フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

3月20日(木) 雨

2008-03-21 01:43:08 | Weblog
  今日はなかなかしんどい一日だった。と、事態を対象化した書き方ができる現時点では、そのしんどさは山を越えたということである。

  彼岸の中日ということで、母・妻・息子と一緒に鶯谷の菩提寺に墓参りに行く。現地で妹夫婦と合流。墓参りをすませてから、鶯谷の駅の近くの昔からある中華料理屋で昼食をとり、アメ横をちょっとぶらぶらしてから、家路につく。
  帰宅して、メールを開いて、「事件」が起こったことを知る。私が編集委員長をしている早稲田社会学会の機関紙『社会学年誌』49号に落丁が発見されたのだ。49号は3月上旬に納品され、編集委員によるチェックが終わり、執筆者への送付を始めたところだった。そのお一人、慶応大学のW先生からメールがあり、今日届いた年誌10冊のうち6冊に落丁があるというのだ。びっくりした。10冊中6冊!慌てて自分の手元にある49号を開いてみたが、落丁はなかった。あるものとないものが混じっているということだ。編集委員がチェックしたものはたまたま落丁のないものだったのだ。すぐに編集委員、執筆者、そらから出版社にメールや電話を入れ、「事件」を報告するとともに、事態の把握に努める。ほどなくして執筆者の一人、東京大学のS先生から返信のメールが届き、自分のところに送られてきた49号は10冊のうち7冊に落丁・乱丁・印刷汚れがあるという。10冊中7冊!さきほどのW先生の分と合わせると、20冊中13冊!半分以上ではないか。もし残りの分(全部で900冊ある)も同じ割合であったら・・・。
  夕方5時から、出版社の方4名と私と学会事務局のHさんとで、大学に保管されている発送前の「社会学年誌」の全数チェックを行なう。落丁が発見されたのはわずかに4冊だけだった。これにW先生のところの6冊、S先生のところの7冊を加えて、落丁・乱丁は17冊ということになる。もっともまだ回答のない執筆者もいるので、プラス・アルファを見越しておかなくてはならないが、全体のごく一部であることに違いはない。納品された雑誌は20冊ずつ梱包されており、その特定の包み(1つか2つ)に不良品が集中していることがわかった。製本・印刷作業の特定の時間帯に不具合が発生したものと考えられる。そしてその不良品のある包みを著者への発送のときに開けてしまったというわけだ。
  しかし、これはある意味で、不幸中の幸いであった。W先生とS先生がどんなにびっくりし、不快感と不信感を覚えられたかは想像に難くないが、もし、落丁の発見(報告)が一般の会員や機関(各大学の社会学部や社会学科や図書館)に送付された後であったら、何冊落丁があるのかわからず、すべての送付先に確認のための問い合わせをしなければならないところだった。
  出版社と相談し、落丁の分についてはすみやかに回収し、完全品を改めてお送りする手はずをした。ミスが起こってしまった場合、丁寧かつ迅速にミスに対処することが、失われた信用を回復する最善の方法である。W先生とS先生に説明とお詫びの電話とメールをし、編集委員会へ報告のメールを書いた。時計を見ると、午前0時を回っていた。キッチンへ行って、グレープフルーツ・ジュースをコップに一杯飲んでから、フィールドノートの更新にとりかかった。しかし、メーカーとか商社とかで働いている人たちは、こうした製品・商品のトラブルなんて日常茶飯なのだろうな。