ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

プロレスってさ マッドドッグ・バション

2010-09-02 17:23:00 | スポーツ
喧嘩の強さは、根性の強さ。

技術や力ではない。土性骨というか、気骨の太さがずば抜けていた。それほど大柄ではない。ヘビー級のプロレスラーとしては小柄な部類に入る。

たしかに背丈は高くないが、胸の分厚さや、首の太さが尋常ではない。得意技がなんであったかも思い出せないが、忘れられないのが、その勝負根性だ。

とにかく気が強い。相手のパンチをかわす様なことはしない。歯を食いしばって、上半身に力をこめてパンチを受け止めてしまう。その打撃に耐えると、今度は大きく振りかぶって相手を殴りつける。

そのモーションは大きく隙だらけ。でも避けられない。いや、避けることは、逃げることだと相手に思わせる迫力があった。なまじスマートにそのパンチを避ければ、なんだ、この根性なし!と追撃の拳の雨あられ。

狂犬のあだ名は伊達ではない。バションが怒り狂うと、手が付けられない。私は何回か狂乱状態のバションを見ているが、その迫力には驚かされた。

なにせ、リングを降りて相手を追っかけまわしているのだが、そのあまりの迫力に呆然として逃げられない。私はリングサイド脇の通路に座っていたのだが、ビックリして逃げられなかった。腰が抜けて、膝に力が入らずへたり込んでいた。

その私の脇をバションが駆け抜けた。しかも、ちゃっかし子供の私を避けて暴れている。さすがプロレスラー、狂乱にみえても実は冷静なのだと分り、安心した。

でも、今だから分るが、こんな奴とは絶対喧嘩したくない。冷静さと狂乱状態を同居させられるような男は、間違いなく喧嘩が強い。狂乱状態を自らの力とする一方で、状況を冷静に観察する目を持ち合わせた男は怖い。

バションは、私の知る限りでは、最も喧嘩の上手なプロレスラーだった。巨漢の弟(ブッチャー・バション)とタッグを組むことが多かったが、強かったのは一回り小柄な兄貴の方だった。

その強さは喧嘩の立ち回りの上手さであり、迫力の見せ方が上手かった。そして、なにより気の強さこそが、喧嘩に強い秘訣だったように思う。

その強さは、道場で培ったものではなく、街の路上で喧嘩を重ねて勝ち得たものだと思う。だから強かったけれど、チャンピオンにむかなかった。だって、ぶん殴って、ぶん投げるだけだもの。

でも記憶には残った。これだけ印象的な喧嘩を見せる男は滅多にいませんよ。ちなみに元オリンピックのアマレスのカナダ代表選手であり、本当は正統派レスリングの達人。しかも、私生活では温厚な紳士として知られた人です。でも、プロレスのリングの上では狂犬の如きラフ・ファイターでした。

おそらく、どちらも出来る人だったのでしょうね。このタイプは強いですよ。決して侮ってはいけないと思いますね。

コメント (1)
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