メディアミックスという言葉がある。
元々は広告業界で使われていたようだが、実のところ、そのビジネス手法は古くからある。
私が子供の頃に夢中であったウルトラマンを例にとれば、TVドラマがメインだが、同時に漫画化もされたし、映画にもなっている。そしてなによりも関連商品の売り上げが凄まじかった。
私のおもちゃ箱には、いつだってウルトラマンと怪獣の人形が仕舞いこんであった。柔らかいプラスティックで出来た人形であり、これを手に取って怪獣ごっこに夢中であった。
他にも仮面ライダーとか、魔法使いサリーちゃんとか、関連した商品が多数あるものは珍しくない。概ね、原作があり、それをTV局や広告代理店、出版プロダクションらが仕切って、ビジネスとして展開されていた。
この手法は、かなり広まっており、このメディアミックスを採用することは、今では当然のこととされている。以前はマスメディアや、出版社、広告代理店などのプロが採用するビジネスであったが、最近はプロだけでなく、アマチュアまでメディアミックスを展開する有り様である。
最近の成功例は、なんといってもあの「妖怪ウォッチ」であろうが、正直今では最盛期ほどの勢いはない。代わって現在、子供たちに大人気なのが表題の「けものフレンズ」だそうだ。
私は当初、この「けものフレンズ」を見かけた際、男の子というか男性目当てのメディアミックスだと思っていたが、実のところ女の子のほうが人気は高いらしい。
ほぅ~と思い、よくよく見てみると、どこかで見た絵柄である。誰の絵だろうか?
ネットで調べたら、なんとあの「ケロロ軍曹」の吉崎観音(みお)であった。そういえば、顔の造形が、ケロロに出てくる女性キャラに似ている。ただし、吉崎氏の関与は、もっぱら絵柄のデザインであり、作品自体は「けものフレンズ製作委員会」が主導しているという。
もはや作者とか主人公が主体で作られるのではなく、如何に売れるかを真剣に考えての作品作りが主流であるらしい。正直、少し違和感というか、なんとなく寂しさを感じたのは、私が古い人間なのだからであろうか。
ところでこの作品は、動物たちを可愛い女の子に擬人化してデザインされたようで、主人公格は、あのアフリカでもマイナーな動物であるサーバルキャットのサーバルちゃんである。
白状すると、それだけで私なんぞは脱力してみる気が失せるのだが、可愛らしい絵柄なのは確かなので、男の子というかおたく男子に人気が出るのかと思いきや、実際には女の子に人気だと聞いて妙に思っていた。
先日、CS放送で長時間、アニメを一気に放送していたので、少しだけ見てみて納得した。登場する擬人化された女の子キャラ同士の関係が、もろに実際の女の子たちの実態に近い。
一般論だが、女の子のほうが男の子よりも精神的な成熟が早く、また人間関係の複雑さも男の子のそれをはるかに超える。それだけに、個性的な動物キャラたちの微妙に繊細で、時には過激に走る会話などは、男の子よりも女の子に共感されるのではないだろうか。
短時間、見ただけの感想なので確信がある訳でもないのだが、子供向けアニメも馬鹿に出来ないなァと思った次第。
余談ですけど、私は野生動物の愛玩化には反対なのです。犬や猫のように人間と共生できる動物は、長年の育成と改良の成果であり、本来野生動物と人間は、どちらかといえば敵対関係にあることが正常だと考えているからです。
ネットなどで時折、野生動物に安易に近づいて大怪我をしたニュースなどを見かけると、野生動物への異様な親近感を求めるのは先進国の人間だけのようです。安全で快適な先進国だと、野性との適切な距離の取り方が分からなくなるのかもしれませんね。
今の不景気の時代、オタク業界もアニメ業界も予算が無くて大変だと思いますよ。
どの業界でも大変ですよ・・・わが身を顧みてそう痛感しています。