水の力は凄まじい。急峻な谷あいを轟音を立てて流れる激流は、山肌を削り巨大な岩石を押し流す。されど、深いよどみにつかまり、穏やかな水面を取り戻す。激流を制するは静水なり。
十代の半ば頃、ハードボイルド小説にはまっていた。ハメット、マクドナルド、ペンドルドン、大藪晴彦、西村寿行・・・マンガで言えば劇画調とでも言ったらいいのか。激しい文体と、苛烈な表現に酔っていた。純文学など、見向きもしなかった。
そんな私が国語の教科書で読んだ、庄野潤三に驚いた。なんという深みと落ち着きのある文章なのか。憑き物がとれたが如く、平穏を取り戻し、読書の幅も広がった。私の見識を深め、広めてくれた恩師といっていい小説家、それが庄野潤三です。
あれから20数年経ちますが、私には未だ庄野氏が書き描く世界が見えない。ただ遠くに静かな光を放ちながら佇むのを見つめるだけ。あのような静謐な文章を書ける精神に、ただただ憧れ、立ち尽くすのみ。
もしかしたら私には届かない世界なのだろうか。そんな不安が脳裏を掠める今日この頃です。
十代の半ば頃、ハードボイルド小説にはまっていた。ハメット、マクドナルド、ペンドルドン、大藪晴彦、西村寿行・・・マンガで言えば劇画調とでも言ったらいいのか。激しい文体と、苛烈な表現に酔っていた。純文学など、見向きもしなかった。
そんな私が国語の教科書で読んだ、庄野潤三に驚いた。なんという深みと落ち着きのある文章なのか。憑き物がとれたが如く、平穏を取り戻し、読書の幅も広がった。私の見識を深め、広めてくれた恩師といっていい小説家、それが庄野潤三です。
あれから20数年経ちますが、私には未だ庄野氏が書き描く世界が見えない。ただ遠くに静かな光を放ちながら佇むのを見つめるだけ。あのような静謐な文章を書ける精神に、ただただ憧れ、立ち尽くすのみ。
もしかしたら私には届かない世界なのだろうか。そんな不安が脳裏を掠める今日この頃です。
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