内勤と思われがちだが、私は案外と外回りが多い。
だいたい週の半分は、顧客まわりに充てている。大半が電車での移動なのだが、9月は困惑することが多かった。思わぬ時に電車が止まるのだ。
もちろん、台風による大雨での運行停止もあるが、これは天災だし、予測可能なので、ある程度は対応できる。困るのは、やはり事故である。とりわけJRはこの事故による運行遅れなどが目立つ。
ただ、線路内人立ち入りとか、人身事故(飛び込み自殺多し)などはJRも被害者であるから致し方ない。しかし、先月くらいからだが、送電線のトラブルなどで運行停止が頻発していた。
これは突発的に起こるので、予測できないために、非常に対応に苦労した。約束の時間には間に合わないし、どれだけ遅れるのかさえも分からない。私のミスではないにしろ、仕事上非常に困っていた。
私は当初は、JRのメンテナンスの手抜きが原因ではないかと疑っていた。国労や動労など組合関係者が関係していると思われる仕事の怠惰による事故が、JRに頻発しているのは、なにも北海道だけではない。
ところが先週の報道で、犯人と思しき人物が逮捕された。驚いたことに、その被疑者は40代の自称ミュージシャンで、JRが電気を使い過ぎると不満を抱き犯行に及んだらしい。
その報道が本当だとしたら、この被疑者おそろしく無知だ。たしかに鉄道事業は多量の電気を消費する。しかし、電気による運送効率は、普通の車はもちろん、ハイブリッド車をはるかに上回る。もちろんトラックよりも、鉄道運送のほうがはるかにエネルギー効率は高い。
なにを原因でJRを憎んだのか知らないが、八つ当たりもいいところである。
多分、日常的な不満を貯め込み、そのはけ口として放火に及んだのだろう。自称ミュージシャンとのことだが、その演奏と歌を目にしたが、アマチュアというか、自己満足だけの売り物にならない音楽に思えた。だからこそ、自称なのだろう。
40過ぎてまで、親から毎月20万のお小遣いをもらって暮らしていたようなので、生活のために稼ぐ苦労をたいして知らないのだろう。多分、本人は自身を苦労人だと思っているし、運に恵まれない、あるいは世間から理解されぬ孤高の音楽家気取りなのだと思う。
それが甘えだと気付けない程度の苦労人に過ぎない。プロとして音楽で稼ぐのは容易ではない。私は過去に何人もそのような方をみてきたが、成功しているのは、好きな音楽ではなく、売れる音楽をやっている人だ。
自分がやりたいことではなく、周囲から求められる音楽をやることで、金を稼ぐ。それがプロとしての生き方であり、厳しさでもある。自分の音楽が理解されない?
それは、ただ単に自分の音楽が未熟なだけ。自己の感性が未成熟なだけであり、自己研鑽を怠って生きた来た証左でもある。そんなバカの八つ当たりで、鉄道の送電線に放火して、数十万人の人たちに迷惑をかけたのだから言語道断である。
私としては厳罰に処して欲しいと願うばかりである。
父親は世界的にも高名な版画家で、某有名国立大名誉教授。母親は元某国大使の娘だとか。つまりかなり上流階級の家庭で育ったハーフ。名前も変わっているなと思ったら旧約聖書の登場人物から取っているんですね。
大学卒業後一度もまともに働いたことがなく、40過ぎまで親から月20万円の生活費を貰うなんて、「親の最大の仕事は子どもを自立させること」と思っている私には、親の子育ての失敗としか思えません。それとも聖書の「放蕩息子」を地で行く父子なんでしょうかね?
JRのさまざまな理由による遅延は近年とみに増えているようで、私もギャラリートークの為に美術館に向かう際に、電車が止まって、いつまでも運行再開の目処が立たず、大変な思いを何度もしたことがあります。もうウンザリです。
電車移動が多いと、JRの事故の多さはどうしても目につきます。民営化されてからのほうが、事故が多く感じてしまうのは、情報の伝達が早くなったからでもあるでしょうが、いずれにせよ迷惑なのは間違いないです。