アイヌ民族情報センター活動日誌

日本キリスト教団北海教区アイヌ民族情報センターの活動日誌
1996年設立 

「選択」型と「フル装備」型

2007-03-06 08:40:41 | インポート
常本(北大教授)さんは「先住民族」について以下のように分けて説明されました。
まずは「先住民族」とは「事実上の先住の民族である(先住性をもった固有の文化を有する少数民族)」。
これは「ウタリ対策のあり方に対する有識者懇談会報告書」(1996年)で使われていた言葉であり、現に日本政府が取っている考え。
しかし、問題はその次の部分にある、と常本さんは続け、二つに分けました。


1.「選択装備型」先住民族
2.「フル装備型」先住民族


実際に法的に「先住民族」を使う場合において、どの権利を選ぶかという点で、一定の限定が付けられています(それを「選択装備型」)と述べているわけです。

たとえば、二風谷ダム裁判ではアイヌ民族を先住民族とは言っているが、しかしながらそれによっていわゆる先住権などの特別な権利が導かれるかは“ともかくとして”と、その問題には触れていない。先住民族ではあるけれど先住権は認めていない。では、「先住民族」であるとはどういう法的なものかと言うと、憲法・人権規約で認めている文化享有権をより強く保障される存在として認められたという、いわば「選択」型(自決権などについては語られていない)だ、と。
また、ILO169号という条約も、英語の「先住民族=indigenous peoples」というが、その第1条にはわざわざ「ここで言うピープルズというのは自決権の持つピ-プルズと言う解釈はしないでください」との趣旨ともとれる注釈をしている。先住民族という言葉を用いながら「選択型」だ、と。

「第1条3 本条約での『民族』という用語の使用は、国際法においてこの用語に付される権利に関し何らかの意味合いを持つものと解釈されてはならない」(「先住民族の権利―ILO第169号条約の手引き」論創社より引用)

それに対して、「フル装備先住民族」とは、自決権を含むもので、国連宣言で大きくもめているのはこの部分だ。
日本政府もアイヌを先住民族として認めない理由として「フル装備型」を意識してのこと。
先住民族の権利というとき、人によって「選択」型と「フル装備」型との考え方のずれを明らかにしていくことが必要だろう、と常本さんは課題を提示されました。

さて、今回の第3委員会でナミビアが提案し、可決された「全員一致」案について、議長は今年の8月までを期限とすると宣言したと、ある方の報告にありました。8月まで努力してすべての国のコンセンサスを得なさいということのようです。そして、国連本会議に挙げる、と。
8月以降、どのように変わっていくか期待が注がれます。
わたしたちに出来ることはなんでしょうか。
とにかく出来ることとして、自分なりに調べ確認して、その情報を分かりやすく伝えることは続けようと思います。
(分かりやすいかな?)
と、言いつつ、今週はこれでブログはUPできません。次回は土曜日の夜か、日曜日になります。
大阪の国立民族博物館に行ってきますのでその報告もします。


白樺林(旭川へ行く途中)