家族が住む家の中での失くしものは、案外と厄介な問題となる。
家族の誰かが私の大切なものを盗んだのではないか。そんな疑いが、小さな棘となって家族の間の信頼を傷つける。温かい団らんの場であり、厳しい世間の風からの安全な避難地である我が家の雰囲気をぶち壊すことになりかねない。
「私の大事なお指輪を、勝手に持ち出したのは誰!」そんな一言が、家族の一人から発せられたなら、たちまち家族の間で諍いが起こる。日ごろ親しいだけに、理不尽な怒りに曝されると、抑えていたものが爆発することもある。
だからこそ、小人が必要であった。小人が借りていった、そうすることで、家族の間での軋轢を回避できる。真実を追求するよりも、家族の間が親密であることのほうが大切だとの想いから、小人は作りだされた。
日本だと妖怪の仕業なのだが、ヨーロッパでは小人の仕業となる。それが表題の映画の原作となったメアリー・ノートンの「床下の小人たち」である。残念ながら原作はまだ読んだことはない。
その原作のアニメ化を30年以上狙っていたのがスタジオ・ジブリ。長年の想いを込めた映画化だけに、その出来は数あるジブリ・アニメでも上出来の部類ではないかと思う。
DVDでの鑑賞でしたが十分楽しめる内容でした。近代は、なんでもかんでも、この世のあらゆる事象を論理的に、科学的に解明しようとしました。しかし、それは必ずしも人を幸せにするとは限らないようです。
真実を知らずにいたほうが幸せなことって確実にあると思います。その処方箋が小人であり、妖怪でした。古来からの人の叡智って、あんがい馬鹿に出来ないと思いますよ。
さて、これを機に原作を読んでみたくなりました。さて、図書館に行って探してみますかね。