噛みつき評論 ブログ版

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英国の合理性と日本の硬直性

2021-03-08 21:22:18 | マスメディア
 英国が新型コロナワクチンの承認したのは昨年の12月2日、接種は12月8日から始まった。世界最速である。また法を改正し、約20時間の訓練をすることで医療資格のないボランティアによる接種を可能にし、接種のスピードを上げたそうである。そして国民にワクチン接種を早く行きわたらせるためにメーカーの推奨に反し、2回目の接種を遅らせるなどの方法をとっている。

 これに対して日本は承認は2月14日、接種の開始は同17日と約2か月半遅れている。承認が遅れた主な理由は外国人に対するデータだけでは人種間の違いがある可能性があるため十分とは言えず、日本人の治験データが必要であったためと説明されている。160人の日本人に対して治験を実施したそうだが、ワクチンの有効性と副反応を調べるためには驚くほどの少数である。ワクチンは健康人に使用するものであるから、重大な副反応は数万人に1人でも問題であり、160人のデータはないに等しい。

 これでも特例として通常より迅速に承認したそうである。規則を忠実に守って「正しく」対応した止むを得ない結果なのだろう。英国のようにボランティアを訓練して接種にあたらせるなど到底実現不可能であろう。1回接種だけでもかなりの効果があるというデータがメーカーからも出てきているが、それを接種計画に含めるという話は聞かない。

 最終の目的はできるだけ早く多くの国民にワクチン接種をすることで、コロナを収束させることである。遅れば遅れる程、感染者と死者は増える。日本では1日数十人の死者が出ており、1日50人と見ても2ヵ月半では3750人が亡くなることになる。

 ワクチンを素早く自国で作れないことも情けないが、他国のワクチンを購入しても接種開始が先進国中もっとも遅いグループになったことになぜかあまり批判が出ない。見習うべきは英国の柔軟性と合理性であろう。遅れればそれだけ死者が増えるという非常事態に際して、必要な法改正までして承認や接種実施を素早くできるようにしたことである。目的に対して合理的に、素早く対応できる柔軟な体制が羨ましい。もし新型コロナよりもっと致死率の高い病気の流行であったり、戦争などの安全保障問題の場合、迅速な対応がとれるかどうかは国の生死にもかかわる。

 死者が何千人増えたとしても160人の治験が必要と考える人の主張が通ってしまう組織の硬直性—非合理性が問題であるが、それを批判する動きが見えないことはもっと恐ろしい。2か月半の遅れの原因を日本の行政組織の問題として考えてほしい。法や規則を大事にすることも必要だが、それが現実と合わなくなっても変えないのは愚かであろう。戦後70余年経っても憲法を一言一句変えない硬直的な体質とも通底すると思う。かつて経済は一流、政治は三流と言われたが、その伝統は変わっていないようだ。ついでに言うと、マスコミも三流であろう。三流のマスコミから一流の政治は生まれない。