徒然なか話

誰も聞いてくれないおやじのしょうもない話

向田邦子 「生きている限り“無駄”はない」

2010-01-31 14:28:52 | テレビ
 今日のKBC九州朝日放送「未来への羅針盤」は、小学生の頃、2年あまりを過ごした向田邦子の、鹿児島への思いを取り上げていた。この番組は、先人たちの足跡の中に、われわれの指針となるべきメッセージを読み取ろうとする番組だ。昭和54年、向田邦子は38年ぶりに鹿児島を訪れる。乳癌を患い、苦しい闘病生活の中で、かつて、父の度重なる転勤により、短期間しか住めなかった鹿児島での生活が、今日の向田邦子を形成するために、この上なく貴重なものであったことを、あらためて認識したものと思われる。そして、それまでの生活のひとコマひとコマが、すべて無駄ではなかったという想いは、エッセイ集「夜中の薔薇」に収められた「時計なんか恐くない」の一節にも読み取れるのである。

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37回目の結婚記念日&映画「おとうと」

2010-01-30 17:46:25 | その他
 一昨日28日が37回目の結婚記念日。忘れていたわけではなく、当日、家内と外で食事でもしようと話をしていたのだが、生憎その日、家内の体調が今いちで、30日に延ばすことにしていた。今日はちょうど、映画「おとうと」が公開の日なので、まず映画を見ることにする。館内の客は60~70人ほどか、僕らのご同輩か、ちょっと先輩くらいのカップルが多い。山田洋次監督の最新作は、ジンワリと心に沁みる家族愛の物語で、さすがにツボを押さえている。市川崑監督の「おとうと」へのオマージュが謳われているが、どちらかというと、小津安二郎監督の映画を彷彿とさせるシーンが多かったように思う。映画を見た後、外で食事するのもめんどくさくなり、結局、家で手巻き寿司をすることにする。なんだかほっこりとした一日だった。

維新の真の立役者は誰?

2010-01-29 09:15:38 | テレビ
 一昨年、高知を旅した時、坂本龍馬の像がある桂浜に比べ、中岡慎太郎の像がある室戸岬には、正直寂しさを感じたものだ。ともに京都近江屋で暗殺されたが、各地の志士たちの力を結集し、維新に結びつけた働きにおいて、両者にほとんど差はないと言われる。むしろ、中岡慎太郎こそ真の立役者だという史家すらいるほどだ。それではなぜ、これほどまでに両者の間に“人気”の差がついたのだろうか。これはおそらく、龍馬の生涯の方がドラマチックなエピソードが多かったため、度々、小説や映画やTVドラマで取り上げられ、虚実取り混ぜた“龍馬像”が出来あがってしまったからではないだろうか。しかし、中岡慎太郎について書かれたものを読んだり、有名な笑った写真などを見ていると、この人も龍馬に劣らず、魅力的な人物だったことがわかる。特に、他者への気配りのエピソードなどは、この人こそ本当の“人たらし”ではないかとさえ思える。NHKの「龍馬伝」では、上川隆也が中岡慎太郎を演じる。いつから登場するのかわからないが、福田靖はどんな人物像を描き、上川隆也がどういう風に演じるか楽しみだ。


忘れられぬ1枚の写真 ~若い女の先生とボク~

2010-01-28 17:06:58 | その他
 アルバムに貼られた写真には、いつ撮ったんだか全然記憶にないものもあれば、何十年も経つのに撮った時の情景を鮮明に憶えているものもある。この写真は昭和28年、僕が小学2年生の時に撮った写真だ。当時、父は八代の太田郷小学校に勤めていて、熊本から汽車通勤をしていたが、学校が休みのある日曜日、職員の慰安行事だったのだろう、八代海のイカ釣り船に乗るというので僕がお伴した。父の同僚の若い女の先生方に散々可愛がられ、すっかり良い気分になった。この写真はその途中、小さな無人島に立ち寄って、記念写真を撮ろうということになり、一人の先生と僕が、まるで松竹映画のワンシーンのようにポーズをとっているところだ。釣り上がったイカが吐くスミを、歓声を上げながら身をよじってよけたり、小島の磯でタコをつかみ取りしたり、数々の楽しい想い出とともに、この写真を撮った瞬間を昨日のことのように想い出す。この先生がまだご健在であれば、80歳前後になっておられるはずだ。ところで、先般、太田郷小学校がテレ朝の「30人31脚」で全国優勝した時は、嬉しさとともに懐かしさがこみ上げてきた。


