アイヌ民族情報センター活動日誌

日本キリスト教団北海教区アイヌ民族情報センターの活動日誌
1996年設立 

「素案」骨子だけでは、やっぱりわかりませんね・・・

2009-07-05 17:44:01 | インポート
現在行なわれている「アイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会」の政府への提言「素案」について、窓口に問い合わせてもらったところ、まだ変わる可能性があるからだせないということだそうで、代りに「素案」の骨子という目次みたいのだけ送ってくれたとのこと。一応、ここにUPしておきます。以下、引用。

アイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会報告書(素案)骨子

1 今に至る歴史的経緯
(1)アイヌの人々につながる歴史や文化(古代以前~中世)
(2)「異文化びと」と「和人」の接触~交易(中世)
(3)過酷な労働生産の場(近世)
 ・商場知行制や場所請負制、「和人」との抗争
 ・ロシアの南下政策と国境画定
(4)アイヌの文化への深刻な打撃(近代)
 ・場所請負制の廃止と自由競争
 ・文明開化とアイヌの人々の文化への打撃
 ・近代土地所有制度の導入
 ・伝統的生業(狩猟、漁撈)の制限
 ・北海道旧土人保護法の制定
 ・民族意識の高揚 など
(5)まとめ(国による政策とその影響)

2 アイヌの人々の現状とアイヌの人々をめぐる最近の動き
(1)アイヌの人々の現状
  生活や教育の状況、文化活動の取組み、帰属意識 など
(2)アイヌの人々をめぐる最近の動き
  国際連合宣言(H19.9)、国会決議(H20.6)、官房長官所信(H20.6)

3 今後のアイヌ政策のあり方
(1)今後のアイヌ政策の基本的考え方
 ① 先住民族という認識に基づく政策展開
 ② 国連宣言の意義等
 ③ 政策展開に当たっての基本的な理念
  ア アイヌのアイデンティティの尊重
  イ 多様な文化と民族の共生の尊重
  ウ 国が主体となった政策の全国的実施
(2)具体的施策
 ① 国民の理解の促進
  ア 教育
  イ 啓発
 ② 広義の文化に係る政策
  ア 象徴施設の整備
  イ 研究の推進
  ウ アイヌ語をはじめとするアイヌ文化の振興
  エ 土地・資源の利活用の促進
  オ 産業振興
  カ 生活向上関連施策
 ③ 推進体制等の整備


骨子だけですので、なんとも言いようがありませんが、「1.今に至る歴史的経緯」には
古代以前~中世、近世、近代などと歴史を分けて記述しているようです。
かつて上村英明さん(市民外交センター)が、歴史認識をきちんと年代別に書かせることが重要だと言われていました。そのことによって、植民地化・差別政策・格差・貧困などの問題点を整理しやすい、と。そのような視点が書かれているか注目です。
また「(5)まとめ(国による政策とその影響)」には、きちんと、これまでのアイヌ政策の評価(有識者懇の「主な検討事項の②)が盛り込まれているのでしょうか。



有識者懇のメンバーである遠山さんのかつてのおしごと。


3日にアイヌ民族委員会で札幌をバスで往復しましたが、車中、本田優子さん著「二つの風の谷」筑摩書房を半分ほど読みました。とても読みやすく、内容も深いもので考えさせられることが多かったです。
「ヤイコシラ(ム)スイ(エ)」(カッコ内は小さい字)の感動はこちらにも伝わってきましたし、後日談も考えさせられました。
山の奥に入り込み、一瞬、こずえをしならせて風が吹いた時に、かぜが心を駆け抜けてカムイを感じたときの感覚は、なんとなくわかるなぁ~、と。
毒を舐めてしまった話もびっくり! 糸のひいたおにぎりを食べて一晩中のたうちまわった経験はありますが、さすがに毒は食うたことはありません。調理方法の伝授も大切なことだと納得もしました。
アイヌ語教室のいきいきとしたこども達の表現も目に見えるようですし、その教室で行なわれているカムイユカラの紹介もしてくれて、いい学びとなりました。恋愛ものは「クモの女神」だけでしたので、他のお話はその後の講演を楽しみにしています。はい。
往復の車中は、この本のおかげで泣くわ笑うわで瞬く間でした。
差別の現実も、かねてから伺っていた「学者」達の問題性も鋭く描かれています。みんなに紹介したいと思います。


明日はキリスト教独立学園の修学旅行生が旭川に来るので、今から鹿肉カレーを仕込みます。
昼に到着して川村カ子トアイヌ記念館にてアイヌ民族研修を行ない、夜は、アイヌ民族のことや世界の先住民族のことを紹介させて頂く時間を持ちます。楽しみです。


7日(月)は、さっぽろ自由学校「遊」の連続講演「「先住民族の権利に関する国連宣言」を読むⅡ」第三回講座が開催されます。
今回は、台湾基督長老教会宣教師のディヴァン・スクルマンさんが招かれ、台湾原住民族の権利回復運動やその成果についての話しを伺います。

テーマ:「台湾原住民族の権利回復運動とその成果 」
お話:ディバン・スクルマンさん(台湾基督長老教会宣教師・ブヌン民族)

日時:7月7日(火)18:30~20:30
会場:さっぽろ自由学校「遊」 TEL:011-252-6752
受講料(単発):一般1,500円 会員・学生・アイヌ民族1,000円
http://sapporoyu.org




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