(2)「水は出しません。」
東京・港区のある洋風カレー屋が出している看板です。
「本格的手造り」を謳い、1500円の値段から見ても、主人自慢のカレーのようです。
ここで注目したのは、カレーの評判ではなく、下段にある「お水はいっさい出しません」という断り書きです。
カレー屋なのに水を供しないとはどういうことでしょうか? 少し口内が熱く感じたら水を飲みたい、という客がいてもおかしくないでしょう。
しかし、「お水は出しません」とわざわざ客をけん制しているのです。その上、「いっさい」という副詞まで添えています。
このカレー屋の主人は、単に、カレーに自信があるだけでなく、自らの考える食べ方を客に要求しているようです。これは大きな勘違いです。
カレーを水と一緒に賞味しようがしまいが客の自由で、店の主人が指示することではありません。
折角のおいしいカレーなので、水なしでその真髄を味わってほしいという店の主人の願いは分からないではありません。しかし、だからといって、水を要求する客の願いを踏みにじる権利は店の主人にはありません。
ぎりぎり許せる表示は次のようなところでしょうか。
「ご希望の方には水をお出しします。」
「ミネラル・ウォーター(200円)あります。」
(2008/8)