アイヌ民族情報センター活動日誌

日本キリスト教団北海教区アイヌ民族情報センターの活動日誌
1996年設立 

「平成28年度 人権教育及び人権啓発施策」

2017-06-21 10:47:00 | 日記

法務省のHPにて、「平成28年度 人権教育及び人権啓発施策」が発表されました。「人権教育及び人権啓発の推進に関する法律」(平成12年法律第147号)の7条、8条にはこう定めてあります。

第7条 「国は,人権教育及び人権啓発に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため,人権教育及び人権啓発に関する基本的な計画を策定しなければならない。」

第8条 「政府は,毎年,国会に,政府が講じた人権教育及び人権啓発に関する施策についての報告を提出しなければならない。」

これに基づき、毎年、前年度に各府省庁が取り組んだ人権教育・人権啓発の施策について報告が義務付けられています。

「第2節 人権課題に対する取組 6」に「アイヌの人々」の項目にて、アイヌ民族への施策の報告が41頁から4頁にわたって報告されています。http://www.moj.go.jp/content/001226228.pdf

前文には、アイヌ民族は近世以降の同化政策等により文化の十分な保存・伝承が図られていないし、偏見や差別が依然として存在していることを認め、昨年度の取り組みを9項目に分けて報告しています。

(1) アイヌの人々に関する総合的な政策の推進

(2) アイヌ文化の振興,アイヌの伝統及び文化に関する普及啓発

(3) アイヌ関係の文化財の保護等に関する取組

(4) アイヌの人々に対する偏見・差別を解消し,アイヌの人々の尊厳を尊重する社会の実現を目指した啓発活動

(5) 学校教育におけるアイヌの人々に関する学習の推進

(6) 各高等教育機関等におけるアイヌ語等に関する取組への配慮

(7) 生活館における活動の推進

(8) アイヌの人々の人権をめぐる人権侵害事案に対する適切な対応

(9) 農林漁業経営の近代化を通じた理解の増進

 人権啓発として「アイヌの人々に対する理解を深めよう」(P5他)と書かれています。また、「(1)アイヌ民族への総合的な政策の推進」には、「先住民族の権利に関する国際連合宣言」(2007年9月)や衆参両院の「アイヌ民族を先住民族とすることを求める決議」(2008年6月) に触れて「総合的な政策の推進」を行なっているとは言うものの、肝心な先住民族として認められるべき先住権、自己決定権に関しては何の言及もなく、表面的な取り繕いに過ぎないとしか思えません。「アイヌ民族」との表記を一切せず、「アイヌの人々」で一貫しているのは、要は先住民族アイヌの重要な権利を無視し続けているからなのでしょう。それでいて「先住民族の権利に関する国際連合宣言」を用いるとは世界の先住民族、もちろんアイヌ民族に対してたいへん失礼な話です。 

2020年のアイヌ政策の「扇の要」として位置付けられている「民族共生象徴空間」の慰霊施設に関して、当ブログでも何度か扱いましたが遺骨返還の問題が残されたままです(この報告には一切記載なし)。

 

「活動日誌」と言いながら、最近、報告が出せずに残念です(今回も教会チャリティーフリーマーケットの準備中に休憩しつつUPしました)。

以下の活動をまとめて報告します。

5/16 北大開示文書研究会で札医大を訪問し、DNA研究に関する質問書を提出(詳細後日)。

5/22 台湾基督長老教会のアミ中会20名とアイヌ民族のフンベシスターズのコンサート開催。

5/23 バプテスト連盟全国少年少女・隣人に出会う旅in旭川スタッフ準備会協力。

6/ 2 縄文の丘北黄金貝塚、昭和新山アイヌ記念館見学

6/ 8 第27回銀の知里幸恵生誕記念祭 参列エゾカンゾウ供花

6/17 第38回樺太移住殉教者墓前祭 参列供花

 

台湾基督長老教会のアミ中会20名が5/18~24に来道し、名寄のキリスト者農民との交流、田植え体験、二風谷訪問、二風谷博物館にて関根健司さんから詳しく説明を伺いながら見学。最終日には北海道クリスチャンセンター(協力)にて、アイヌ民族のフンベシスターズと共にコンサート開催し、60名が集いました。

アミ民族は台湾原住民(ユェンツーミン)の中でいちばん人口が多く、台湾の広範囲に居住し、色彩豊かな衣装とフォークダンスのような踊りが日頃より行われています。アミ中会は花蓮県境界内の59教会で構成されています。

最後には皆で輪踊りをしました。下の写真は小さな輪の部分。


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