ご主人様 ご不在の寂しい最終報告が提出された。総じて意欲が感じられ
ない。ノーベル賞受賞者の野依良治氏を座長に華々しくスタートした。メンバー
も各界から錚々たる方々が網羅された。国民も大いに期待した。ところが道半
ばにして司令塔、旗振り役の前首相 安倍氏が退陣し去った。委員は意欲を削
がれたかたちだ。メンバーからは苦情も聞かれた。無念の思いだっただろう。
第一次報告に次ぐ第二次報告と問題が提起された。そして第三次の最終報告
がなされ福田首相に提出された。・・・かつてのイギリスのブレヤー首相に見る
様に一国の興隆と興亡は一に教育、二に教育、三に教育にあり!・・・と、たた
みかける様に国民に訴え政策として断行した。当初は競争万能主義の優勝劣
敗の熾烈な競争原理が導入された。結果は失敗に終わった。優劣の格差が拡
大し弊害が子供の全生活の場面に噴出した。その反省から“考える力”の育成
の前提として「習塾度学習」に力点を置き成果を上げた。世界の教育の先進国
フィンランドでは徹底して「考える力」、実物や模型を使用しての課題解決を最
重要視して取り組んだ。成果は眼を見張るものがあった。世界の各国からは参
観者が絶えないという。“さもありなん”と舌を巻いた。わが国では「ゆとり教育」
を見直し、<基礎学力>の定着にシフトしている。授業時数も軒並みに増やし
た。そういう報告である。世界の学力調査でも年度毎に順位が低下している。
その現実に、どうにかせねばならない、という焦りが「教育再生会議」にも課さ
れた。でも肝いりでスタートした会議も 今では、鳴りをひそめ 閑古鳥が鳴く有
様である。官邸主導も後退した感は否めない。ただ、「美しい国 日本」のチャッ
チフレーズは踏襲されている。第一次報告では「教員免許制度の更新制」、
「文科相の教育委員会への指示」等で“教育3法”が改正された。その良し悪し
は今後が証明するであろう。問題もないではない。喫緊の課題が<いじめ対策
>、<自殺対策>、文科省(相)・教育委員会の管理統制による<教員の委縮
>等・・・教育現場の深刻な悩みに応えていない事である。あまつさえ今回は
「徳育」の<教科化>が打ち出された。それには中央教育審議会も文科省も
消極的である。見送る公算が大きい、という。・・・思うに『教育は国家百年の大
計』である。不偏不党の長期にかけて策定し樹立すべきものである。時の政権
の思惑で左右されてはならない。私たち国民はその事から眼をそらしてはいけ
ない。その事を強く肝に銘じてその成り行きを見届けたいと思う。・・・