ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

国の壊れる音を聴け 古森義久

2011-01-27 14:09:00 | 

ウソをウソで塗り固めた醜悪さ、それが日本の戦後に蔓延した平和主義だ。

なんといっても第一の誤魔化しは、敗戦を終戦と言い換えたことだ。終わった、終わったと安堵して済ませた。おかげで、何故負けたのかについての反省をやらずに済ませ、軍人に責任を押し付けた。

この第一のウソを正当化するため、戦争を否定すれば平和は叶うと、第二のウソを作り上げた。戦争を否定し、軍を否定すれば、平和であると歪んだ定義を作り上げた。

この第二のウソを真実と思い込むために、現実から目をそらし続けた。日本は朝鮮戦争、ヴェトナム戦争の後方支援を担ったわけだが、この米軍への兵站支援は立派な戦争行為である。

しかし、第二のウソを信じ込み、日本が戦争に加担してる事実を無視し続けた。日本以外の誰もが、日本の平和憲法なんて空文に過ぎないと知っている。それなのに、日本は戦後半世紀にわたり平和国家であり続けたと主張する醜悪さ。

戦争を否定すれば平和は叶うという、現実離れした理想を信じ込んだが故に、事実を直視せず、自分たちの理想の矛盾を指摘するような言論は排し続けた。

その尖兵となったのが、日本の新聞社であった。

彼らが如何に歪んでいるかを実証したのが、表題の本だ。著者は元・毎日新聞の海外報道記者であり、海外で知った事実と、日本で報道される歪んだ真実とのギャップに悩み、それを直そうと努力したがゆえに毎日新聞を追われるに至った。

その後、産経新聞に転職して華々しく活躍する。おかげで、私なんぞ元々産経の記者だと思い込んでいた。反日自虐報道で知られる毎日にありながら、海外で日本では報じられない事実に気がついてしまったが故の苦悩が、この本を書くに至った。

なりより印象的だったのは、平和よりも大切なものがあると断言したヴェトナムの人たちの言だ。奴隷の平和よりも、苦しくとも自由と独立の方が大切だ。そう宣言したヴェトナムの人々の叫びを、日本のマスコミは無視した。

日本のマスコミの虚偽は、万死に値すると思う。興味がありましたら、是非ご一読のほどを。

コメント
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