花邑の帯あそび

1本の帯を通して素敵な出会いがありますように…

花邑日記-4月21日(あめ)-

2009-04-21 | 花邑日記

presented by hanamura


春になり、さまざまな花が競うように咲きはじめました。
これからの季節に咲く草花は、
色が鮮やかで、とても華やかですね。

先日、その花々のように華やかな帯が
展示されるということで、
銀座のミキモトホールに行ってきました。

「帯と文様 織り帯に見る日本の文様」と
題されたその企画展では、
江戸時代から昭和初期頃までにつくられた華麗な織りの帯が、
会場の壁にずらりと50点近く並べられていました。

並べられた華麗な帯の多くは、
戦前まで女性の第一礼装に用いられていた「丸帯」でした。(※1)
「丸帯」とは、1尺8寸(約69cm)の
広巾の帯地を半分に折り合わせて、仕立てた帯のことです。

広巾の状態で柄が施されているので、
折り合わされた帯の表地になる側だけではなく、
裏地側にも柄が渡っているという、
とても贅沢なつくりになっています。

また、第一礼装として用いられていたので、
ほかの帯にはないような豪華な柄が
職人さんの卓越した技でつくられています。



上の写真は、花邑所有の丸帯です。
夏の絽地に豪華絢爛の花車文が織りと刺繍で表されています。
金糸や銀糸が多く使われ、
刺繍が厚く施されています。
また、漆(うるし)も織り込まれています。



裏側の方にも刺繍が施されています。



前の柄も豪華絢爛です。

とても華やかで重厚感のある「丸帯」ですが、
裏側にも柄が施されているためか、とても重いのです。
そのため、現在では丸帯を簡略化した「袋帯」が
主流になっています。
現在では「丸帯」がつくられることも少なく、
締められることもほとんどないようです。

しかし、華麗な柄は眺めるだけでも十分ですし、
江戸から昭和初期までの卓越した職人の技を
見ることができるので、とても貴重な帯です。

(※1)詳しくは、08.6.17更新の「帯の種類-丸帯について-」をご覧ください。

花邑のブログ、「花邑の帯あそび」
次回の更新は4月28日(火)予定です。


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