マクドナルドの騒動について、鶏肉偽装の際にも取り上げているので、一応触れておこうと思います。今回の件に関しましては、気になっていることが大きく2点あります。
まず1点目。今回の件はネットでもいろいろ騒がれているように、寄ってたかってマクドナルドを叩くほどの問題なのかという点。確かにナゲットへの異物混入とは言え、期限切れ鶏肉の使用という前回の不祥事に比べればさほど目くじらを立てるほどの騒ぎなのかという気もするわけで、少なくとも健康被害への懸念は圧倒的に少ないと思われます。多々目にする「この程度の問題は、マクドナルドに限らずファーストフードやファミレスレベルではよくある話」というネット上の書き込みもごもっとも。表に出ていないこの手の事件は枚挙にいとまがないような気もします。
言ってみれば「値段なり」と言うことなんじゃないかと。となれば、マクドナルドの衛生管理を云々するよりも、「安かろう、悪かろう」というプライスとクオリティの関係を、消費者は今一度落ち着いて認識する必要があるのではないかという方向で考えるのが正しいように思うのです。もちろん、口に入る物を扱う企業として最善の策を講じるのは必要な対応であるとは思います。そうは言っても安全性を高めるためには当然コストがかかるわけで、安全コストが価格に反映される流れから考えれば、安全性が価格に比例するのは当たり前の話と言えるのではないでしょうか。
1個数千円もするハンバーガーを扱っているような高級レストランで同じようなことが起きたのならまだしも、1個100~200円の商品をメインで扱っているファーストフード業態に完璧な管理を求めるのは酷かもしれない、と言ってはいけないのかもしれませんが、コスト構造から当然のリスクとして消費者は認識すべきであるとは思うのです。そもそも昨年のマクドナルドのケースでは、低価格製造を目的とした中国生産拠点で問題が発生しその代替先がタイだったわけで、食の安全性リスクはあくまでコスト優先の考え方の中で最小化をはかる対応であったことは明白な事実だったと言えるのです。
マクドナルドがコスト優先をはずして本気で抜本的な安全体制確立をめざすという姿勢を取るなら、国内生産に移行するという方向を選ぶのが当然の選択でしょう。ただし、それをすればコストアップは必至。消費者の安心感や安全性イメージの向上には寄与するでしょうが、商品の価格は大幅な値上げを余儀なくされることでしょう。すなわち、「安かろう、悪かろう」から「高かろう、良かろう」路線への移行です。ただ、それをするとなると完全に今のビジネスモデルを再構築しなくてはいけなくなるわけで、現実的には一朝一夕にこの路線変更ができるものではありません。ただ今マクドナルドは、ビジネスモデル見直しすらありうる厳しい岐路に立たされている、ということだけは確実に言えると思います。
気になる点の2つ目。マクドナルドで発生した今回のトラブルの良し悪し、同時に今回のマスコミによるマクドナルド袋叩き報道の良し悪しは別として、昨年夏の中国鶏騒動のほとぼりが冷めぬ段階での今回の異物混入騒ぎという流れに対する、経営としての対処姿勢が現状でいいのかという問題です。
すなわち今回の事例において、たかだかビニール片の混入ごときで海外出張中のトップを引っ張り出してまで会見する必要はないだろう、という判断が果たして正しいか否かです。会見に出てこないカサノバCEOけしからんとかいう、そう言う観点からではなくです。あくまで経営として、前回不祥事からの流れの理解とメディアや世間がどう反応するかを先読みするリスク把握力が求められてはいないか、という観点です。
前回からの流れはこうです。前回カサノバCEOはなかなか会見に応じず、応じたと思ったら被害者然とした物言いであった、と各方面から批判を受けました。前回不祥事での信用失墜とこのようなマスコミ対応のまずさがあった中で、不祥事の健康被害レベルは別として今回再び不祥事が報じられるという事実には、広報的な対応をまちがえれば経営的に危機的な局面に至りかねないとの判断こそ、組織防衛の観点からは必要なのではないかと思うのです。
加えて社会情勢の問題。メディアや世間の見る目は、直近でペヤング=まるか食品のカップ麺異物混入事件があったばかりでもあり、それを勘案すれば必要以上に慎重な対応が求められてしかるべきだったとも思えるのです。「トップが出てこないのはけしからん」という話とは関係なく、組織防衛の観点からはやはりトップ自らが速やかに会見し安全対策に対する明確な対応姿勢を示すことで、企業としてのさらなる信用力失墜だけは最小限に食い止める必要があるのではないかと考えます。
マクドナルドの今回の不祥事報道は、発生の段階で既に食の安全性の問題を越えて企業としてのマクドナルドの信用問題に展開していたと受け取るべき問題であったと思っています。不祥事そのものはたいした問題ではなくとも、企業の組織防衛のあり方はその時々の複合的な要素で時々刻々変化するので、その対応は非常に難しいと痛感させられる出来事であります。
