アイヌ民族情報センター活動日誌

日本キリスト教団北海教区アイヌ民族情報センターの活動日誌
1996年設立 

「野蛮」「未開」というレッテル

2007-10-12 16:22:45 | インポート

「この部門の目的は暗い原始から最も輝かしい開化へ、未開から文明社会へ、
利己主義から利他主義へという人類の進歩を示すことである」

セントルイス博覧会の人類学部門の責任者W.J.マクギーが
開催の意図をこのように語ったことは数日前のブログに書きました(10月3日付)が、
ボディブローがじわじわと後から効いてくるように、なんともいえない痛みと怒りが湧いてきます。

そんな時、また、上村英明さんの文章が目に入りました。
(以下、北教組教育政策調査研究室編「アイヌ民族についての連続講座」の中の
上村英明さん講演「先住民族問題と国際活動」を参照)

それによると、アメリカが連邦政府を設立するのにお手本としたのは、
イロコワ連邦という1500年代に5つの先住民族によって作られた連邦制だというのです。

五大湖の南部の方に住んでいたモホーク(カニエンケハカ)、セネカ、カユーガ、オネイダ、オノンダーカ
(後にタスカローラが入り6つになる)が、それまで争いごともしていたけれど、
皆で連邦を作ろうと会議でまとまり、各民族の主権を残したまま、その上に連邦政府を設立し、
以来ずっと自分達は国だと主張します。
この先住民族のひとたちが実は連邦制という政治機構の発明者だったのです。

そのイロコワ連邦の考え方、あるいは現実を現在のアメリカの連邦憲法を立案した者達が賞賛し、
多くを学んだということを1987年に上院・下院共同でひとつの議会決議として出しました。
1987年は米連邦憲法が制定されて200周年のお祝いの年でした。
その年、連邦憲法200年を記念しつつ、その憲法を作るのにイロコワ連邦の考え方に大いにお世話になった
ということが「とつとつと書かれてある」、議会決議を出したというのです。


マクギーがセントルイス万博で、先住民族を「暗い原始」で「未開」で「利己主義」とレッテルをはり、見世物にしたわけですが、なんとその400年も前から連邦制を実践し、後の合州国を形つくる大事な制度を先住民族は生み出していたのですね。


トウモロコシやイモ、コーヒーやタバコ、それにハンモックやカヌーも先住民族の知恵だ、と上村さんは語り、
そのように先住民族からずっと昔から学んできたことを
「ちゃんと認めるかどうか」が問われていると続けます。


今日は、千葉の教会から情報センター所蔵のアイヌ民族関連ビデオの問合せがあり発送準備をはじめました。
このようにどんどんと協会関係に用いられたらいいと思います。
リストはわたしまでどうぞ。

明後日の日曜日に依頼されている帯広教会の礼拝説教と午後の発題も準備中です。
今日はとても寒く、みぞれっぽい雪が降りました。日曜日の峠は大丈夫だろうかと
ちょっと不安になりました。




以前、麦が植えられていた丘(8月3日のブログ写真)。こんな秋晴れももう終わりそうです。


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秋も深まり

2007-10-12 05:13:00 | インポート
札幌大学ペリフェリア・文化学研究所 シンポジウム・公開講座「アイヌの交易世界」の
案内を帯広のスタッフからFAX頂きました。
案内文は以下の通り。わたしも土曜日は参加しようと思います。日曜日も行きたいですが、時間的に無理ですねぇ。


札幌大学ペリフェリア・文化学研究所では、北方研究を大きな柱の一つとしています。略
本研究所は「アイヌ文化研究の今」をテーマに毎年1回、シンポジウムと公開講座を開催しており、第4回目となる今年は「アイヌの交易世界」をテーマにシンポジウムと公開講座を開催します。
参加希望の方はその旨を研究所へ。

<シンポジウム>
日時:10月20日(土) 13:30~17:30
場所:札幌大学 2107教室 (札幌市豊平区西岡3条7丁目)
内容:「近世アイヌ社会の交易品をめぐって」 佐々木利和氏(国立民族学博物館 教授)
   「アイヌ口承文芸に見る交易」 児島恭子氏(早稲田大学 講師)
「場所請負制下のアイヌ交易の姿」 谷本晃久氏(北海道教育大学札幌校 准教授)
参加料:無料

<公開講座>
場所:札幌大学 6102教室   受講者数:100名(先着順)   受講料:500円
・「詳説:交易をめぐるアイヌ口承文芸と交易のコトバ」 児島恭子氏 10月21日(日)
10:00~12:00
・「ウイマムと漆器」 佐々木利和氏 10月21日(日) 13:30~15:30 
・「近世アイヌ社会における交易品生産活動」 谷本晃久氏 10月28日(日) 13:30~16:00

後援:(社)北海道ウタリ協会、(財)アイヌ民族博物館、北海道新聞、
(財)アイヌ文化振興・研究推進機構





昨日は急逝された士別教会員の方の葬儀に急遽、出かけました。
故人は50歳の若い方でしたが、生前にいくつかの句会にも参加されていました。
そのお仲間たちが、弔句を詠まれました。
わたしにとっては始めてであり、故人を偲ぶ想いがとても心に染みました。

峠の紅葉が秋雨に潤い、残りのいのちを輝かせていました。



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