきたのでご存じの方も多いと思うが、月曜から金曜まで、曜日ごとに決まった解説者と隔週ないし不定期出演者が様々なニュースを取り上げて解説するという趣向である。数か月前に知ったが、面白いのでよく見るようになった。

 ニュース番組と言ってもその解説が中心で、ニュースの背景など、地上波や新聞が報道しない話が多くある。とりわけ左派メディアが「政治的配慮」のために隠している事実などが強調される。レギュラー解説者は青山繁晴氏、百田尚樹氏、有本香氏らである。しばしば彼らは右翼と見られるようであるが、そうではない。左翼でないだけである。左翼のように特定の価値観に強く染まっていないだけであり、反左翼なら右翼という認識は誤りである。右翼という呼び名は街宣車で騒ぐ団体などに限定すべきであろう。

 私も、私の同世代と同様、戦後の左翼色の強い教育を受けて大きい影響を受けてきた。しかしいま、百田氏ら保守系の主張と左派の主張と比べた場合、現実との整合性に於いて、左派の主張は明らかに説得力がない。左派の非現実性はもう常識であるが、それは宗教や思想のもつ宿命なのだろう。思想性というものは完全に取り去ることはできないが、虎ノ門ニュースはかなり思想性が薄い。

 また出演者らは知識の豊富な方が多い。科学技術の分野は別として、全体として信用度は十分高いと思うし、教えられることも多い。もう一つの特徴は明るいという点である。下品が売りのような方もおられるが、雰囲気が明るく、笑いながら楽しく見られる点が好ましい。好対照なのがTBSのサンデーモーニングである。全員が今にも日本が滅びるかのような暗い顔をしている。一般に左翼の人にはなぜか暗い人が多いと感じる。年中、国や社会に不平不満ばかり言っていると本当にそういう気持ちになってしまうのだろうか。それともネクラ(根が暗いという意味の古いことば)な人が左翼になるのだろうか、興味深い問題である。

 先ごろ安倍首相が虎ノ門ニュースに出演されたが、このサイトの存在感が既に相当程度あるということなのだろう。これは、中高年が主な購読層である左派新聞が衰退傾向にあるのと対照的である。中高年は先に死に絶えるので新聞もやがて同じ運命をたどるだろう。逆に保守系のネットメディアは影響力を増すことになる。それにしても「洗脳」状態からの回復は時間がかかるものらしい。

 虎ノ門ニュースを見るにはいろいろな方法があるが、私はユーチューブで見ている。「虎ノ門ニュース」で検索すれば出てくる。
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