ヌマンタの書斎

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今年の年末調整

2020-12-16 11:59:00 | 経済・金融・税制
私はネット上では仕事はしないと決めている。

だから、あまり税務会計に関することは書きたくないのだが、これは書いておいた方が良さそうだ。

なにかといえば年末調整である。給与を貰っている人は、この年末調整の手続きにより税金の還付を受けられる。これを楽しみにしている人は多いと思う。

実のところ、年末調整業務はそれほど難しくない。所得税法の法規集は、けっこう難解な用語で書かれているので分かりずらい。しかし、定型化された書式に従い数字を記入しておけば、税法を知らなくても計算できるようになっている。

だから業務にコンピューターが導入されると、表計算ソフトでマクロを組んで年末調整をする業者もいる。大企業ならば自社の経理部門でやれるし、中小零細でも自分でやっているところが多い。

だから私ら税理士も、この年末調整は依頼があれば受けるが、そうでない場合は放置気味だ。まァ法改正があった場合、顧問先には指導を入れている。忙しくて年末調整に手をかける余裕がない場合は、うちの事務所で代行している。

私らは税務ソフトを導入しているので、法改正があろうと問題なく対処できる。ところが訪問先で相談を受ける場合もあるので、一応手書きでも年末調整は出来るようにしている。

実はこれが案外と難物。日ごろ税務ソフトにまかせっきりだと、いざ手書きでやろうとすると結構手間取る。特に今年は例年になく手間取る。もっとも、これは事前に予測されていたことでもある。

税務署主催の会計事務所向けの研修で、講師役の税務署の担当者が嘆いていた。「今年の年末調整は、長年この業務を担当してきた私でも、何度もやり直し、テキストを熟読せざる得ませんでした」と冒頭で愚痴っていた。(京橋署じゃないよ)

私もテキストは読んでいたが、いざ手書きでやってみると思いの外面唐ュさい。しかも肝心の計算が合わない。

もし手書きで年末調整をやっている経理担当者がいたら、今年は覚悟してください。特に下記の事項は要注意です。なお、エクセル等で年末調整をやっていた方は、今年は見直さないとダメですよ。

1 基礎控除
2 配偶者控除
3 所得金額調整控除
4 特定扶養控除

今回の税法改正は、一人親への負担緩和などが報じられていましたが、いざ実務に入ると実質増税ではないかと私は勘繰っています。特に年収1000万以上の方は、増税になることが少なくないと思います。

なんだ高所得者への増税かと軽く思った方もいるでしょうが、現在の日本ではこのクラスの方が一番税負担をきつく感じている現実をご存じないと思います。収入が多い方は出費も多いのが普通。本当の高額所得者とは、年収5000万以上だと私は考えています。なぜか不思議と知られていませんが、彼らは不満を口にしないことが多いので目立たないだけ。

中規模の所得者に高負担を求める悪癖こそが、日本を衰退させると私は考えています。なんだか中産階級を没落させたアメリカの後を追っているようで、感じが悪いです。
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