静聴雨読

歴史文化を読み解く

公営競技雑感・4

2010-11-07 05:58:52 | スポーツあれこれ
競輪は、競馬と対照的で、「人が走る」。その点では、陸上競技などと共通する、身体能力の勝負が見物だ。

競輪には、もう一つ、別の要素がある。それは、「チームを作って走る」ことだ。これは、説明を加えないとわからないだろう。

競輪は9人の選手で走る。その9人の選手が、いくつかのチームに分かれるのだ。典型的なのが、「三分戦」といわれる、3人ずつの3チームに分かれる場合だ。チーム分けの決まり方は知らない。よくあるのは、「北関東」とか「中部」とかの同郷同士がチームを組む場合だ。

チームの中には序列があり、一番強い選手が縦1列の真中を占め、次に強い選手が先頭、一番弱い選手がしんがりを勤めるというのが定番だ。これには理由があり、競輪は向かい風に弱い。したがって、先頭選手は向かい風の抵抗をかぶるので、不利だ。2番手の選手は、先頭の選手の後ろにいるため、風の抵抗が少ない。その特等席は一番強い選手が取るのが暗黙の了解になっている。

では、なぜ、一番弱い選手が先頭を走らないのか? それでは、「レースを作れない」のだ。ほかのチームとのかけひきを行うには、先頭選手は、いつでも、飛び出せる脚力が必要なのだ。

こうして、3人のチームで、ほかのチームとのかけひきを繰り返して、ゴールをめざすわけだ。もちろん、最後には、落伍する選手が出てくる。それは、チーム内の3番手の選手に多い。

1着・2着は、Aチームの2人かBチームの2人かCチームの2人かで決まることが多いのが競輪の特徴だ。

チームワークが要求される競輪だが、事前にチーム内で相談できるのだろうか? 競技前、選手は宿舎に隔離されているのだが、選手同士で打ち合わせすることができるのだろうか? これは知らない。おそらく、事前の打ち合わせはできない仕組みになっていて、選手同士の連携は阿吽の呼吸で行っているのだろう。その意味で、競輪は最も人間臭い競技といえる。

ボートレースは、公営競技の中では、最も人気の高い競技だが、その人気の理由がわからない。
水面を4周ほどするレースなのだが、スタートして最初のターンを成功させた選手がほぼ1着になるという、単純なものだ。

もちろん、フライングすれすれのスタート技術だとか、ターンの技術だとかがレースを決めることはわかるが、それが最初のターンで決まってしまい、あとは流しているだけ。これのどこが面白いのだろう。

オートレースは、あの爆音が耐えられない。  (2010/11)