アイヌ民族情報センター活動日誌

日本キリスト教団北海教区アイヌ民族情報センターの活動日誌
1996年設立 

第5回報告 2006年12月

2007-03-05 12:12:53 | インポート
ここから外務省のHPにやっと報告書がUPされていますので参考してください。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kiyaku/pdfs/40_1b_5.pdf
(ただし、報告書全93ページ中、関連する部分は92ページにほんの少しだけの記述となりますので、ず~~っと下がってください)
この報告書に関しては、過去のブログに書いたとおりです(2007年1月16日にもどる)。
確認できることを調べ、整理してみました。

さて、今回の報告はそもそも前回報告後の改善要求に対して2002年までに応答するべきでしたが、4年遅れました(ただし、遅れることは他国でもよくあるとのことー常本北大教授談)。
内容を見ると、「言語・高等教育の改善」に関しては、「2002年よりアイヌの人たちの生活向上に関する推進方策を実施している」と述べています(ただし、現実はどうかまた調査してみます)。
「土地権の改善」に関してはひと言も述べていません。
さらに、アイヌは日本の先住民族であるという言及もされていないとの批判が新聞などで問われていたのは記憶にあるとおりです。
そのことに関し、常本(北大教授)さんは、「国連への報告の問題だけではなく、背景にある政府の基本姿勢であって、それが変わらない限り報告書の中身が変わるはずがない。」(2月9日講演より筆者要点整理)と述べます。
では、政府の見解は、というと

「アイヌの人々が、アイヌ語や独自の風俗習慣を始めとする固有の文化を発展させてきた民族であり、いわゆる和人との関係において、日本列島北部周辺、取り分け北海道に先住していたことについては、歴史的事実として認識しているが、「先住民族」の定義をめぐる現状が1についてで述べたような状況にあることから、アイヌの人々が「先住民族」であるか、また、「先住民族」の権利が具体的にどのようなものであるかについては、結論を下すことができる状況にはない。」
(鈴木宗男さんの質問への回答 2005年10月11日 答弁第7号)
 http://www.shugiin.go.jp/index.nsf/html/index_shitsumon.htm


さらに、
「 「先住民」及び「先住民族」については、現在のところ、国際的に確立した定義がなく、また、日本国政府としての明確な定義はない。したがって、これらが異なる概念であるか否かについても、お答えすることは困難である。」
鈴木宗男さんの質問に対する政府回答 2005年11月4日 答弁第57号)
http://www.shugiin.go.jp/index.nsf/html/index_shitsumon.htm


これをどう評価するかに関して常本(北大)教授は、「先住民族」とはなにかの定義を深めるだけではなく、そもそも「先住民族」ということでどういうプラスがあるかも理解は一致していないので、それらを付き合わせることが必要だ、だと言われました(要点筆者)。
今後は、このあたりについて考えてみたいです。



札幌へ向う途中の眺めのいい場所