ヌマンタの書斎

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食べる 店の流儀 客の心得 服部幸應・山本益博

2021-09-06 11:39:00 | 
絶対に私はグルメではない。

その点には確信がある。実際、若い頃は、お腹がいっぱいになること、すなわち満腹が幸せであり、味は二の次であった。

そのせいか、懐石料理など小皿にチマチマと出される料理には満足できなかった。美味い不味い以前の問題であり、なによりも量が少ないことが不満であった。

もっとも食べ放題が好きな訳でもなかった。たしかに腹いっぱい食べられる満足感はあるが、すぐに気が付いた。これ、あまり美味くないぞと。でも、雰囲気というか、みんなで楽しく食べるのは好きなので、たいした不満はない。

どんなに出された食事が美味しくとも、同席する人と楽しめない食事は辛い。これは社会人となり、仕事上の付き合いというか接待で結構経験している。仕事優先なので、食事を楽しむことは抑えるのは当然である。

ただ、大人になるとマナーとか、心構えの問題が出てくる。客として店とどのように対峙するか。これが結構悩ましい。その店にとって、よい客となれるかどうかは重要な問題である。

上客として認められれば、メニューにはないサービスを受けられることは良くある事。また料理のコツや、食材の仕入れの目利きの話など興味深い経験談を聞かせてもらえるのも特権の一つだ。

私は不器用なので、なかなか上客として認められなかったが、それでも10年以上通えば、それなりに認めてもらえる。そんなお店が数軒あったのだが、現在はまったくない。

店主が高齢で引退したり、後継者不足で閉店したりと良くある話である。しかし、この新型コロナ禍で店が潰れたのは、あまりに残念無念であった。あまり酒を飲まない私は、食事の美味しい店を好む。

しかし、安くて美味しい店の食事は、その原価を切り詰めて提供している。そのかわり客に酒を飲んでもらうことで利益を確保していることが多い。それを知っていたので、飲めないながらも美味い酒を頼んでいた。

しかし、コロナによる自粛は、酒類の販売に大きく制約をかけた。そのため、安くて美味しい店ほど、大きなダメージを被った。閉店も止む無しとの決断を尊重せざるを得ない。

飲酒が長時間の滞在につながり、コロナ感染のリスクを高めるとの判断なのだろ。でも私のように短時間で飲んで食べる場合、そのリスクは低いと思う。要は、飲食店のように閉ざされた空間での密の状態を減らす目的なのは分かる。

分るけれど、この制限は具体的なデーターを元に検証しているのか。敢えて書くけど、たしかに霞が関のお役人様や、永田町の政治家様、新聞社やTV局の記者様は長時間、酒を飲みながら時間を潰すのが好きだ。

こんなコロナ禍にあっても、役人やマスコミ様が酒を伴う飲食に密かに励んでいることは、既に報道されている。でも、彼らが愚民だと蔑む一般庶民は、むしろ短時間で飲み食いを済ませているぞ。

もっといえば牛丼屋や立ち食いソバ、カウンターだけのラーメン店で酒を禁止する意味、あるのか私は大いに疑問だ。性格の悪い私の想像だと、飲食店の現場の実情など碌に検証せずに、適当にエイヤっと酒の制限を決めただけだと思うぞ。

だいぶ脱線したが、表題の書は調理師学校の師として知られる服部氏と、料理評論家として著名な山本氏が、それぞれ自身の食道楽の歴史と、本当に美味しい店を見出すコツや、馴染みになるコツを解説したものだ。なるほどと思うこともけっこうあるので、けっこう参考になった。

ただ・・・この書で紹介された名店のなかには、既に閉店したものも多い。それが一寸残念でした。
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