又しても総花的で従来の各省庁に散らばっていた政策を寄せ集めたに過
ぎない感は否めない。何しろ<財源の裏付け>が無い。見当たらない、からで
ある。しかも<検討>の文字が目立ち先送りしている。実現出来るのか疑問で
あり見通しは明るくない。・・・国民の最大の関心事は「社会保障」である。それ
に応える政府の対応が今回の「五つの安心プラン」である。遅きに失した感は
あるが兎に角、福田首相の 肝いり で公表できた。一歩前進だ。その五つの分
野とは・・・
1.高齢者政策
2.医療強化
3.子育て支援
4.非正規労働者対策
5.厚生労働行政改革
の5つで約150項目余の施策を掲げている。
1.「高齢者政策」・・・65歳を起点に、それ以下の雇用確保と並列して、それ以
上での採用には<助成制度>を新設するとしている。年金改革の一環も示さ
れた。「最低保障年金(5万円)」の創設だ。それは<検討>する、と財源不明
のまま明記された。
2.「医療強化」・・・喫緊の取り組むべき政策であり課題である。医師不足に鑑
み救急や産科、僻地医療現場への迅速な対応。それを支える医師への相応
の待遇改善、手当・支援が必要だが、それが制度として創設された。医学部定
員の拡大も決定された。しかし、それには問題がない訳でもない。一人前の医
師になるには10年の歳月が必要だからだ。留め置くには、どうするか。しか
も、それ等の具体策は、これからである。問題等々は山積している・・・
3.4.5.は詳細が報道されているので割愛する。・・・各省庁の予算の整合性
と計上には紆余曲折が予想される。何しろ財源の捻出が立ちはだかる。その
論議もこれからだ。政府は来年度の予算編成で“重要課題推進枠”<3300
億円>を新設する。厚労省を中心とする政府案の「五つの安心プラン」は、そ
れを視野に入れている(当て<充て>込んでいる)。予算編成では「社会保障
費」の自然増<2200億円>の抑制措置が継続される。そういう諸々の条件
下で、「五つの安心プラン」が、どこまで機能し実現するか、今度こそ福田首相
の正念場であり「指導力」が問われる。それは即、衆院解散総選挙に影響す
る。気になるのは、厚労省は未解決の政策課題が山積しているのに次ぎから
次へと政策の乱発で懸案課題の抱え込み過ぎで消化不良をきたしている。丁
寧に解決・消化するには複数の政策遂行陣(容)が必要だ。それは国民への責
任でもある。・・・
■付記:・・・
▲「医師不足対策」・・・夜間・休日の救急医、産科医、僻地派遣医の直接手当
支給制度を創設。
▲「在職老齢年金制度」・・・見直しと基礎年金の<最低保障>の強化。
▲「フリーターの正規雇用化」・・・既存の25万人にプラス10万人の上積み。
※財源捻出・・・公共事業関係費削減の徹底で工面する「重要課題推進枠」<
3300億円>の活用で確保する。厚労省分だけで<1500億円>になる(舛
添厚労相テレビ朝日で言明)。財務省その他の関連省庁との鬩ぎ合いで、どれ
だけ確保できるか未知数である。福田総理の指導力、手腕も問われる。・・・