徒然なか話

誰も聞いてくれないおやじのしょうもない話

江戸時代の貨幣価値

2022-12-21 17:44:28 | 経済
 テレビドラマといえば最近ではほとんどBS放送の旧作時代劇しか見ていません。「鬼平犯科帳」「剣客商売」「夜桜お染」などのシリーズを楽しんでいます。時代劇を見ていて気になるのが、物の値段がよくわからないことです。よく、茶店でお茶と団子でひと休みした旅人が「おやじ、ここに置いとくぜ」と銭をバンコの上に置いて出て行く場面がありますが、いったいいくら払ったのか、現代のお金に換算するといくらになるのかが気になります。
 江戸時代の貨幣価値を現代の金額に換算した資料はたくさんありますし、ネット上にも多くの解説がありますが、それぞれ微妙に違っていたりしてよくわからないというのが正直なところです。
 落語「時そば」などでお馴染みの屋台蕎麦をとってみても、「二八蕎麦」といわれたように十六文という安価な蕎麦の代名詞となっていたようですが、現代の価格に換算すると時代によって260円位の時もあれば、その倍の520円位の時もあったようです。
※右の絵は歌舞伎「小袖曾我薊色縫」(こそでそがあざみのいろぬい)に登場する蕎麦屋になりすました盗賊「鬼あざみ清吉」(歌川国貞 筆)

 江戸時代の人々にとってやはり基準となるのは米の値段だと思います。米価について明治大学博物館の資料には次のように説明されています。

 江戸時代と現代ではお金や品物の価値が違うため、正確には換算できません。今回は目安として、米価と比較して換算した金額で確認してみましょう。幕末の金1両は現在だと約 10,000 円と考えられます。金1両は銀 60 匁なので、銀1匁は約 170 円となります。また慶應二年(1866)秋、米1石(約 150 キロ)の値段は銀 585 匁です。以上を踏まえて、お米の値段を確認してみましょう。江戸の米、150 キロは現代では約 99,450 円になります。5キロにすると、約 3,315 円です。現在のお米は5キロだいたい 2,000 円です。なので、慶応期のお米は、現代のお米の約 1.7 倍で販売されていたことがわかります。

 下の映像「花魁三分二朱」は端唄「奴さん」の替え歌ですが、「奴さん」には多くの替え歌があり、この「花魁三分二朱」はいわば「奴さん」の花魁編です。「花魁三分二朱」とは花魁の揚げ代が三分二朱という意味ですが、1両は四分、一分は四朱ですから、上述のように幕末には1両が今日の1万円くらいということで、三分二朱は約8,750円になるわけです。唄われている花魁の嘆きも分かるような気がします。