ヌマンタの書斎

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海洋資源

2021-10-26 12:10:00 | 社会・政治・一般
日本列島は狭くて長く、おまけに7割は山岳地帯である。

幸いにして沖積平野に恵まれているので、人口の大半は平野部に集中している。また暖流と寒流の合流点に日本列島は位置するため、漁業資源に恵まれている上、降雨量は世界的にも多いほうで、森林豊かな山岳地帯という天然の貯水資源を持つが故に、飲料可能な水資源が豊富である。

しかしながら、やはり国土は狭い。それはそれで事実である。それゆえに、資源小国であり、石油を始めとして多くの資源を輸入に頼っている。それが日本なのだが、見方を変えると別の側面が見えてくる。

日本列島は数多くの島を持つ島国であり、沖縄列島のほか小笠原諸島といった領土を持つがゆえに、膨大な領海を持つ海洋大国である。とりわけ排他的経済水域の広さは世界第六位である。

実は更に付け加えると、日本は世界第一位といってよい深海の保有国である。世界一深いのはアメリカのマリアナ海溝だが、その次にくるのが小笠原の日本海溝であり、その規模を加味すると、深海、超深海を自国領土のすぐ近くに保有する海洋資源大国である。

具体的には、マンガン団塊、コバルト・リッチクラスト、海洋熱水鉱床、メタンハイドレード、レアアース泥、石油・天然ガスを指す。どれも21世紀の産業を支える重要な資源である。

この海底深くにあるとされるレアメタル他の海洋資源の埋蔵量は、おそらく日本が世界有数の保有量を誇る。というのは、海があれば海洋資源があるわけではなく、また単純に深いだけでも海洋資源は見つからない。

まず火山活動が海中で活発であること。また海洋プレートが古いことが重要となる。特にマンガン団塊やコバルト・リッチクラストはその生育に数千万年かかるため、地質学的にも長い時間を要する。

世界で最も古い海洋プレートが太平洋プレートであり、日本の位置は、まさにこの太平洋プレートが大陸のプレートとぶつかる場所にある。それゆえに世界有数の地震大国であり、火山大国でもある。

災害が多発するデメリットはあるが、深海海洋資源に関しては世界でもトップクラスの資源大国が日本なのである。ただし、問題が二つある。

一つは開発及び採掘コスト。数千メートルの深海にあるため、あると分かっていてもその採取にかかるコストが巨額となる。コストの問題は非常に重要なので、現時点ではまず商業ベースに乗らない。なので、日本政府は比較的浅い海にある海洋資源を狙っている。

もう一つは、これらの海洋資源は排他的経済水域(EEZ)にあることだ。これは国際的には認められた権利ではあるが、なにせ日本周辺には国際慣行を無視し、国際条約を踏みにじり、自国の利益第一優先の横暴国家が存在する。日本の新聞TVが如何に無視し、報道を避けようと、彼らの横暴ぶりは既に知られている。

この海洋資源についても自国の利益を公然と、あるいは密かに狙ってくるのは自明の理である。これを守るには軍事力が第一である。大切なものを自ら守る覚悟なくしては守れない。憲法9条は守ってくれません。話し合い至上主義者は、緊急時(戦闘等の紛争)には役立たずであるばかりか、足を引っ張る重しになる歴史を思い出して頂きたい。

幸い、日本は世界でも指折りの潜水艦大国である。原子力潜水艦こそないが、通常型潜水艦の質と量は世界一を名乗るだけの実力はある。この日本の潜水艦を複数排他的経済水域に配置するだけで、十分国防の役を果たせる。

ただし、一点重要なことがある。歴史を振り返って欲しい。かつて日本が満州の利権に固執したが故に、アメリカを敵に回してしまったことを。絶対にこの海洋深海資源の開発には、アメリカを一枚かませることだ。幸い、マリアナ海溝というアメリカの縄張りが日本近海にある。アメリカを敵に回さない、そのためにこの資源利権にアメリカを巻き込むことが重要になる。

うまくいけば、場合によっては、オーストラリア同様に原子力潜水艦の保有を認めてくれる可能性もあります。でも、日本は原子力アレルギーが強い国民性なので、やはり通常型潜水艦の開発、発展に力を入れるべきでしょうね。

これが、私が金のかかりすぎる日本の空母保有に反対する理由の大きな根拠なのです。21世紀の日本の資源安保を考えれば、海は潜水艦隊に任せるのが最適解だと私は考えています。

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