“低炭素社会・日本”を目指す「地球温暖化防止の基本方針」即ち『福田ビ
ジョン』が先月、公表された。北海道洞爺湖サミットに先立ち日本の地球温暖
化に対する意欲を内外に示すものとして期待される。問題は如何にして各国の
同意を得て先導するかだ。問題は山積している。昨日だって米国は「原子力発
電」を提唱した。今日の議題で白熱の討論が予想される。日本の思惑通りに事
が運ぶか懸念される。今日、明日の成行きを見守るしかない。振り返って【福
田ビジョン】を整理しておこう。・・・世界の現段階では「2050年に世界の排出
量を現状の半分に減らす」が大勢である
●「福田ビジョン」・・・
▲「2050年までに60~80%削減」する。それは途上国にも削減努力を促す
ねらいがある
▲「2020年までに現状から14%削減が可能との試算」で中期目標は示して
いない
▲「1,2年のうちに排出を頭打ちにし、12年までには京都議定書の約束も確
実に達成する、としている
▲「再生可能エネルギーの太陽光発電、風力発電等の排出ゼロの電源比率を
50%に引き上げる・・・つまり「太陽光発電の導入量は2020年までに現在の
10倍、2030年までに40倍に倍増する」・・・日本は世界にこの分野で遅れて
いる その奪回にも意欲を燃やしている その達成には新築家屋の7割以上を
太陽光発電を採用しないと達成できない その為の政策が必要である
▲産業界の強い反発のある「国内排出量取引」については今秋に多くの企業
参加で国内統合市場の試行的実施を開始するとして制度導入に強い意欲を示
したが実施・導入の時期は言明を避けた 欧州はその分野で先行しているので
ポスト京都のルールに乗り遅れる懸念がある 福田ビジョンは国内向けに比重
がある内向けでサミットに援用できるか懸念される 国内外の障壁を払拭し国
際的に通用する新たな戦略が必要
▲技術革新のための新しい国際組織や世界共通の「地球環境税」の導入にも
言及 「環境エネルギー国際協力パートナーシップ」の提案 「ゼロ・ミッション
電源」重視
▲排出量の透明化
▲太陽光発電の世界一の奪還
▲サマータイムの導入
▲環境技術先進国、日本の得意技を生かす
▲「2050年までに排出量を半減する」は世界の大勢で カリフォルニア州や米
国両大統領候補の両氏も導入に前向き等々の導入で、<政策総動員>して
「低炭素社会」を築く、としている
●民主党も「地球温暖化対策基本法案」を国会に提出している。「1990年に
比べ2050年までの早い時期に60%超、2020年までに25%超」を提示。国
内排出量取引は2010年度から始める、としている。「福田ビジョン」より分か
りやすい。
■懸念材料:2020年を目途の中期目標ではセクター別(産業分野別)積み上
げ(3月の経産省・資源エネルギー庁発表)を2005年比<14%>減の排出
予想を提示した。それはEUの1990年比の4%減でしかない。パリ会議(昨年
12月)の合意、次期枠組交渉の出発点は、IPCC(気候変動に関する政府間
パネル)の報告にある、「先進国は2020年に1990年比<20-40%>に比
較しても、その6分の1でしかない。世界の説得に程遠い。日本のセクター別方
式は、むしろ途上国や新興国、中国やインドに協力を呼びかけるべきだ。
■米国、中国、インドの3大排出国と途上国を削減枠組みにどう招き入れるか
その道筋をつける事も課題である。
■13年以降「ポスト京都」に国別削減率をどう設定するか 以上を見極めつつ
今日、明日のサミットの成り行きを注視したい。・・・