過去に数例があったにせよ、今回の グランドプリンスホテル新高輪(東京
港区)の対応は遺憾とせざるを得ない。一旦、了承し契約したにも関わらず一
方的に破棄した。しかも東京地裁及び抗告した東京高裁の使用許可を認める
決定にも従わずに一方的に拒否した。法を無視した遣り方は社会から痛烈な
批判を浴びるに違いない。ホテル側は「右翼団体の街宣活動で顧客や周辺住
民に迷惑がかかるから」と、その理由を述べている。過去にも日教組運動に反
対する団体が街宣車で批判を展開し交通渋滞を招いた。その為、会場借用を
拒否するか渋っている。日教組側は契約する前にその事もホテル側に伝えて
いる。―前回は街宣車が来て警察がその収拾に当たった事を伝えている―
(東京地裁、東京高裁も日教組がホテル側にその事を伝えている事を認めて
いる)。ホテル側の契約拒否の段階で日教組は東京地裁に仮処分を申請して
いる。ホテル側の言い分は「前回の日教組の全体会場となった大分・別府に従
業員を派遣し調査して初めて知った」と言っている。実情は大分県警と他府県
警の応援を得て1300人態勢で警備と交通規制にあたりトラブルや事故もなく
集会は滞りなく行われた。従って東京地裁や東京高裁は、日教組は契約以前
に過去の実情をホテル側に説明していて<説明義務違反はない>と認定して
いる。しかも警察庁、警視庁に警備を要請して了承を得ている。よって大きなト
ラブルや混乱は双方の話し合いで十分、防止できると判断した。・・・教研集会
は未来を担う子供たちの学習と生活全般について話し合い討議する。学校現
場の実践報告、教科指導の工夫、いじめ対策、非行対策、自殺問題等の意見
交換を行い討議する。その成果を各自の学校現場で生かす。それが趣旨であ
る。そういう趣旨を踏まえ勘案すると、ホテル側は社会的責任、即ち民間といえ
ども公的責務を痛感すべきである。民主主義の根幹である<集会の自由>、
<言論・表現の自由>は民間といえども保障すべきである。今回の会場拒否
の件は 権利侵害 にも関わる重大な問題を提起した。その前例が後に尾を引
かない事を祈る。・・・
◆付記:教研全国集会は毎年、会場持ち回りで全国各地を移動して開催。今
回は57回目で2日~3日に行われる
※「日教組」(日本教職員組合)
※「全国教研」(教育研究全国集会)
※「全体集会」(今回は2000人参加予定で<基調報告>と<記念講演>が
行われる予定だったが取り止めになった)
※「各分科会」は予定通り行われる