ヌマンタの書斎

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軍事協力

2024-01-25 09:27:22 | 社会・政治・一般

戦後の日本の最大の欠陥は軍事知識の欠如だと思う。

その最たるものが、平和=戦争がないこと。すなわち戦争を起こす道具=兵器がなければ戦争は起きないと思い込める暗愚さだ。人類が国家を造るようになって以降、平和を保つためにこそ適切な軍備が必要なのが常識であった。

これは日本に限らず、世界中で通用する常識であったのだが、第二次世界大戦後の日本では、アメリカ軍が日本の国防を代替することで、かつての仇敵である日本を封じ込めた副作用として、おかしな平和幻想がまかり通るようになってしまった。

日本を非武装国家として利用するつもりであったアメリカも、朝鮮戦争の時には再軍備を日本に推奨する羽目になり、当初の非武装国家戦略は破綻した。ただしアメリカは日本軍をアメリカ軍の補助兵力として活用するつもりであったため、日本の軍隊はかなりいびつな形で存在している。

なにせ陸軍はソ連の日本列島侵略を防ぐためであり、海軍は潜水艦と護衛艦中心でアメリカ軍第七艦隊を守る為、そして空軍は在日本米軍基地を防衛するための存在である。そのために日本の軍隊が保有する敵味方判別装置はアメリカ軍が提供するブラックボックスとなっている。私が自衛隊をアメリカ軍護衛隊と揶揄する所以である。

だが湾岸戦争以来、国連決議があれば日本は海外に軍隊を派遣できるようになっている。法令上で明文化されていないのが怖いが、第二次世界大戦を軍事統制の失敗だと適切に反省していないツケである。幸い、これはアメリカの暗黙の了解の上での行為なので、なぜだが霞が関も永田町も実効性のある反対はしていない。

この先例に味を占めたアメリカ軍は、今後国連の名のもとに日本軍の海外活用を推し進めたいのだろう。そして、そこで終わらないのがアメリカの怖いところだ。一応、日本は武器の輸出を禁じている。ただし、これはアメリカのような同盟国には適用されなくなっている。しかも、いつのまにやらである。

脳内お花畑の平和原理主義者がこの意味を理解していないのは、ある意味当然である。しかし、ある程度の知識があるはずの新聞やTV局が兵站の協力が立派な軍事行為であることを理解していないのは困る。間違いなく今の日本はアメリカの軍事協力国である。

だが軍事同盟を締結しているアメリカ相手なら、まだ致し方ないと理解できる。次期国産戦闘機とされるF3のイギリス、イタリアとの共同開発もまぁ理解の範囲内だ。しかし、台湾はどうだろうか。

日本の平和に真剣に関心がある方なら分かると思うが、実は昨年台湾が新型潜水艦を建造した。実はこれが台湾初の国産潜水艦なのだ。通常型、すなわちディーゼルエンジンとリチウム電池との併用型であり、基準排水量は3千トンを超える巨艦である。

軍事用潜水艦を製造できる国はそう多くない。断言するが、過去に一隻も潜水艦を製造したことのない国だとライセンス生産でさえ難しいはずだ。実際ライセンス生産の経験がある某半島国家は、未だにまともに運用できる潜水艦を作れずにいる。

今回台湾で建造された潜水艦には欧米の非公式な支援があることは公表されている。特に武装管制システムはアメリカである。何故だが、この点をもって日本よりも高性能だと報道した記事を見かけたが、アメリカが最新装備を提供することはなく、常に型落ちの装備を輸出することを知らない人の書いた記事だろう。

また潜水艦用のディーゼルエンジンは特許の塊であり、どの国のものを使ったのかは不明だが、おそらく日本だと思われる。日本のマスコミ報道では、台湾の潜水艦建造に日本政府は消極的だとされている。しかし、日本において自衛隊用の潜水艦を建造している三菱重工と川崎重工の退職した社員たちが台湾を訪れていることが一部専門誌が報じている。おそらくそれが真実だと思われる。

何故なら通常型大型潜水艦を運用しているのは日本ぐらいであり、ロシアもドイツもあまり上手く運用できていない。ましてや大型潜水艦用のリチウム電池ともなると日本のメーカーだけが成功しているのが実情だ。小型艦や中型艦ならばあるのですけどね。

日本政府が公式には消極的だと報じられているのは、共産シナが反発するからだ。ちなみに某半島国家が設計図を盗まれたと騒いでいたが、彼らが実現できなかったX舵を台湾は採用しているので、せいぜい参考にした程度だと思う。むしろ日本の大鯨型に似ているのだが、日本はまったく騒いでいない。

つまりは、そういうことなのだろう。

で、軍事的同盟を締結している訳でもない国に、機密事項の塊である潜水艦の建造を協力したと推測される日本の立場をどう考えたら良いのだろうか。実はもう答えは出ている。麻生・元首相が発言したように「台湾有事は日本有事」、これが答えだと考えてよいはずだ。少なくても日本政府は内心そう考えているし、アメリカもそれを黙認している。

このあたり、秘密事項ばかりだから正解が公にされることはないと思う。でも、アメリカの考えは想像がつく。すなわち台湾有事の際には、まず日本が単独で動き(多分、国連は役に立たない)、その日本を支援する形でアメリカ軍が動く。そんな流れではないかと想像しています。

もっとも日本は人道的支援を名目に動いて、共産シナの攻撃を受けて被害が生じて初めて自衛隊が動く形をとると思います。で、憲法9条はどうなるの、なし崩しで現実追認するの?

日華事変の頃とまるで変わらぬことに、ある種の絶望感と諦念を感じてしまいますね。まぁアメリカがコントロールしてくれるでしょうけどね。

コメント (2)
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