子供の目がキラキラ輝くのが苦手だ。
あれはロンドン郊外のヒースロー空港でのことであった。目的地のブリュッセルには、日本からの直行便がないため、ここヒースローで乗り換える訳だが、4時間も空いてしまった。
いくら広くて快適なヒースロー空港といえども、トランジットで4時間は辛い。中途半端すぎるのだ。さて、どうする?
待合室の長いすに寝そべり、少し眠ろうかと思ったが、子供たちの声がうるさくて眠れやしない。ふと見ると、私の手前で金髪の男の子が、ピカチューのヌイグルミと一人遊びをしている。こんなところで、日本のポケモンに出会うとは思わなかった。
暇を持て余した私は、手元にあったレポート用紙にボールペンでピカチューの絵を描いてみた。単なる時間つぶしではあるが、単純に描いたのでは面白くないので、ピカチューが青筋たてて怒っている顔にしてみた。
別に難しくない。額に青筋描いて、目を丸から三角に変えればいいだけだ。我ながら、良く描けた。ちょっと反応が見てみたくなって、Hey BOYと声をかけて、その金髪の男の子に渡してみた。
すると、その男の子、しばし硬直して絵を見つめていた。次の瞬間、なにやら叫ぶと、走り去っていく。なんなんだ?
どうやらお母さんの元に駆け寄り、こちらを指差しながら、なにやら喋っている。ありゃりゃ・・・お母さんと思しき人が軽く会釈をよこしたので、こちらも軽く頭を下げる。
さて、一休みするかと思いきや、周りを見渡すと、5人ほどの子供たちが私を囲んで、紙を差し出してきた。おいおい、これに描けっていうのかい。
断ろうかと思ったが、どの子も目をキラキラさせて見つめてきやがる。ハッ~とため息一つついて、ボールペンを手に取った。まァ、5枚くらいなら描いてやるか。
ところがだ、気がつくと子供たちが集まってきている。どうみても15人はいるぞ。なかにはビカチュー以外のポケモンを描いてとねだって(どうも、そう言っているとしか思えない)くる子もいる。青い雀みたいな奴とか、緑のトカゲとか、わけ分らん。
勘違いされると困るから、はっきり言えば、私の描いたポケモンなんて、悪戯描きレベルに過ぎない。ただ、ちょっと手を加えて遊び心をだしただけだ。なんで、こんな絵が欲しいのか?
それから一時間弱、私はポケモンの絵を描き続ける羽目に陥った。後になって気がついたのだが、どうやら、一族で旅行に行こうとしている家族グループであったらしい。
飽きっぽい子供たちが、やがてボール遊びに夢中になって、ようやく私は解放された。すると、私の目の前に、紅茶の入った紙コップと、サンドイッチが差し出された。
先ほどのお母さんと、初老の男性だった。お礼のつもりらしい。断るのもなんなので、ありがたく受け取っておく。私が英語を苦手だと分ると、ゆっくりと話してくれたので、おおまかに意味は伝わってきた。
どうも私を任天堂の社員かなにかだと思ったらしい。こちらが、ただ絵が好きなだけだと答えると、大げさに驚いていた。ただの素人絵に過ぎないと思うのだが、悪い気はしない。
どうもスコットランドから来たらしい。どうりで癖の強い英語だと思った。やがてフライトを案内するアナウンスと共に、初老の男性が口笛を吹いて子供たちを集めて、立ち去っていった。
よくまあ、あれだけの子供たちを統率できるものだと感心した。立ち去り際に、数人の子供たちが、私の描いた絵を嬉しそうに頭上に上げて、手を振って挨拶してくれた。
こんな出会いと別れも悪くない。でも、まあ、ポケモンの絵を描くのは当分勘弁である。あんな期待を込められた瞳で見つめられたら、断るに断れないぞ。
わ~、ピカチュー、可愛い~。私にも描いて~。(目をキラキラさせてます。笑)
ステキな想い出ですね。子供達もとっても嬉しかっただろうと思いますよ。
ヌマンタさんにとっても、子供達にとっても一生心に残るのではないかしら?
↓の記事、私もまったく同じ意見。福島の野菜が発売されたら私絶対買いますよ。少なくとも中国産の野菜よりず~っと安心です。拍手します。☆ミ
10年位前まで欧米でのャPモン熱はキチガイ沙汰でしたからねぇ。息子は熱狂的ファンでしたねぇ。私もピカチューや他のャPモンの絵を描いたりしてました。極めつけはハロウィーンにピカチューの顔をパンプキンに彫って、子供が100人位玄関に集まっちゃって閉口した事かな。まあ一人づつピカチューパンプキンと記念写真を撮り、親御さんにプレゼントしましたが。。なんたって子供達のキラキラ目。拒絶出来ないのよねぇ。
私が日本に行く度に近所の人とか夫の友達とかが「何でもいいからャPモンのグッズを買ってきて」なんて言われて。。彼等の子供達がキラキラ目を輝かせて「お願い」なんて言う。
あ~。
お人好しの日本人おばさんはャPモングッズを大量購入。私はご近所の子供達のヒーロー。
あ~。
その上私はアメリカ版「ャPモン」のキャラクター達そっくりの声が出せたので図書館で小さな子供達に「ャPモン」の絵本の朗読もしました。ぎゃはは。子供達の目はキラキラ。
大人から見るとヘタクソな絵でも、子供達の目から見ると天才画家!私の朗読も大人からするとアジア訛り。でも子供達からすると「ャPモン語」の達人。目はキラキラ。
あ~。
ところでこの投稿の本意は何?「子供の輝く目」「ャPモン」「ピカチュー」それとも「ヌマンタの隠れた才能:ピカチューの似顔絵画家」?う~ん。
とっても楽しんで読ませて頂きました。
ぴ~ッかっ、ちゅ~っ!!
ヌマンタさん、ナイス!!!