貴乃花騒動と昭和の名横綱の引退

2010-01-27 20:47:00 | スポーツ一般
 日本相撲協会の役員選挙へ貴乃花親方が立候補した。一門の不文律を破っての立候補ということで、彼や彼を支持する親方たちがニ所の関一門を破門になった。破門というと思い出すのは、第41代横綱千代の山の、出羽の海部屋からの破門騒動だ。もう43年ほど前のことだ。出羽の海部屋の後継者が後輩の佐田の山に確定したため、引退後、九重を名乗っていた千代の山は、出羽の海部屋の不文律を破って独立を申し出、破門された。彼は北の富士らを連れて高砂部屋系の部屋として独立した。独立直後の場所で北の富士が涙の優勝を飾ったのは今でも鮮明に憶えている。その千代の山は、戦後最初のスター力士で、僕が物心ついて初めてファンになった力士が千代の山だ。小学生の頃は、熊本巡業も見に行ったものだ。当時のNHKの志村正順アナの「六尺三寸、赤銅色の体・・・」という名調子を思い出す。そして、その千代の山が現役を引退したのが、ちょうど51年前の初場所、奇しくも曾孫弟子の千代大海が今場所で引退した。

文豪たちのラブレター

2010-01-26 18:30:54 | その他
 昨日、熊本県立図書館に行ったら、となりの熊本近代文学館で「愛のメッセージ展」という催しが開かれていたので、なんか面白そうだなと覗いてみた。熊本ゆかりの文豪、夏目漱石や徳富蘇峰・蘆花兄弟、高群逸枝、淵上毛錢らの手紙の一部などがパネルで展示されていた。恋人へのラブレターや妻への手紙など、文豪たちの人間的な一面が垣間見えて興味深かった。文豪が書いたのだから、さぞや文学性豊かな文章ばかりかと思いきや、さにあらず、文学性のかけらも感じられないような、煩悩むき出しの文章もあったりして、やっぱり自分のこととなると格好なんかつけちゃいられないのだろう。まぁ、そんなもんだろうな。

※写真は五高教授時代の夏目漱石


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■草枕


心をとらえて離さない写真・・・

2010-01-25 19:05:56 | その他
 今日は午後から、大正から昭和初期の風俗を考証するため、熊本県立図書館へ。写真集を中心に何冊もの図書を借りて机に山積みし、片っ端から見ていく、つもりだった。ところが、興味深い写真が次から次に出てきて、なかなか先へ進まない。あっという間に3時間くらいが過ぎても、まだやっと3冊目に入ったぐらい。これじゃいくら時間があっても足りないので、今日のところは打ち切り、再度チャレンジすることにした。今日見た写真の中でも、特に僕の心をとらえた写真をピックアップしてみた。写真はいずれも、「写真集熊本100年」(熊本日日新聞社刊)より。


昭和37年、初めて熊本を訪れた皇太子ご夫妻(現在の天皇皇后両陛下)
の阿蘇山でのスナップ。ごく普通の新婚カップルのようで微笑ましい。
それにしても妃殿下、お美しい!



昭和11年、熊本の街中を歩くご婦人たち。真夏というのに、当時は着物をキッチリお召しに
なっていたのだなぁ。着物の柄が時代を表している。



大正末期の少女。姉妹だろうか。いかにも大正モダニズムの香りが
ただよう。日本傘との取り合わせが面白い。注釈によれば
この場所は現在の熊本市民会館辺りだそうだ。

農業のコストは誰が負担すべきか!

2010-01-24 19:57:49 | テレビ
 日頃、農業問題に関心があるので、今日の夕方、NHK教育で放送された「日曜フォーラム -農村で生きたい-」は興味深く見せてもらった。昨今の就職難という社会状況もあって、新規就農を望む若者が増えているそうだ。しかし、そう思っても農地がない、資金がない、仲間がいない、という環境が障害となっている現実がある。そんな日本の農業に若者を呼び込み、自給率アップを図るにはどうしたらいいだろうか、というのがフォーラムのテーマだったようだ。オランダの例や、日本でも増えつつある農業法人の例として、長野県の永井農場などを参考にしながら、パネリストたちが意見を述べ合った。中でも、山口大学大学院の小川全夫教授の言われた「農業の、農産物を生産するだけではない、自然環境を守る機能など、多面的機能を考えた場合、そのコストは農業者だけが負担するのではなく、国民全体で負担していくべきである。」という意見は、全くそのとおりだと思った。


3時間飽きさせなかった舞台「晩秋」!

