徒然なか話

誰も聞いてくれないおやじのしょうもない話

マーロン・ブランドの誤まった伝説

2009-11-14 12:46:50 | 映画
 今日、FM熊本の「シネマフル・ライフ」という番組を聴いていたら、マーロン・ブランドのことを取り上げていた。最近、この番組に限らず、往年の大スターについて、首を傾げたくなるような説明をよく耳にする。ライター達も世代交代が進んで、往年の大スターについてあまり知らない人たちになってきているのかもしれない。しかし、公共の電波で流す以上はちゃんと勉強しておいてほしいものだ。今日の番組では、マーロン・ブランドの経歴についてこう言っていた。1954年の「波止場」でアカデミー主演男優賞を獲得した後、彼の奔放な性格や家庭の問題などもあって、以後、ろくでもない映画への出演や、評価できない仕事が続いたが、1972年「ゴッド・ファーザー」で復活したと。そんなこたぁない!その間に20本以上の映画に出演しているが、もちろん、すべてが成功したわけではないが、秀作、佳作は何本もある。中でも僕は次の2本を挙げたい。いずれにせよ、いろんな作品で経験を積み重ねながら、あのドン・コルレオーネを演じられる風格を築き上げて行ったのである。まるで、しょうもない時期を過ごしていたかのような言い方は、不見識も甚だしい。
■片目のジャック(1960)
 あの、スタンリー・キューブリックが監督を降りたため、マーロン・ブランドが後を引き継いで、初監督・主演した異色西部劇。「波止場」でも共演したカール・マルデンが仇役を演じる復讐劇。
■逃亡地帯(1966)
 監督アーサー・ペンと製作サム・スピーゲルが組んだ問題作。人間の暴力性と群集心理がリアリスティックに描かれている。マーロン・ブランド始め、ロバート・レッドフォード、ジェーン・フォンダ、アンジー・ディキンソンなどスターがずらりと並ぶのも見もの。

「街道てくてく旅 山陽道」 ついにゴーーール!

2009-11-13 17:58:08 | テレビ
 今年5月11日に福岡・太宰府天満宮をスタートしたNHKの「街道てくてく旅 山陽道」は、ついに今日、ゴール地点の奈良・平城宮跡朱雀門に到達した。真夏の中断をはさんで、15週間をかけた800kmの旅だった。今回は、旅人が水泳シンクロの原田早穂さんだったことや、見覚えのある九州や山口がコースの一部になっていたこともあって、全75回の放送で見逃したのは、わずか2、3回だけだった。古代から江戸時代まで、山陽道が重要な幹線道路であり、人や物資の往来に伴い、情報や文化の伝播に極めて大きな役割をはたしてきたことを再認識した。また、旅が進むにつれ、出迎える人々の方言が少しづつ変わっていくところが面白かった。この番組を毎日見ていると、なんだか自分が旅人になったような気がしてくるから不思議だ。とにかく原田さん、ゴールおめでとう!お疲れさま!

「バンド・ワゴン」 映画の面白さっていったい・・・

2009-11-12 19:56:50 | 映画
 夕方、BS2でミュージカル映画「バンド・ワゴン」をやっていた。あまりの懐かしさに最後まで見続けてしまった。かつての映画スターが、古巣のブロードウェイへのカムバックの舞台で失敗し、多くの仲間に助けられながら再起を図るまでのシンプルな話なのだが、歌と踊り、それに見事な色づかいに引き込まれてしまう。もともとミュージカル映画は好きなのだが、今から56年前、僕がまだ小学校2年生の頃に、こんな素敵な映画があったんだと、あらためて当時のハリウッドの凄さを感じた。主演のフレッド・アステアの映画は昔、よく見たものだ。特にジンジャー・ロジャースとのコンビのものが多かった。この映画で共演しているシド・チャリシーは、ジーン・ケリーの「雨に唄えば」で初めて見たが、この「バンド・ワゴン」が代表作だろう。伸びやかな肢体とエレガントな雰囲気が魅力的だ。特にフレッド・アステアと踊る「Dancing in the Dark」は印象的だった。


