壬生の政局やいかに…

真の民主主義町政を求めて…

やらしさも汚らしさも

2008-10-16 18:57:43 | Weblog
名優・緒形拳氏逝く――日にちが経ってしまいましたが、衝撃的な訃報でした。私にとって氏は、好きな俳優の一人にはとどまらない存在でした。合掌。“俗物”をどう演じ切るか、に長けた人。それが緒形拳という俳優の魅力だったと思います。「必殺!!仕掛け人」の藤枝梅安は、昼間は針医者で夜は“はらせぬ恨みをはらし、許せぬ人でなしを消す”殺し屋。体が欲すれば女性を抱き、その俗物たるや、林与一扮する仲間の西村佐内も「梅安、キサマ!!」と激憤する場面が何度もあります。映画の中の氏は、これまた強烈です。私が編集者時代にインタヴューした野村芳太郎監督作品では、「砂の器」はまだしも、「復讐するは我にあり」「鬼畜」等々、人殺しはお手のものとばかりに“俗物”のオンパレード。しかし、氏が演ると、それがさほど凄惨ではなく、むしろ「こうなったのも成り行きよ」といった、潔ささえ感じます。作家・桂(檀)一雄を演じた「火宅の人」でも、運命を受け入れ身を任せる奔放さを存分に表現していました。最近ギターをガンガン鳴らしながら歌っている「TRAIN・TRAIN」の“やらしさも汚らしさも、むき出しにして走っていく”的な演技に徹底的にこだわった氏の、ご冥福をお祈りします。