『雪は天から送られた手紙である』。
石川県生まれの北大の教授、雪の研究で名を遺した中谷宇吉郎の言葉です。
ロマンチックな言葉ですが実はこれ、非常に科学的な背景があるのです。
雪の結晶(の形)は気温や湿度などの大気の条件により常に姿を変えていて、
その結果の雪の結晶は上空から地上までの大気の変化を現している。
つまり雪の結晶を見ると上空の大気の様子がわかる。
それを解明した中谷教授が真理を端的に表した言葉が『雪は天から…』です。
難しいことを簡単な言葉で一般に解説する名文、
寺田虎彦(※)をはじめ昔の科学者は名随筆家であることも多いですね。
科学者として名高い中谷宇吉郎のそんな側面を垣間見ることができる特別展を開催中です。
小樽市総合博物館、「雪の研究者・中谷宇吉郎」(4月10日まで)
→ https://www.city.otaru.lg.jp/simin/sisetu/museum/event/temiya_2015_1219.html
中谷は世界で初めて人工雪を作ることに成功しました。
戦時中は戦闘機に付着する雪を研究するためにニセコでゼロ戦と格闘しました。
そのゼロ戦の実物は倶知安風土館にあり、私も見たことがあります。
→ http://www.town.kutchan.hokkaido.jp/culture-sports/kucchan-huudokan/kucchan-huudo/huudokan-zerosen/
また北大低温科学研究所を設立するなど、様々な功績を残しています。
紋別市にある流氷観察用のドップラーレーダーは北大低温研がここにあった名残です。
などなど、科学者であり随筆家でもあった中谷宇吉郎を再発見できる展示でした。
北大教授当時の研究室も再現されています。
意外と質素な部屋だったんだな…というのが素直な感想…。
※「天災は忘れたころにやってくる」など