花邑の帯あそび

1本の帯を通して素敵な出会いがありますように…

「籠目文様」について

2011-07-06 | 文様について

presented by hanamura


明日は七夕ですね。
東京では、ここ数日間、
夏本番ともいえるような日が続いています。

それでも、まだ梅雨が明けていないこともあり、
朝晩は幾分涼やかで過ごしやすいですね。
天気も不安定で、急に雨雲が広がることも多いです。
今年の七夕は天の川がきれいにみえるでしょうか?

蒸し暑くなってくるに従い、
いままで外に一晩出しておいても
大丈夫だった野菜も、
痛みやすくなってきます。

そういった野菜はついつい冷蔵庫に入れてしまいがちですが、
茄子やきゅうりなどは、冷蔵庫に入れると
長持ちしなくなってしまいますよね。

そういった野菜は、竹で編んだ籠にいれておけば
通気性が良いので、比較的長期間持つようです。
たとえ採れたての野菜でなくても、
竹籠に入れられた野菜は
新鮮そうで、食欲をそそります。

編み目によって空気がよく通る籠は、
夏に見ると、目にもたいへん涼しげです。
竹と竹が織りなす籠目は素朴で不均一ですが、
機械でつくられたものにはない
深い趣きが感じられます。

夏ならではの風情といえば、
花火やお祭りなどさまざまにありますが、
こういった日常的な風景で夏の風情を楽しむことも
大切ですね。

竹籠でつくったバックは、
夏のお着物や浴衣などにもよく合います。

今日は籠目(かごめ)文様について
お話ししましょう。

籠目文様とは、一筆書きの星のような形で
上下が反対になった三角形を重ねたものが
連続している文様です。
農業の際に用いる背負い籠(しょいかご)の目に
似ていることから、この名前が付けられました。

「かーごーめー かごめ かーごのなーかーのとーりーは♪」ではじまる、
「かごめかごめ」のわらべ歌のなかの「かごめ」も
この籠目のことです。
トマトジュースやケチャップで有名な食品会社の社名も
この文様をロゴマークに配していたことによります。



上の写真は、籠目文様に四季の草花が配された型染めの名古屋帯です。
幾何学的な籠目文様が華やかな意匠のアクセントとなっています。

籠目文様の起源は定かではありません。
一説には青銅時代にはすでに用いられていたと
されています。

伊勢神宮にある石灯籠には、
籠目文が単独で記されています。

また、清和源氏の家紋にも、
この籠目文様が用いられています。

単独にすると六芒星とも言われています。
この六芒星は「六角星」とも「ヘキサグラム」ともよばれ、
ユダヤ教では神聖な文様とされいます。
ユダヤ人の国、イスラエルの国旗の中央に配されているのを
皆さんも目にされたことがあるでしょう。
古代イスラエルのダビデ王の紋章として
「ダビデの星」とよばれることもあります。

ユダヤ人の言語のヘブライ語と日本語とはたいへん似ている、
もしくはほとんど同じという言葉が数々あるということもあって
ユダヤ人と日本人の祖先は同じではないかという
説も唱えられてもいます。

その真相はわかりませんが、
正三角形を上下に重ねた籠目文様は
日本でも同じように神秘的なものとされました。

「籠」という漢字は「竹」と「龍」にわけることができます。
籠の中には神秘的な力を持った龍が封印されていて
神秘的な力が宿るという解釈もされ、
そのゆえに籠目文様は魔除けのしるしともされました。

江戸時代の武将たちは、
こうした邪を払う力にあやかろうと
夏季に着る帷子(かたびら)に
この籠目文様を用いていました。

なぜ夏季の着物だけに籠目文様を用いたのか
という点についてはよくわかっていませんが、
やはり籠目の大きな編み目が
見た目に涼やかな意匠だったからなのではないでしょうか。


※写真は花邑 銀座店にてご紹介している名古屋帯です。

花邑のブログ、「花邑の帯あそび」次回の更新は7月13日(水)予定です。

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