黒澤明の一歩先を走った男 -山中貞雄-

2009-11-11 16:03:15 | 映画
 日本映画の伝説的な名作といわれる、山中貞雄監督の遺作「人情紙風船」をBS2で初めて観た。観ながら、黒澤明の「どん底」も小泉堯史の「雨あがる」も山田洋次の「たそがれ清兵衛」も、みんなここに原点があったのだという思いを強くした。昭和12年(1937)、27歳の時の作品だというから驚きだ。27歳で、この江戸の市井の人々のペーソスが描けるというのは凄いことだ。黒澤明と同年代ながら、ひと足先に監督デビューし、28歳の生涯を駆け抜けた。黒澤を始め、多くの監督を目指す者の憧れの的だった男、山中貞雄。彼がもし、若死にせずに作品を作り続けていたら、どんな傑作が生まれただろうかと思わずにはいられない。俳優では、チョイワルの髪結新三を演じた中村翫右衛門の演技は素晴らしい。今日見ても、とても新鮮だ。

映画「沈まぬ太陽」に共感できなかったわけ

2009-11-10 22:09:09 | 映画
 今日やっと「沈まぬ太陽」を観た。普通に面白いし、感動もした。しかし、今ひとつ共感はできなかった。帰ってからその理由をつらつら考えてみた。第一に、どこで感動したのかと振り返ると、すべて御巣鷹山での航空機事故現場や犠牲者とその遺族のエピソードの部分である。いくらフィクションですと言っても、御巣鷹山の悲惨な事故は厳然たる事実であり、ドラマに関係なく、その事実の重みが圧倒的に迫ってくるのだ。この点は「クライマーズハイ」にも同じことが言えた。一方、主人公とその家族については共感できるところがあまりない。左遷ったって、当時はまだ、海外勤務は選ばれた人が行く、つまり栄転だった会社が多いはずだし、しかも任務が新規事業の立ち上げなら、普通もっと燃えるはずだ。だいたい、会長や社長と直に話せる人なんて、ほんのひと握りの恵まれた人だ。家族のことだって転勤族には当たり前の話で、彼やその家族が特別不幸だったわけじゃない。また、労組の描き方も、実際、僕の労組執行部の経験から言っても納得できなかった。さらにつけ加えるなら、上司や官僚などの描き方がステレオタイプでリアリティに欠ける点も気になった。
 まぁ、何だかんだ言っても最近の邦画の中では力作であることは間違いないし、それなりに面白い作品であることには異論はない。

※あくまでも個人の感想です

ベルリンの壁と寒い国から帰ったスパイ

2009-11-10 00:04:23 | 映画
 ニュースを見ていたら、今日はベルリンの壁が崩壊してから、ちょうど20年だそうだ。もうそんなに過去のことになったかと感慨を新たにした。ニュースでは、どこの局も壁の崩壊が幸せばかりをもたらしたわけではないという論旨のようだ。僕はドイツに行ったこともないので、そこら辺のことはよくわからない。ただ、ベルリンの壁の話が出ると、必ず思い出す小説と映画がある。それは、ジョン・ル・カレの「寒い国から帰ってきたスパイ」(映画のタイトルは「寒い国から帰ったスパイ」)だ。僕が大学に入った1964年はまさに東西冷戦の真っ只中だった。そんな世界情勢の中で出版された英国作家のジョン・ル・カレが書いた「寒い国から帰ってきたスパイ」が世界各国でベストセラーになった。僕も早速買って、その面白さに引きずり込まれ、一気に読破した。ベルリンを舞台に暗躍する東西のスパイたちの悲哀を描いていた。当時は時代を反映していろんなスパイ小説や映画があった。イアン・フレミングのジェイムズ・ボンドシリーズもそうだし、レン・デイトンの「イプクレス・ファイル」なんていうのもあった。しかし、「寒い国から」は今まで感じたことの無いリアルさがたまらなかった。読みながら、主人公のリーマスを、なんとなくリチャード・バートンをイメージしていた。翌年、マーティン・リットが映画化する時、本当にリチャード・バートンがキャスティングされた時は驚いた。時代が変わってしまった今、もう一度読んだら、あの時の感動は得られないかもしれない。しかし、僕にとっては一生忘れることのない一冊だ。

一青窈「ハナミズキ」 & ガッキー

2009-11-09 16:01:37 | 映画
 僕の大好きな歌、一青窈の「ハナミズキ」をモチーフにした映画が、新垣結衣主演で製作されることになったらしい。「ハナミズキ」はとっくに映画かドラマで使われているかと思っていたので、「え?今ごろ!」とちょっと驚いた。どんな作品になるのか楽しみではあるが、一方ではちょっと嫌な予感もする。というのは、これも大好きな歌「涙そうそう」が妻夫木聡と長澤まさみの人気スターコンビで映画化された時、大いに期待したのだが、結果はトホホな映画でガッカリしたことを思い出したからだ。歌のイメージにムリヤリ合わせようと、泣かせよう泣かせようという展開に、かえって引いてしまった。今度の「ハナミズキ」の監督や脚本を誰がやるのかまだ知らないが、よもや「涙そうそう」のようなことはないだろうな。歌のイメージをこわさないようにお願いしますよ。

