ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

おせん きくち正太

2024-02-20 13:10:12 | 

マスコミの力は凄い。

一人の原作者が絶望して自死をしてしまった事件をも消し去らんとしている。日ごろ人権派を謳う政治家も記者も、マスコミ様の意向の前にはひれ伏してしまう。

小説や漫画を原作としてアニメ化、実写化をしようとすれば、どうしても修正が必要になる場合はあると思う。映像の情報量は膨大で、映像を真剣に製作しようと考えれば、小説も漫画も情報量が絶対的に不足するからだ。

だからこそ私は原作と映像化、アニメ化された作品は別物だと割り切るようにしている。しかしながら原作を買い取ったつもりで、勝手に変えてはいけないと思う。そして、それを平然とやってきたのが日本のTV局である。

かつて週刊モーニングという漫画雑誌に「おせん」という漫画が連載されていた。東京は下町の割烹料亭を舞台に繰り広げられる下町情緒あふれる漫画であった。なによりも、その画風が独特で、色使いも華やかで毎回楽しみに読んでいた。

人気が出るにつれ「おせん」の実写ドラマ化がなされたが、これが酷いものだった。おそらく最初にジャニタレの起用ありきの企画で、原作にはない恋愛要素がぶちこまれてしまい、原作の持つ良さが消え去った驚異の駄作であった。

あまりの酷い実写化に衝撃を受け、作者のきくち正太氏は連載を中断しただけでなく、漫画家自体を廃業してしまった。類似の絵柄のない貴重な漫画家だけに、漫画業界は貴重な人材を失ったと思った。そして担当編集者はどうしたかは知らないが、出版社はそのまま幕引きを狙い、当時たいした話題になることなく消え去った事件であった。

この「おせん」を担当したTV局のプロデューサーは、実は「セクシー田中さん」をも担当しており、原作クラッシャーであることをまったく反省していないことが良く分かる。私はこの人が主犯であると考えており、脚本家なんてその手先に過ぎないと思う。

ほぼ間違いなく、今回も沈黙を貫いて事件の抹消を狙っていると私は邪推している。なにせ日ごろ、人権派を謳い文句としている良心的ジャーナリスト様のほとんどが同調して無視しているのですからね。

なお、2008年に筆を折ったきくち正太氏ですが、心の傷も癒えたのか「おせん 和の女」として再開されています。もちろん出版社は変えていますね。作家を守らぬ出版社なんて不要ですから当然です。


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6 コメント

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Unknown (gabaosan)
2024-02-20 15:07:44
ヌマンタさん、こんにちは。

私も昔、モーニングを愛読していた時期がありまして、この「おせん」も記憶に残っておりますが、実写化を巡ってそんな経緯があったとは知りませんでした。

ドラマは観ていませんが、原作のイメージとジャニタレ起用とは、如何にも喰い合わせが悪いですね。

ご主張の通り、出版社がもっと頑張らなくてはいかんのでしょうね。
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Unknown (たたら)
2024-02-20 21:58:27
お邪魔します(*- -)(*_ _)ペコリ
実はドラマの『おせん』見てます。
うーん、て感じで結局最終回まで見ませんでした。
『セクシー田中さん』のことがあって初めて連載がストップしたこと、作者さんが筆を折ったこと、そして当時チーフプロデューサーの一人がM氏だということを知りました。
小学館の『たーたん』という連載中の漫画が『セクシー田中さん』チームでドラマ化するそうですが、今のところ二の足を踏んでいるようです。
『たーたん』は絶対に完結するまでドラマ化しないでほしいです!!!!!
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Unknown (ヌマンタ)
2024-02-21 09:24:37
gabaoさん、こんにちは。出版社にもよりますが、ここはダメでしたね。担当編集者は分かりませんが、出版社の上層部の頭が古すぎた。やはり弁護士を介在させて文書化した契約を作る必要があると思います。
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Unknown (ヌマンタ)
2024-02-21 09:28:08
たたらさん、こんにちは。集英社のジャンプ系列の漫画だと、出版社がけっこう上手く仕切れるようですが、小学館はTV局とずぶずぶですね。門外漢の私でも今は待つべきだと思います。

ちなみに件のプロデューサー、まったく表に出てきませんね。隠れて逃げ切るつもりなのでしょう。この人こそ自殺に追い込んだ主犯だと思います。
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Unknown (kinkacho)
2024-02-21 15:00:50
ヌマンタさん、こんにちは。
原作と映像は別物と考えるは、昔から映像化に臍を噛んでいた読者の自衛だと思うんですよ。
最近、映画ではボチボチ上手な映像化が出できたと思ってたら、この事件ですから...
この加害者をボコボコに叩きたいです。
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Unknown (ヌマンタ)
2024-02-22 14:45:14
kinkachoさん、こんにちは。たしかに自衛の気持ちってあったと思います。あんまりな作品、多すぎましたから。しかし、相変わらず件のプロデューサー、表に出てきませんね。
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