噛みつき評論 ブログ版

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温暖化はもう飽きたの?

2013-08-26 10:04:11 | マスメディア
 『今世紀末の地球の平均海面水位は、最近20年間と比べて最大81センチ上がり、平均気温は最大4.8度上昇すると予測した気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第1作業部会の第5次報告書案が22日、明らかになった。報告書の改定は6年ぶり。

 人間の活動が原因で地球温暖化が起きている可能性は「極めて高い」(95%以上の確率)と踏み込んだ表現となっており、二酸化炭素(CO2)の排出削減が急務であることを示す内容。今後の温暖化対策の基礎資料となる。9月下旬にストックホルムで開かれる世界の科学者と政府関係者らの会合で最終調整した上で確定し、公表される(共同)』

 これは8月22日の毎日新聞電子版に載ったものですが、あとはMSN産経ニュースが取り上げたくらいで、他の主要メディアは無視したようです。環境問題、とりわけ温暖化問題に熱心であった朝日とNHKが黙殺したのはちょっと腑に落ちません。IPCCの報告書案なんてどうでもよいと思っているのでしょうか。

 それにしても今年の夏の暑さは格別でした。しかしこの異常な暑さを温暖化と結びつけた報道は見かけませんでした。むろん地域的、短期的な異常気象を直ちに温暖化傾向の現われと見るわけにはいきませんが、平均気温が上昇したり、最高気温が過去の記録を超えたり、日本周辺の海水温が過去にないほど上昇すれば、温暖化を示す現象のひとつになり得ます。

 富士山の山麓に小さな地割れができただけで噴火の前兆だと大騒ぎするようなメディアが、この異常な高温に対して単に「暑い暑い」というだけの反応には疑問が生じます。温暖化との関係を探る報道が少しくらいあってもよさそうです。もう温暖化には飽きてしまったのでしょうか。

 私の素直でない心が勘ぐりたくなるのは、原発再稼動に反対するメディアは温暖化が大きなテーマになるのを阻止したいと思っているのではないか、ということです。温暖化が緊急の課題となれば、原発再稼動の必要性が増し、反対派は劣勢となるからです。

 ピュリツァー賞を受けた「銃・病原菌・鉄」はなかなか興味深い本ですが、著者の進化生物学者(地理・歴史学者ともいわれる)ジャレド・ダイアモンド氏は長期的・俯瞰的な観察に優れた人物です。朝日新聞(2012/1/3)のインタビューの中で次のように述べています(原発反対の朝日にとっては期待外れの答えであり、まさに薮蛇ですね)。

「原発事故もまた『リスクが過大評価されがちな事故』の典型例です。私たち米国人もスリーマイル島原発の事故の後、1人の死者も出なかったのに、新しい原発の建設をやめてしまいました。それはあやまちだったと思います。原子力のかかえる問題は、石油や石炭を使い続けることで起きる問題に比べれば小さい、と考えるからです」

 有名人の意見だから正しいとは限りませんが、少なくとも私の意見よりはずっと信頼性が高いでしょう。それはともかく原発に対しては賛否両論があることは周知の通りです。

 原発再稼動に反対という政治的主張のために、朝日やNHKが温暖化問題に触れないとしたら、それはアンフェアなやり方です。国民に判断を委ねるべきものを自分達で勝手に判断し、情報操作によって国民をその方向へ動かそうとするわけですから、ずいぶん僭越な態度と言わねばなりません。口先では民意、民意とわめきながら、その実、民主制度を骨抜きにする行為と言えるでしょう。
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朝日の主筆、韓国へ天下り

2013-08-19 10:02:06 | マスメディア
 8月15日に行われた全国戦没者追悼式での安倍首相の式辞が波乱を呼んでいます。朝日やNHKなどは「加害責任・不戦の誓い盛らず」などとトップニュースで大きく取り上げました。それに対して中国と韓国が敏感に反応して非難するという、いつものパターンとなりました。

 政府幹部は中韓両国に無用な刺激を与えるのは好ましくないとして靖国参拝を自粛しているようですが、これらのメディアはご親切にも新たな刺激を中韓に与えた形となりました。

 たとえ自らの信念に反することであっても、それを自制し、対立を深めるようなことを避けるのが大人のやり方でしょう。従軍慰安婦問題は朝日の誤報から始まったと言われていますが、いまや日韓関係全体を揺るがすほどの問題に発展しました。

 小さな正義であったとしてもそれが大きな対立を生み、関係全体が壊れて双方が不幸になることもあります。正義もいいですが、話がわかる相手であるかを見きわめることも必要です。少なくとも結果的には朝日は日韓対立の立役者と言えるでしょう。

 朝日の論説主幹、若宮啓文氏は2005年に「いっそ日本が竹島を譲ってしまい、韓国がこの英断を称えて『友情島』と名づけて周辺の漁業権を日本に認める」という夢想をコラムに書きました。「友情島」という名前からは「友愛」の鳩山元首相が想い出されますが、きっと頭の構造がよく似ているのでしょう。

