~Agiato で Agitato に~

再開後約20年になるピアノを通して、地域やほかの世代とつながっていきたいと考えています。

友人のコンサート

2007年07月21日 14時37分11秒 | ピアノ
友人が初リサイタルを開くというので、聴きに出かけた。

この友人とはもう5年以上の付き合いになるだろうか?これは彼女がこちらの楽器店に勤めていた年数とほぼ一致する。
私よりはるかに若くまだ20代なのだが、コンチェルトの練習の時にオケパートを弾いてもらったり、昨年は連弾で一緒にコンペに出たり、とかなり親しくお付き合いさせていただいてきた。
経歴は、子どもの時からピアノ習っていて、大学は音楽教育専修。その後、調律師の修行を経て、楽器店に入社。ピアノの営業、地域のピアノの先生がたのお世話、
コンクールや催しのスタッフとして仕事をする一方で、コンクールに出たり、ライブ活動をしたり、とピアノ弾きとしてずっと現役を貫ぬいている。

2月の私のコンサートの時は、スタッフとしていろいろお世話いただいたのだが、終演後、「私も旧姓のうちにリサイタルをやってみようと思います」というので、大いに賛成し、頑張って!と声をかけたのであったが、その後引越しやら転勤に伴なう遠距離通勤、さらに9月には挙式を控え、果たしてこの状況のなかでいくら若いとはいえ、倒れずに当日を迎えることが出来るのであろうか・・・と老婆心全開でこの日を待っていた私なのであった。

会場:区民文化センターホール(約500席)
時間:19時開演(20時すぎ終演)
タイトル:「ピアノ」コンサート ~バロックから近代まで~

<プログラム>
バッハ:イタリア協奏曲 第1楽章
モーツァルト:ピアノソナタK331(トルコ行進曲つき)
    ~~~~休憩~~~~~
リスト:2つの演奏会練習曲より「森のささやき」
ラフマニノフ:プレリュード 作品23-4,23-5
ショパン:ノクターン 遺作 嬰ハ短調
ショパン:スケルツォ第2番 変ロ短調

(アンコール)
ショパン:子犬のワルツ
久石 譲:フレンズ


日頃の彼女は裏方としての場面が圧倒的に多い。ピティナ・ステップなどで演奏する場合も、スタッフを務めながら制服のままで舞台に上がることがほとんど。
演奏はどちらかというと硬派で、自分でも「盛り上がる曲が好き」といっているように、オクターブでドドっと駆け上がってフォルテッシモに持ち込むような、迫力あるスタイルが印象的だ。
↑というような印象とこれまでの数少ないドレス姿から、おそらくグリーンとかワインレッドとかの濃い色のドレスでの登場であろう・・と想像していた。
・・・・でも、プログラムの紙ピンクだよなあ・・・・・
と思って開演を待っていたところ、
なんとドレス、ピンク!それも柔らかいベビーピンクという色合い。おおお~~~花嫁!!

本人はどう思って弾いたか、ほかの人がどう聴かれたかわからないのだけれど、
私としては、このプログラムのなかでは、モーツァルトのソナタとリストが良かった。無理のない音量で自然に弾かれていて、かなり後方で聴いていた私のところにもに心地良い響きで届いた。
・・・だいたいこういうことを書くと、弾いた本人は「えっ、じゃあほかの曲は?」と思うし、自分では「ほかの曲のほうが良く弾けたと思うのに」と思ったりなんかもするものなのだけれど、日頃の彼女の良い点を踏まえた上でいうならば、こういう落ち着いた曲を<ピンクのドレス>でもって、しっとりと聴かせたというのは、友人としては大変うれしいことだ。
実は彼女の夫君になるところの男性は、私たちのピアノ仲間で、こちらともそれなりのお付き合いがあるのだが、彼はムードと歌心のある、自然に流れるような美しいピアノを弾く男だ。彼女本人がそれを認めたいかどうかは別として、どうもこの演奏の変化のカゲには、この「男」の存在を感じずにはいられない。
・・・・もうすぐ結婚するのだから<カゲ>もなにもあったものではないが(爆)。


打ち上げでご本人にきくところによると、7月に入っても暗譜が十分ではなく、新幹線通勤の途上で必死に譜をたたきこんでいたらしい。本番は自分ではあやしくなったりもしたらしいのだが、約1時間、暗譜オチなく、大きなミスもなく、聴衆をひやひやさせることもなく「弾き切った」のは見事であったと思う。
プロの方々からすると、いささか低い次元であるとは思うのだが、私にしても、当日なにが心配といって「途中で止まらないか?忘れないか?最後までバテないか?」ということほど心配なことはなく、あとはまあ、なにを言われても「それは次回の課題ということで」という気分なので、本人が上がることなく、ピアノも気持ちよく弾けたというのなら、これはもう立派にステージを果たしたといえると思う。
またアンケートをとっていたけれど、ご本人いわく「アンケートを読んでみて、弾いていて<いい>と思うことと、聴いていて<いい>と思うことは必ずしも一致しないということがよくわかりました」とのことだった。
ピアニストとして、楽器店のスタッフとして、嫁として(爆)、ほんとに良い経験をされたことと思う。これだけピアノとさまざまな角度からつきあっている人材もマレと思うので、今後がほんとうに楽しみだ。


さて<ピンクのドレス>なのだが・・・・・・

ほんとは披露宴でピンクを着たかったそうなのだが、都合でそれがかなわず、リサイタルで着たとのこと。
やっぱり花嫁だったんですなあ・・納得。