2010-01-23 16:00:48 | テレビ
 昨夜は約3時間にわたって、NHK教育の舞台劇「晩秋」を楽しんだ。最初、タイトルを聞いた時、小津安二郎の映画の舞台化かな?と思った。しかし、「晩春」とか「麦秋」とかはあるけれど、「晩秋」というのは記憶にないなと思っていたら、作・演出はマキノノゾミさんという人のオリジナルらしい。そう言えば、ジャック・レモンの晩年の映画にそういうタイトルの作品があったっけ。
 この物語は、昭和34年頃と平成11年頃の二つの話で構成されており、恋や親子の絆や師弟のつながりなどに、現代の高齢化や医療の問題を絡めて3時間飽きさせなかった。ご高齢の森光子さんはセリフとばしと思われる場面もあったが、それもまたご愛嬌で、終盤の笑いを一人占めしていた。テレビでの舞台観劇もまたいいものだ。舞台を観る機会が無い者の強がりだが・・・

坂東三津五郎:主人公の医師春彦とその父親の二役
八千草薫:主人公の小学生時代の恩師清子先生、主人公の父親と結婚寸前で別れる
森光子:主人公が幼い時に、夫と子どもを置いて消えた母親志津子
米倉斉加年:主人公の祖父、小学校の校長で清子先生の上司でもある
中田喜子:主人公と再婚することになる看護師長
星野真里:清子先生の若い頃
馬渕英俚可:主人公の娘と主人公の母親の若い頃の二役


「マイ・フェア・レディ」にキャリー・マリガン???

2010-01-22 17:34:44 | 映画
 「マイ・フェア・レディ」のリメイク版で、オードリー・ヘプバーンが演じたイライザ役にキーラ・ナイトレイがほぼ決定、と先日報じられたが、どうもその話がご破算になったようだ。代わりに最有力と目されるのはキャリー・マリガンか、という情報がネット上で流れた。誰だソイツ?、と調べてみたら、「プライドと偏見」でキーラ・ナイトレイの妹役をやった若手女優らしい。この映画は見たが、キャリー・マリガンの印象はほとんど残っていない。もう一度、DVDを借りて見直してみるか。しかし、キャスティングにはまだ紆余曲折がありそうだ。


左から2番目がキャリー・マリガン

赤い鶴丸は再び栄光を取り戻すか!?

2010-01-21 15:42:46 | 時事
 日本航空がとうとう潰れた。原因は各メディアで詳しく報道されているように、起こるべくして起こったのだろうが、僕らの若い頃、憧れの会社だった頃を思い出すと、まさにあり得ないことが起こったという感じだ。
 今から35年ほど前になるが、東京へ出張した帰り、熊本に向かうJAL便で、偶然、オフで帰省するJALのパイロットの方と隣り合わせた。世間話をするうちに共通の知人がいることがわかり、話がはずんだ。その知人というのが、僕の家の近所のMさんというお米屋さんだった。その方は僕の高校の先輩でもあったが、かつて航空自衛隊でパイロットとして鳴らした人だった。そのJALのパイロット氏は、Mさんに、かつて教えを乞うたことがあり、Mさんのことをまるで神様のように崇めていた。そのパイロット氏が、その日の搭乗機が離着陸する時、操縦の出来不出来をチェックしていたのが印象的だった。別れ際、Mさんによろしく、と言ったパイロット氏の制服姿がキラキラ輝いて見えたのを今でも思い出す。赤い鶴丸が再び栄光を取り戻す日は来るのだろうか。

ルノワール―伝統と革新

2010-01-20 17:10:03 | その他
 今日から東京・六本木の国立新美術館で「ルノワール―伝統と革新」展が始まった。ルノワールの有名な作品群を集めて展示されているらしいので、できることなら見に行きたいものだが、まぁ難しいだろう。僕は西洋の絵画では何と言ってもルノワールが一番だ。子どもの頃から絵を描くのが好きで、小中学生の時には何度かコンクールに入選したことがある。その頃から、絵画は、まずルノワールという気持は今も変わらない。熊大附属小学校の大先輩でもある藤田嗣治画伯は、ルノワールに会いに行った時、その存在感の凄さに、身がすくんだと述べておられる。先日、ブログに息子の映画監督、ジャン・ルノワールのことを書いたばかりだが、いやはや凄い親子だ。


団扇を持つ若い女

松本清張「霧の旗」 海老蔵&相武紗季でドラマ化!