気になるポスター 大正・昭和の浪漫

2009-11-08 13:16:37 | その他
 下の二つのポスターはいずれも昨日、立て続けに見かけてとても気になった、というか魅かれたポスターである。左は熊本城下の町人町として、かつて栄えた五福小学校周辺の町々の賑わいを取り戻そうと、18年前から始められた「風流街(ふるまち)浪漫フェスタ」のポスターである。明らかに大正浪漫や大正モダニズムをイメージさせるつくりになっている。さっそく今日、朝からフェスタを覗いてきた。
 右は、熊本市の雨傘屋という劇団の公演ポスターだ。初公演は先月終ったばかりだそうだが、こちらのポスターは、いかにも昭和チックだ。しかも昭和初期をイメージさせる。演劇の内容も昭和チックだという。次回の公演の時は覗いてみたい。
 これらのポスターに限らず、最近、大正・昭和時代をイメージさせるようなものを、いろんなところで見かけるようになった。これは単なるノスタルジーではなく、何かを時代が求めているような気がしてならない。


花街の面影も消え・・・

2009-11-07 16:54:31 | その他
 今日は「熊本駅前二本木まつり」をやっているというので覗いてみた。熊本朝日放送の敷地には沢山の出店が並び、大勢の人で賑わっていた。特設ステージでは、いろんなパフォーマンスが行なわれていたが、せっかくなので辺りを散策してみた。ここ二本木は、かつて九州でも有数の遊郭街として栄えた街。幼い頃のかすかな想い出が残る街だ。母方の親戚が当時、廓を経営していて、何度か座敷に上がったことがある。どういう場所だということは、もちろんまだ知らなかったが、子供心にも艶かしい雰囲気を感じたものだ。今、この地区の真ん中にでんとそびえるのが熊本朝日放送の社屋。ひと昔前なら、放送局のビルが建つことなどありえなかった地区だ。そんな二本木の歴史を知らない若者や子ども達が、無邪気にはしゃぎながらジャンクフードを貪っていた。


二本木地区は白川と坪井川に挟まれた三角州の上にある


花街華やかなりし頃の見取図


最後まで残っていた廓「日本亭」跡も、つい先月とうとう解体され


このとおりのサラ地となった。


現在、二本木地区の真ん中にそびえる熊本朝日放送の社屋


二本木地区一番の人気スポットは、熊本ラーメンの名店「黒亭」

ムダなダム?! 大蘇ダム問題

2009-11-06 17:01:17 | 時事
 「ムダなダム」と鳩山さんが言ったとか言わないとか。回文なんてシャレてる場合じゃない。大蘇ダムほど、ずさんなダム建設の話は初めてだ。熊本県には他にも、川辺川ダム、荒瀬ダム、路木ダムなど、いくつものダム問題を抱えているから、われわれ県民も、大蘇ダムについては関心が低かったようだ。利水の受益者がほとんど大分県側になることも影響していたのかもしれない。30年、600億円をかけて造ったダムが用をなさないというのは、なんとも情けない話だ。当初から火山灰性の土壌だから水が浸透してしまうのでは、という予測はあったらしい。そんなことは無視して建設を強行したのは、やはり、とにかく公共工事がほしかったということなのだろう。水が漏れないように塞いでしまえば、なんていう乱暴な意見もあるが、とんでもない。水が浸透するというのは、ごく自然なことで、その伏流水が湧き出て潤っている地域もあるはずだ。ダムには見切りをつけて、別の利水策を早急に考えないと、水を待っている農業従事者の方たちを苦しめるばかりだ。

松井秀喜の大爆発!