まず1点目。今回の件はネットでもいろいろ騒がれているように、寄ってたかってマクドナルドを叩くほどの問題なのかという点。確かにナゲットへの異物混入とは言え、期限切れ鶏肉の使用という前回の不祥事に比べればさほど目くじらを立てるほどの騒ぎなのかという気もするわけで、少なくとも健康被害への懸念は圧倒的に少ないと思われます。多々目にする「この程度の問題は、マクドナルドに限らずファーストフードやファミレスレベルではよくある話」というネット上の書き込みもごもっとも。表に出ていないこの手の事件は枚挙にいとまがないような気もします。
言ってみれば「値段なり」と言うことなんじゃないかと。となれば、マクドナルドの衛生管理を云々するよりも、「安かろう、悪かろう」というプライスとクオリティの関係を、消費者は今一度落ち着いて認識する必要があるのではないかという方向で考えるのが正しいように思うのです。もちろん、口に入る物を扱う企業として最善の策を講じるのは必要な対応であるとは思います。そうは言っても安全性を高めるためには当然コストがかかるわけで、安全コストが価格に反映される流れから考えれば、安全性が価格に比例するのは当たり前の話と言えるのではないでしょうか。
1個数千円もするハンバーガーを扱っているような高級レストランで同じようなことが起きたのならまだしも、1個100~200円の商品をメインで扱っているファーストフード業態に完璧な管理を求めるのは酷かもしれない、と言ってはいけないのかもしれませんが、コスト構造から当然のリスクとして消費者は認識すべきであるとは思うのです。そもそも昨年のマクドナルドのケースでは、低価格製造を目的とした中国生産拠点で問題が発生しその代替先がタイだったわけで、食の安全性リスクはあくまでコスト優先の考え方の中で最小化をはかる対応であったことは明白な事実だったと言えるのです。
マクドナルドがコスト優先をはずして本気で抜本的な安全体制確立をめざすという姿勢を取るなら、国内生産に移行するという方向を選ぶのが当然の選択でしょう。ただし、それをすればコストアップは必至。消費者の安心感や安全性イメージの向上には寄与するでしょうが、商品の価格は大幅な値上げを余儀なくされることでしょう。すなわち、「安かろう、悪かろう」から「高かろう、良かろう」路線への移行です。ただ、それをするとなると完全に今のビジネスモデルを再構築しなくてはいけなくなるわけで、現実的には一朝一夕にこの路線変更ができるものではありません。ただ今マクドナルドは、ビジネスモデル見直しすらありうる厳しい岐路に立たされている、ということだけは確実に言えると思います。
気になる点の2つ目。マクドナルドで発生した今回のトラブルの良し悪し、同時に今回のマスコミによるマクドナルド袋叩き報道の良し悪しは別として、昨年夏の中国鶏騒動のほとぼりが冷めぬ段階での今回の異物混入騒ぎという流れに対する、経営としての対処姿勢が現状でいいのかという問題です。
すなわち今回の事例において、たかだかビニール片の混入ごときで海外出張中のトップを引っ張り出してまで会見する必要はないだろう、という判断が果たして正しいか否かです。会見に出てこないカサノバCEOけしからんとかいう、そう言う観点からではなくです。あくまで経営として、前回不祥事からの流れの理解とメディアや世間がどう反応するかを先読みするリスク把握力が求められてはいないか、という観点です。
前回からの流れはこうです。前回カサノバCEOはなかなか会見に応じず、応じたと思ったら被害者然とした物言いであった、と各方面から批判を受けました。前回不祥事での信用失墜とこのようなマスコミ対応のまずさがあった中で、不祥事の健康被害レベルは別として今回再び不祥事が報じられるという事実には、広報的な対応をまちがえれば経営的に危機的な局面に至りかねないとの判断こそ、組織防衛の観点からは必要なのではないかと思うのです。
加えて社会情勢の問題。メディアや世間の見る目は、直近でペヤング=まるか食品のカップ麺異物混入事件があったばかりでもあり、それを勘案すれば必要以上に慎重な対応が求められてしかるべきだったとも思えるのです。「トップが出てこないのはけしからん」という話とは関係なく、組織防衛の観点からはやはりトップ自らが速やかに会見し安全対策に対する明確な対応姿勢を示すことで、企業としてのさらなる信用力失墜だけは最小限に食い止める必要があるのではないかと考えます。
マクドナルドの今回の不祥事報道は、発生の段階で既に食の安全性の問題を越えて企業としてのマクドナルドの信用問題に展開していたと受け取るべき問題であったと思っています。不祥事そのものはたいした問題ではなくとも、企業の組織防衛のあり方はその時々の複合的な要素で時々刻々変化するので、その対応は非常に難しいと痛感させられる出来事であります。