2010-01-19 15:59:39 | テレビ
 日テレでは「生誕100年2週連続松本清張スペシャル」と銘打って、「霧の旗」と「書道教授」の2本をドラマ化することになったらしい。このうち、「霧の旗」の方は過去に何度も映画やテレビドラマ化されているが、僕は、一番最初の山田洋次監督版「霧の旗」(1965)しか見ていない。珍しくサスペンスに取り組んだ山田監督は、いつもの作品のようなコミカルな要素は一切なく、ヒロインの倍賞千恵子も、あの“さくら”さん的な明るさはカケラも見せずに、この復讐に燃える女を演じている。
 僕にとって、この映画が忘れられない一本になったわけは、清張モノの映画には珍しく、というか唯一というか、わが家の近くが舞台になっているからだ。まずヒロインが熊本市の人であり、発端となる殺人事件が起きるのは寺原という町だし、ヒロインが夜行列車で東京へ向かうのは上熊本駅である。いずれもわが家から歩いて数分のところだ。はたして、今度のドラマは舞台がどこになるかはわからないが、注目して見てみたい。それはさておき、今回のドラマ、市川海老蔵の現代劇初主演が話題になっているが、この物語、ホントの主役はヒロインの柳田桐子の方だからね。演じる相武紗季の出来が問題なんだよな。

リンガーハットは再生するか!?

2010-01-18 23:15:36 | テレビ
 今夜のテレ朝系「報道発 ドキュメンタリ宣言」は、多くの店舗を閉鎖するなど経営の崖っぷちに立たされた「リンガーハット」を取り上げていた。同社では起死回生策として、「安心安全」を掲げて野菜をすべて国産モノに切り替え、それによって上がったコスト分は値上げをしたそうだ。これにより業績は回復の兆しにあるらしい。だが、ちょっと待ってよ!30年以上も前、まだ「リンガーハット」という名前さえ付いてなかった頃からのファンの一人として言いたい。業績が悪くなった原因は、番組でも言っていたように、不況や値下げ競争の影響もあるのは事実だろうが、その前にハッキリと言う。「マズくなった」から客が引いたのではないか。この10数年、食べる度に味が落ちていくのを感じていた。80年頃だったか、外食産業としては先駆けとして「QC活動」に取り組んだことをビジネス誌などでも取り上げられたことを憶えている。あの頃のマインドはどこに行ったのだろうか。いくら、国内の安全な野菜に切り替えようと、具の盛りを大きくしようと、まず麺とスープが美味しくなければ、客は戻らないだろう。かつての美味しさをぜひ取り戻してもらいたい。

今年に入って観たDVDを評価してみた・・・

2010-01-17 23:25:42 | 映画
 今年に入ってから観たDVD8本を、先月亡くなった双葉十三郎さん式の評価をしてみた。ちなみに双葉式評価基準は次のとおり。

★★★★以上・・・断然優秀
★★★☆☆☆・・・上出来の部類
★★★☆☆・・・・・見ておいてよい作品
★★★☆・・・・・・・〃
★★★・・・・・・・・・まぁ水準程度
★★☆☆☆・・・・・水準以下だが多少の興味あり
★★☆☆・・・・・・・篤志家だけどうぞ

◆劔岳 点の記(2008) 木村大作監督
  映像は素晴らしい。ただそれだけ。(★★★☆)
◆昴-スバル-(2008) リー・チーガイ監督
  黒木メイサの魅力が今いち出し切れていない。(★★★)
◆裸の島(1960) 新藤兼人監督
  “神”の領域!(★★★★☆☆☆)
◆野菊の墓(1981) 澤井信一郎監督
  木下恵介版にひけをとらない。(★★★☆☆)
◆ノン子36歳 (家事手伝い)(2008) 熊切和嘉監督
  アンニュイ感はよし。ヒロインの心情、結局理解できず。(★★★☆)
◆アマルフィ 女神の報酬(2009) 西谷弘監督
  スタッフもキャストも頑張っているのはわかるが、今いち盛り上がらず。(★★★☆)
◆群青 愛が沈んだ海の色(2009) 中川陽介監督
  長澤まさみって作品に恵まれないなぁ。(★★★)
◆天使(2005) 宮坂まゆみ監督
  こんなファンタジーをもっと作るべき。ホントの天使は森迫永依ちゃんか。(★★★☆☆)


裸の島