 このコラムは批判を浴びましたが、これは朝日の姿勢の象徴ともいえます。若宮啓文氏は2002年に朝日新聞論説主幹、2011年からは主筆を務めた朝日のエリートです。ところが今年の1月16日に朝日を退職されたあと、2週間後の同月30日に韓国の東西大学の碩座教授に任命され、3月には国立ソウル大学日本研究所が客員研究員として招請されています(これらはウィキペディアによる。またこの事実は韓国系のメディアによって報じられましたが、国内メディアで扱ったのはごく一部です)。

 おそらく朝日在任中の「偉大な功績」が韓国に認められた結果なのでしょう。韓国の恩返しということであれば美しい話なのですが、対立している両国の一方を利すれば、他方は不利益を受けるのが普通です。公共財でもある朝日新聞を使って韓国に有利な報道をした結果としての就職ではないかという疑問が生じます。朝日の看板、報道の中立性にも強い疑問が起きます。もし右よりの産経記者が韓国の大学に「ワシも教授にしてくれ」と言えばどうなるか、たいへん興味深いことです。

 これは在職中に職務を利用して特定の者に便宜を図り、退職後に天下る、という構図に当てはまります。むろん意図的ではなく、偶然が重なったということもあり得ますが、そう信じる人は僅かでしょう。それにしても自ら疑いを招くようなことは避けるべきです。「李下に冠を正さず」であります。

 また、このような先例があると後輩に同じ道を開くことになりかねず、それによって新聞社の姿勢に影響が出ないはと言い切れません。通常の天下りは特定の業者への便宜であり、損失は金銭などの限られたものですが、世論に影響を与えることによって外国へ利益を提供する場合、国内側の不利益は計り知れません。

 かつて役人の天下りを散々非難したこの新聞はどのような弁解をするか、ぜひともお聞きしてみたいものです。
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戦争はマスコミの中で生まれる

2013-08-12 10:00:59 | マスメディア
「戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない。相互の風習と生活を知らないことは、人類の歴史を通じて世界の諸人民の間に疑惑と不信を起こした共通の原因であり、この疑惑と不信の為に、諸人民の不一致があまりにもしばしば戦争となった」

 これはユネスコ憲章の有名な部分です。この昔の記憶を想い出したのは言論NPOによる第9回日中共同世論調査の結果を見たからです。興味をある方は直接ご覧いただきたいのですが、まさにユネスコ憲章でいう「疑惑と不信」の模範例が見られます。主な部分を以下に引用します。

『日本人の中国に対する「良くない印象」は90.1%、中国人の日本に対する「良くない印象」は92.8%と、いずれも9割を超え、過去9回の調査で最悪の状況になっている』

『日本人の7割近くは中国を「社会主義・共産主義」と理解し、「全体主義(一党独裁)」や「軍国主義」が3割台で続いている。一方、中国人で今年最も多かったのは、現在の日本を「覇権主義」とみる人の48.9%で昨年の35.1%から大幅に増加した。また、「軍国主義」とみる人も昨年(46.2%)よりは減少したものの、41.9%と4割を超えている。日本を「平和主義」の国とみる中国人は6.9%しかいない』

『日本人の半数程度は、中国人を「勤勉だが、頑固で利己的、非協調的で信用できない」などと見ている。中国人の7割は、日本人は「好戦的で信用できず、利己的」と見ており、半数以上が「怠慢で、頑固で不正直で非協調的」と思っている。両国民ともに相手国への印象の悪化に伴い、国民性に対する評価を全面的に悪化させている』

『日本人は約半数が、「日本と中国の間で軍事紛争は起こらないと思う」と見ているが、中国人の半数以上は日中間で軍事紛争がいずれ起きると思っている』

『日本のメディアが日中関係に関して、「客観的で公平な報道をしている」とみている日本人は2割強に過ぎない。逆に8割を超える中国人が中日関係に関する自国のメディア報道が「客観的で公平」と思っている』

 長々と引用しましたが、なかなか興味深い調査結果です。相手国に対する認識が実際よりもかなり悪い方へ傾斜している様子がうかがえます。双方の国民の意識はそのほとんどが自国のマスメディアから与えられた情報によって形成されると考えられるので、ここに見られる意識はほぼ自国メディアの意識の忠実な反映と見て間違いないと思います。

 尖閣の領有権問題や歴史問題などがきっかけになったにしても、それは部分的な問題であり、ここまで相手国やその国民全体に対する悪感情を膨らませるのは不合理な反応です。これは両国のメディアが相手国のプラスイメージよりマイナスイメージを与える報道に熱心であった結果でしょう。

「日本のメディアが日中関係に関して、客観的で公平な報道をしている、とみている日本人は2割強に過ぎない」とありますが、これは日本人が自国のメディアをあまり信用していないことを意味します。メディアの信用度が正しく理解されていることであり、またメディアのコントロールがあまり効かないわけですから、安心材料でもあります。

「逆に8割を超える中国人が中日関係に関する自国のメディア報道が「客観的で公平」と思っている」そうですが、これは中国国民がメディアつまり政府の思うままにコントロールされることを意味し、不安材料であります。