2009-11-05 16:33:57 | スポーツ一般
 ワールド・シリーズの土壇場で松井が大爆発した。試合後のインタビューでは、努めて冷静を保ちながら、渡米してからこれまでの経過を振り返っていたが、おそらく内心では「ざまぁ見ろ!」という心境だったに違いない。今年は結局、守備機会は与えられなかったし、DHとして十分な活躍をしていたにもかかわらず、シーズン中から今季限りでの放出の噂が絶えなかった。彼をあまり評価していなかったといわれるジラルディ監督も、結局、松井に助けられて監督としてのキャリアに輝かしい1ページを加えることになった。皮肉なものだ。これで松井はヤンキースを去るにしても、心おきなく去ることができるだろう。はたして球団が彼をどうするのか、これからが見ものだ。


ブリヂストンのF1撤退に思う

2009-11-04 12:54:55 | 時事
 ホンダやトヨタがF1(フォーミュラ・ワン)から撤退することが明らかになる中、タイヤの公式サプライヤーだったブリヂストンも、経営悪化を理由に撤退することになった。OBの一人として一抹の寂しさは禁じえない。しかし、僕は個人的には数年前から、F1に巨額の予算を投じることには、いささか疑問を感じていた。経営業績の問題だけではなく、ブランドイメージや先端技術の維持のために、F1はどうしてもやらなければならないものなのだろうかという点だ。経営陣の中には、社是でもある「社会への貢献」の一つという考え方があったのかもしれない。しかし、世界に何億というユーザーを持つタイヤメーカーとして、今の時代にやるべき社会貢献は他にいくらでもある。実際、ブリヂストンも他のいろんな社会活動をやっているから、むしろそちらの方にシフトしていくべきではないか。F1を撤退したからといって、すぐに技術レベルが落ちるような、そんなやわな技術部門ではないと信じている。今回の決定が、ブリヂストンの良い転機になってくれればと願っている。

規工川佑輔先生 秋の叙勲を受章!

2009-11-03 18:00:12 | その他
 現在、僕が取り組んでいるシナリオの原作「評伝 海達公子」の著者、規工川佑輔先生が、2009年秋の叙勲を受章された。「瑞宝双光章」だそうだ。先生は今年、ちょうど80歳、永年、国語教師として小中学校の教育に携わるかたわら、自らもアララギ派の流れを汲む歌人として、文芸活動にも勤しまれ、歌集も4冊出版しておられる。その他文芸評論、特に熊本ゆかりの天才少女詩人・海達公子の研究については自他ともに認める第一人者である。僕が熊大附中を卒業した昭和36年、すれ違いで熊大附中に赴任されたので、直接教わったことはないが、以前から、そのご活躍ぶりは耳にしていた。シナリオが完成し、陽の目を見るまでは何としてもご健康でご指導願いたいと祈っている。

ドラマ「JIN-仁-」に見る中谷美紀の存在感

2009-11-02 18:53:47 | テレビ
 TBSのドラマ「JIN-仁-」が、視聴率17%台を維持して好調のようだ。その理由はわからないが、僕個人としては、中谷美紀扮する花魁・野風が出始めてから、一気にドラマに厚みが増したような気がする。江戸時代と現代に生きる女性二役を演じているが、「SAYURI」的なサイドストーリーもあり、今後、主人公の南方仁に、どう絡んでいくのか楽しみだ。それにしても、中谷美紀の存在感が、最近とみに増してきたように思う。この7、8年に見た彼女の出演映画をあげてみると「壬生義士伝」「雨鱒の川」「約三十の嘘」「ホテルビーナス」「電車男」「あかね空」「7月24日通りのクリスマス」「嫌われ松子の一生」「シルク」「自虐の詩」と、映画の出来はともかく、彼女の演技に関してはハズレがない、と思う。また、テレビドラマでも最近、白洲正子を演じたり、最新の映画「ゼロの焦点」の公開も控えている。まさに絶好調といった様子なのだ。そうした自信が花魁・野風の演技にも滲み出ていて、廓の中で、あたりを睥睨する眼力はたいしたものだ。今後がますます楽しみな女優さんだ。

村治佳織 & 上原ひろみ

2009-11-01 18:28:40 | 音楽芸能
 今日の夕方BS2で放送された「BSエンターテインメント 美のメロディー・音楽の女神たち」は、好きなアーティストたちが揃って出ていて楽しめた。いずれも音楽的な才能に溢れ、かつ美しい人ばかりだが、中でも、ギターの村治佳織とピアノの上原ひろみには引きずり込まれた。実は二人とも既に、映画音楽にも進出している。村治佳織は、大沢たかおと柄本明が得意の“泣き”比べをやった「花」という映画の音楽を担当しているし、上原ひろみは「オリヲン座からの招待状」でメインテーマを担当しているが、しっとりとした旋律が印象的だった。今日、村治佳織がソロで演奏したのは、エリック・クラプトンの「ティアズ・イン・ヘブン」。そして上原ひろみは「シュー・ア・ラ・クレーム」だった。