ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

プロレスってさ クラッシャー・バンバン・ビガロ

2012-09-13 10:53:00 | スポーツ

デブよりノッポほうが喧嘩が強いと云われている。

たしかに背の高い奴は、腕も足も長いので、こちらの手足が届かない距離から殴ってくる。しかも長い手だけに可動域が広く、体重をのせないジャブでもかなり威力がある。しかも、上から叩きつけるように殴ってくるので威力は倍増している。

だから私は背の高い奴との喧嘩を苦手としていた。はっきり言って、勝つためには寝技に持ち込むしかなく、道路上では無理だ。アスファルトという奴は、案外と表面がギザギザしていて、寝技なんてやろうものなら体中傷だらけになる。だから下が土か屋内でもないかぎり、背の高い奴との喧嘩は避けたほうが賢明だ。

一方デブとの喧嘩は、いささか様相が違う。太り方にもよるが、一番怖いのは固太りしている奴だ。これはラグビーなど身体のぶつかり合いで鍛えられた奴に多く、筋肉の周囲に脂肪が巻いている感じで、打撃がまったく効かない。

もっとも普通にただ太っているだけなら話は別だ。脂肪があついので殴っても堪えないのは同じ。でも、動きが鈍く、しかも耐久力がないので息切れするのを待ってから、足技で転がせば案外勝ちやすい。

もっとも寝技に持ち込んでも、手足がぶっとくて上手く関節を取れない場合もある。しかも、上に乗っかられると重いので、こちらがスタミナ切れしそうになる。結局のところ、格闘技の技量が低い私の場合、デブでもノッポも厄介であった。

ただ、経験的にはノッポのほうが強い奴が多かったと思っている。もっとも例外はどこにでもある。デブでも俊敏で運動神経の良い奴、これは喧嘩相手としては、極めつけに厄介だった。

プロレスの世界でも事情は同じで、やはりデブ型のレスラーよりもノッポのレスラーのほうが強いとされている。ちなみにアンドレ・ザ・ジャイアントはデブで長身という規格外の身体(身長2m38cm、体重250キロ)だが、若い時の体重が180キロ台で痩せている時でも問答無用で強かった。この人はデカすぎなので例外だろう。

もっとも、どこにでも例外はいるもので、今回取り上げるクラッシャー・バンバン・ビガロはその典型だ。とにかくまん丸のデブなのだが、マットの上で軽々と側転をやってのける。おまけに俊敏で、運動神経はかなりいい。

剃りあげた頭頂部から下半身まで、おどおどしい刺青が入っているせいで、恐ろしげに見えるが、実は頭も良く、プロレスが上手だった。デビューしたころは、怪奇レスラー的な扱いを受けていたが、その器用さと頭の良さで、どんな相手ともプロレスを演じてみせると評価はうなぎ上り。

たしかにどんなへぼレスラーとも、そこそこの試合を組み立てられる器用な人だった。旧ソ連からメダリストのアマチュア・レスラーを新日本が招聘した際にも、アメリカ代表としてソ連人レスラーと対戦して、プロレスのイロハを仕込んだことでも知られている。これは馬鹿では出来ない。プロレスをよく理解していたビガロだからこそ、出来たと言える。そのせいで、新日本プロレスの幹部たちからの評価は、非常に高かった。

ただ、タッグを組んだ相手が悪かった。やはりデブだけど異常に喧嘩が強いビックバン・ベイダーは、強いことは強いのだが、手加減が下手。つまりプロレスが下手なので、ビガロは裏方に回って試合がプロレスで済むよう四苦八苦していたように思えた。

強く引き止める新日本プロレス幹部たちの説得を断り、主戦場をアメリカに移した原因は、このあたりにあったように思えた。私としては、もう少し日本のマットで、じっくりと観たいレスラーであっただけに残念だ。

ちなみに芸達者なビガロは、日本のTV番組にも登場している。たしか、とんねるずの「みなさんのおかげです」で仮面ノリダーの対戦相手として現れて、しっかりとギャグをかましている。

これだけ多彩な才能に恵まれたビガロだが、実は45歳の若さで亡くなっている。どうも薬物中毒らしいのだが、よくは分からない。刺青だらけの外見から、やはり悪人だったのだと思われそうなのが気の毒だ。

ビガロはアメリカの自宅の近くで火事が起きた際、火の中に飛び込んで余所の子供を救出して大やけどを負っている。この時の怪我が意外に重く、これ以降プロレスからは手を引いている。その後、交通事故を起こして同乗者が死んだりと不幸が続き、その数年後の薬物死であった。

全身刺青だらけの乱暴者のデブという誤解を招きやすい外見であったが、中身はまともな人であっただけに、早過ぎる引退と死は残念でなりません。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 桐生市中学生事故死に思うこと | トップ | プールでの飛び込み »

コメントを投稿

スポーツ」カテゴリの最新記事