 偉人伝、とりわけ子供向きの偉人伝には汚点など不都合なことが書かれることはまずありません。そのほうがわかりやすく、話としては面白いからでしょう。方向は逆ですが、メディア報道にも同様の傾向が見られます。

 不祥事などを起こした企業や組織の場合、良いことは報道されず、僅かなことでも悪いことは徹底的に調査・報道されます。正であっても邪であっても、予め決まった方向を補強するニュースに価値があると思っているのでしょう。集団リンチとよく似ています。しかしこのやり方は誤った認識を与えてしまいます。

 相手国に対する嫌悪や憎しみの感情が国民に広く浸透していることは戦争開始の条件のひとつです。そうでなければ戦争は国民に支持されません。いつもアレルギーかと見まちがうほど戦争に対して強い拒否反応を示しながら、着々と「戦争を人の心の中に生まれさせよう」としているもの、それが善人の顔をしたマスメディア、というわけです。逆に双方とも相手国の印象がよくなるニュースを通常通りに織り交ぜていれば有効な戦争抑止力になると思うのですが。
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まともな野党が存在しない理由

2013-08-05 10:05:26 | マスメディア
「わかっちゃいるけどやめられないのか。それとも自分たちの置かれている危機的状況が本当にわかっていないのか。参院選に惨敗した民主党のあぜんとする光景が続く」

「選挙中、各地を回って私も感じたのは「民主党にだけは投票しない」というすさまじいばかりの有権者の怒りだった」

 これは7月31日、毎日新聞に載った与良正男氏のコラムの一文です。民主党に対する失望や怒りは既に世の常識となっています。お気持ちはわかりますが、民主党は途中でおかしくなったのではなく、初めからおかしかったわけです。騙されていただけの話です。いまさら失望したり怒ってみても仕方がありません。見識の低さ、洞察力のなさを恥じるべきです。でなければまた騙されることでしょう。

 失望と怒りは専ら民主党そのものに向かい、民主党への投票を盛んに煽ったメディアには向かっていません。見事な責任回避策の成功といえますが、このままではメディアの責任も問われないまま過去の「事件」として忘れられることになるでしょう。

 55年体制以降、政権を取るだけの能力を備えた野党が存在しませんでした。93年からの短期政権を除けば、民主党は自民党以外で初めて本格的に政権を獲得した党なのですが、やらせてみればみごとに馬脚を露しました。わが国には国政を担当できる能力のある野党は育たなかったということでしょう。

 なぜまともな野党が育たなかったのでしょうか。有能な野党が存在する国は珍しくありませんから、日本で育たなかったのはそれなりの理由があったのでしょう。こじつけと言われそうですが、いつものようにメディアとの関係を考えたいと思います。政党は選挙によって決まるものですから、投票行動を左右するメディアの影響は大変大きいと考えられます。

 55年体制では与党は自民、野党は社会党という安定した体制が長く続きました。社会党はその非現実的性格のために多数の支持を得ることができず、万年野党の地位から抜けられませんでした。「何でも反対」していれば彼らはメシが食えたわけです。非現実的な主張を繰り返す政党に志ある有能な人が集まるとは思えません。真面目に政策を勉強しようという気持ちも生まれないでしょう。

 時代から取り残された政党であったにもかかわらず、生きながらえることができたのは左派系新聞の支援のおかげだと思われます。左派系新聞も安定した購読者を得て、両者は共存共栄の安定した関係を築き上げたのでしょう。イデオロギー色の強さはも安定化に役立ったと思われます。イデオロギーは宗教や麻薬と同じで、一度入り込めば簡単には抜けられません。朝日信者という命名は見事です。

 左派系新聞と左派政党の心地よい関係は既得権益化し、他の有能な政党を育てようという意欲を殺いだことでしょう。左派系新聞の頑固な保守的性格はこのような環境で育まれたのだと思われます。

 しかし旧ソ連の崩壊、中国のベトナム侵攻など、左派に都合の悪い事件が相次ぎ、さすがに左派勢力の凋落を防ぐことができなくなりました。そのとき現れた民主党は、社共に見切りをつけた人々の格好の受け皿になったと考えられます。自民嫌いの左派メディアはこれに乗ったわけですが、反自民でありさえすれば歓迎した観があり、政権運営能力など実際に重要な点にはあまり関心がなかったものと思われます。

 政権を担うことが決してない野党を永年支援していると、政権運営能力の重要さなど忘れてしまったのでしょう。また自民党の汚点ばかりが関心事になると、他の誰がやっても自民党よりもマシだと思えたのかも知れません。なぜメディアが無能な民主党を持ち上げたか、これはその理由のひとつになるでしょう。

 有能な野党が育たなかった理由は他にもいろいろあると思いますが、左派メディアの果たした役割は決して小さくないと思います。そして有能な野党がなかったために、政治的な成熟が遅れたと言ってもよいでしょう。かつて経済は一流、政治は三流と言われましたが、左派メディアの貢献はなかなかたいしたものです。

 以上はそのような可能性があるという程度の話ですが、ありがたいことに曖昧さは人文科学の特性であり、その証明も、そして反証も困難です。それをいいことに書いているのですが、まあこのような視点からの観察や研究があれば面白いのではないかと思う次第です。
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