上演一時間前には映画館の窓口に並んだが、驚いたことにほぼ満席であった
おかげで、最前列の席になり、スクリーンを見上げての鑑賞となった。席について振り返ると満席であり、こんな風景をみるのは久しぶりだ。まァ、外が真夏の暑さであるので、涼を求めて映画館に来た人もいるようだが。
かくも人気がある作品なのだが、正直私の評価は少し辛目だ。これはタイムトラベルを扱った映画全般に云えることだが、過去を変えてしまった場合に生じるはずの変化が複雑に過ぎて、エンターテイメントとして処理するのに少し無理がある。
これはタイムトラベル自体が、未だ不確定というか、理論的にもまったく未完成のものであるため、どうしてもご都合主義が出てしまう。いくら、もっともらしく説明しようとも、過去の作品との整合を完全にとるのは不可能だ。
それは作品に登場するサラ・コナーやカイルたちも同様で、スカイネットさえも時間軸のずれという表現に逃げているくらいだ。タイムトラベルを作品として成功させるためには、予定調和に持ち込む以外に手はないと思う。
でも、それではツマラナイ。だから観客の意表を突くシナリオが書かれるのだが、率直にいって完全に成功しているとは言い難い。だから、どうしても辛目の評価となる。
ただ、単純にアクション主体のエンターテイメントとして観れば、けっこう楽しめる。特に老齢に達しているシュワルツネッガー演じるターミネーターが「老いぼれだが、ポンコツではない」と何度も言い返すところは笑える。これ、ターミネーターとしてではなく、シュワルツネッガーの本音のはずだ。
それが観客にも分かるから、この科白が出るたびに劇場内で失笑が漏れ聞こえた。もちろん私もニヤニヤしていた。そんなに意地になりなさんなと、シュワルツネッガーの肩を叩きたくなるではないか。
文句の付けどころはいろいろあるが、十分楽しめた2時間でしたよ。