日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

アベノミクスを腰折れさせないカギは銀行にあるというお話

2013-10-22 | 経営
先週の事ですが、地元選出の国会議員と意見交換をしました。テーマは「アベノミクスを本物にする中小企業の活性化」。その場では、中小企業経営を知る立場からいろいろ要望を含めお話しさせていただきましたので、この場でも少しまとめておきたいと思います。

まず今なにより必要なことは中小企業のトップライン支援、すなわちいかにして彼らに売上の増加をもたらすか、です。昭和の大企業系列下の中小企業群は既になく、どこの企業も少数の大企業に頼り切った受注体制では生き残ることが難しく、自力で売り先を探すことが発展に向けた生命線を握っていると言っても過言ではありません。

しかし、豊富な情報や人脈を持つ企業はごくごく限られた存在であり、販路を拡大するための外的支援こそ中小企業が今本当に必要としているところなのです。そのために必要なものは、中小企業同志あるいは中小企業と大企業のマッチングを支援する組織の存在です。今までも公的機関が仲立ちをしているとお考えの向きもあるかもしれませんが、まだまだ質、量ともに全く足りていないのです。公的機関で足りないとするなら、どこがその仲介ふさわしいのでしょうか。

私は、その役割を担えるのは地域金融機関をおいて他にないと思っています。仲介者としての信用力と法人取引先を多数抱えるビジネスモデルは、まさしくビジネス・マッチングに仲介役に最もふさわしい存在です。彼らは現状でも、一部取引先の業務斡旋をおこなってはいますが、あくまで取引先へのサービスの一館程度。ではその拡大に向けて何がネックになっているのかと言えば、業務斡旋があくまでサービスであり彼ら自身の単純にビジネスになっていないと言うことではないのでしょうか。

ならば業法を変えて、業務斡旋で銀行が手数料をとれるようにすればいいのではないでしょうか。銀行自体も時代の流れと共に、ストックビジネス一辺倒を改め手数料稼ぎをメインとしたフロービジネスの比率を高めてきています。しかも、仲介ビジネスには、失敗をしても銀行の経営基盤を揺るがすようなリスクは存在しません。その意味においては、銀行の持つ情報とネットワークを活用して、トップライン支援を通じた中小企業活性化につなげる最良の策ではないかと思うのです。

この施策を本業務を当面は地域金融機関にのみ認可することで、経営環境の厳しい一部金融機関の収益増強策にもつながるでしょう。また、メガバンクのリテール戦略によって地域金融機関とメガバンクの色分けが分かりにくくなった昨今、地域金融機関の特性を利用者に対して明確にしていく意味においても大変意義のある施策なのではないかと思うのです。実現に向けて超えるべきハードルはたくさんあるとは思いますが、なんとか実現に向けて検討をしてはいただけないものか、私は先日の議員さんとの懇談会で力説しておきました。

アベノミクスで回復基調と言われる日本経済の腰が、伸びるか折れるかは産業の底辺を支える中小企業次第です。我が国には優秀な中小企業もたくさん存在します。そして、そのすぐれた技術やサービスを必要としている企業もまた、たくさん存在しているはずなのです。要はそれをつなげることができるなら、優秀な中小企業は大企業にぶら下がるだけでなく大きく発展できる可能性も秘めているのです。

中小企業を育てることは地域金融機関の責務であると政治も原点に立ち返って自覚をしていただき、地域金融機関の持てる情報力を最大限に活かしより現実的な中小企業支援につなげられるよう、政治的後押しにより実現して欲しいと願うところです。

※これとは別に、消費税増税対策につながる私的中小企業活性化策もお話しています。こちらはジャスト・アイデアレベルですが、改めて紹介します。