ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

毎日かあさん(背脂編) 西原理恵子

2010-01-22 12:30:00 | 
子供の頭のなかは摩訶不思議。

子供の頃は、本当によく怒られた。でも、今だから白状するが、叱られた中味なんざ、まったく覚えてない。頭を垂れて、健気な態度で怒られていたが、頭のなかでは全然違うことを考えていた。

親や先生が、なにやら真剣な顔つきで大声あげていたようだが、私の頭の中は他のことで一杯だった。林の奥のカブトムシをいかに捕まえるか、あるいは火星のタコ足宇宙人と遊ぶことだったり、はたまた真空の宇宙を飛べるウルトラマンが何故に首を絞められると苦しむのかに対する疑問だったりする。

要するに、親たちがいくら真剣に説教しようと、その中味なんざ頭をすり抜けるばっかりで、全然役に立っていなかった。さすがに、それを口に出してはイケナイことぐらいは分っていた。

今だから言うが、怒るのと説教は分けたほうがいい。興奮して怒っている奴の言い分なんざ聞きたくない。もちろん、悪いことは悪いと叱るのは必要だ。でも、短く強烈にやって、すぐに終わらせるべきだ。

子供は無意識に気づいている。親は怒りを発散するために、長々と説教していることに。だから聞いているふりはしてあげるが、中味は聞いちゃいない。

以前は私だけがひねくれているのかと思っていたが、案外そうでもないことに気がついた。

大学の部活では、しばしば反省会が開かれて、猛烈に怒られたものだ。特にリーダーになる前の二年の時がひどかった。連日連夜、学生会館で反省会のオンパレード。

私は既に投やりになっていたので、上級生たちの説教をヘイヘイと聞き流していたが、真面目な同期たちは真剣に聞いているようだ。ん?・・・でもないぞ。

育ちが良いHの奴なんざ、机の上にバイクのヘルメットを置いて「バリアー」などとつぶやいている。可笑しくって笑いを堪えるのに必死になった。

翌日、上級生からH!、ヘルメットを下に置け!と怒鳴られて「いかん、バリアーを破られた」などと小声でつぶやいたもんだから、それを聞きつけた上級生までもが必死で笑いを堪えていた。当然ながら説教の内容なんざ覚えてない。

もっとも説教自体を否定するわけでもない。私のおばあちゃんは上手だった。初孫だった私は随分と可愛がられた。でも、問題ばかり起こしていた私だが、おばあちゃんから怒られた経験はない。

ただ、叱るのが上手かった。適切なタイミングで、心にしみる言葉を投げかけてきた。穏やかな口調で語られる説教は、素直に聞き入れざる得なかった。私はこのおばあちゃんに怒られることだけは異常に怖れていた。一度も怒ったことがない人だけに、この人に怒られるのだけは避けたかった。

「男は人前で泣くんじゃないよ。泣く時は口を噛み締めて、黙って泣きなさい」

私が人前で泣くのが苦手なのは、おばあちゃんのせいだ。躾の力って凄いと思うな。

なお、表題の漫画は、西原理恵子が毎日新聞日曜版に連載している子育て日記、笑えます、笑いながら、そうだったよなぁ、そうなんだよなぁと楽しめます。相変わらず汚い絵柄ですが、パワーがあります。子育てにお悩みの方は必読ですね。
コメント
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