アイヌ民族情報センター活動日誌

日本キリスト教団北海教区アイヌ民族情報センターの活動日誌
1996年設立 

アイヌ民族副読本改悪問題に関する新聞記事

2012-08-04 16:47:11 | インポート
WEB上で朝日新聞の記事がひとつ、新聞紙面に北海道新聞の関連記事が小さく掲載されていましたので、UPします。

アイヌ副読本「修整」新委員での作成見送り(朝日新聞 2012年08月03日)
■アイヌ副読本「修整」問題 
■新委員での作成見送り
 財団法人「アイヌ文化振興・研究推進機構」(札幌市、中村睦男理事長)は2日、同市内で臨時理事会を開き、アイヌ文化や歴史を扱った小中学生用副読本の「修整」問題について、主要部分の表記を元に戻すなどし、新しい編集委員による新副読本の作成は見送るという事務局の方針変更を承認した。2012年度用の副読本は、編集委員会で合意を得た手直しを反映して改訂版を作成し、2学期内を目標に配布する。
   ◇
■発行元財団 主要部分、表記戻す
 承認された変更方針などによると、財団が3月下旬に修整した11カ所のうち、11年度版から削除・変更していた、明治政府が北海道を「(アイヌ民族に)ことわりなく、一方的に日本の一部とした」との表現を復活。他の部分も元に戻したり、補足説明を加えたりして、理解しやすくする。
 今後の副読本のあり方については、教育関係機関と連携して活用促進などを図る研究・検討を進め、歴史学などの専門家による第三者評価を採り入れることも検討するとした。
 修整は、昨年12月の道議会での一部議員の指摘などを受ける形で、編集委員会を開かずに財団が行い、5月の理事会では、新たな編集委員を選んで副読本を作り直す方針が了承された。
 だが、編集委員らは「歴史の改ざんになる」などと反発。北海道アイヌ協会(加藤忠理事長)が、政治的介入などがないよう適切な対応を財団に求めたのをはじめ、道内外のアイヌ団体関係者らも要請文や約2万9千人の署名を提出するなど関心が高まった。
 財団の評議員会や理事会でも「財団の手続きに問題がある」との意見が出たことなどから、事務局は編集委員会を3度にわたって開催し、編集委員らと修整箇所を再検討した。
 財団の西田俊夫事務局長は2日の理事会で、方針変更の理由について、修整に編集委員の理解が得られなかったことと、副読本作成の様々な課題について不断の研究・検討が必要なためとした。そして「(修整問題での)事務局の対応をめぐり、ご心配とご迷惑をおかけしたことをおわび申し上げる」と陳謝した。
 理事の一人で編集委員長でもある阿部一司・北海道アイヌ協会副理事長は「(修整が)元に戻り、ひと安心している。これで子どもたちに副読本を届けることができる。二度とこのようなことがないよう、私たちも心したい」と話した。
   ◇
■歴史認識の薄さ露呈
■財団は研究に支援を
■井上勝生・北大名誉教授(日本近代史)の話
 修整は財団のアイヌ史への驚くべき認識の薄さを示したもので、財団がアイヌ民族の歴史をどう考えているのかが問われた。財団のやるべきことは、アイヌ民族が受けた被害をきちんと掘り起こしていくことで、いまの副読本の内容でも十分とは言えない。未解明の部分も多いアイヌ近代史の研究を、財団はきちんとバックアップしてもらいたい。
   ◇
■「民族共生」へ問われる姿勢
 《解説》アイヌ副読本の「修整」問題をめぐり、4カ月にわたった混乱がようやく一段落した。
 原因は、財団による修整が編集委員との十分な協議を経ないまま行われた「拙速さ」にあり、財団の信頼回復や事業展開のあり方にも課題を残した。
 国と道の補助金を元に事業を展開する財団が、アイヌ政策をめぐる国、道の動き、国会議員、道議らの指摘に注意を払うのは、ある意味当然と言える。だが、意識するあまり、しかるべき手続きもせずに結論を急いでは、財団の自立性そのものが問われかねない。
 財団は「アイヌ民族の誇りが尊重される社会の実現」を基本理念に掲げ、今年、設立15周年という一つの節目を迎えた。
 アイヌ文化振興法に基づき、法に規定された業務を担う国内唯一の法人として国から指定され、アイヌ関連の研究推進や道内外で開くアイヌ文化フェスティバル、文化伝承再生事業、アイヌ語講座など、財団の事業は多岐にわたる。
 政府のアイヌ政策推進会議は7月、今後の施策展開の「方向性」をまとめた。財団の果たすべき役割への期待は高まる。
 副読本問題をめぐり、北海道アイヌ協会は財団に出した要望書の中で、アイヌ民族の歴史の正しい理解が「新しい政策樹立の理念の根幹になる」と指摘した。
 一連の問題は、民族共生を目指す事業に取り組む財団の姿勢を、改めて問い直したと言える。(泉賢司)
http://mytown.asahi.com/hokkaido/news.php?k_id=01000001208030005


アイヌ民族副読本 見直し撤回を決定 (北海道新聞 2012年08月03日朝刊)
財団法人アイヌ文化振興・研究推進機構(札幌、中村睦男理事長)は2日、理事会を聞き、同機構が執筆者に無断で内容を書き換えたアイヌ民族に関する小中学生向けの副読本について、元の内容の副読本を継続して使用する一ことを正式に決定した。
理事会は札幌市内のホテルで聞かれ、副読本の内容を全面的に見直すとしていた従来の方針を撤回することを出席理事14人の全会一致で承認した。副読本は、これまでの執筆者との協議で決まった一部表現の変更点を反映させ、改訂版として本年度から配布する。
ただ、アイヌ民族の歴史に関する記述のあり方については今後、外部の専門家に依頼して内容を評価してもらうなど、長期的に検討を続けることも確認した。


朝日の記事は読みやすく、よくまとまっています。北海道新聞は道内新聞なのですから、もっと紙面を使って特集を組むなりして、大々的に扱って頂きたいです。見のがしてしまうほどの記事でした。
また、最後の段落の「アイヌ民族の歴史に関する記述のあり方については今後、外部の専門家に依頼して内容を評価してもらう」というところがひっかかります。


海水浴シーズンです。風の強い日はサーファー達が集まります。



最新の画像もっと見る