徒然なか話

誰も聞いてくれないおやじのしょうもない話

聖観世音菩薩さまに初お参り!

2017-05-30 17:48:33 | 歴史
 熊本駅西側の万日山中腹にある来迎院を訪ね、松本喜三郎の傑作活人形の一つ「聖観世音菩薩(しょうかんぜおんぼさつ)像」にお参りした。喜三郎作のもう一つの傑作、浄国寺の「谷汲観音像」にはこれまで3回お参りしているが、「聖観世音菩薩」は初めて。明治20年に喜三郎から寄進されて以来、今日まで130年にわたり有為転変を見続けてきたそのお顔は神々しいまでに厳か。世の中の安寧と家族の健康を祈って手を合わせた。

 
聖観世音菩薩さま(来迎院) と 谷汲観音さま(浄国寺)

山鹿灯籠まつりの美観を増す無電柱化

2017-05-28 18:29:08 | ニュース
 山鹿市のさくら湯の前を走る国道325号沿いの無電柱化が実現したというニュースをテレビで見た。今日、用事があって山鹿を通ったので確認してみた。たしかに以前に比べると風景がスッキリした感じがする。山鹿市の中心市街地は、「歴史まちづくり法」に基づく重点区域に指定されており、他に先駆けて無電柱化に取り組んでいるという。
 観光スポットに行ってカメラを向けた時、いつもガッカリするのが空中に張り巡らされた電線。美観を損なうこと甚だしい。熊本市でも一部の街で無電柱化が始まっているが、既に全国的に進められているというので、観光スポットでガッカリすることも徐々に減って行くだろう。
 今年の山鹿灯籠まつりでは、スッキリした背景の中、これまで以上に情趣に富む灯籠踊りが見られることだろう。

▼電線が消えスッキリした山鹿温泉さくら湯の前の風景





▼山鹿灯籠踊りの美観がさらに

さくら湯の前で

高瀬裏川花しょうぶまつり

2017-05-27 21:12:47 | イベント
 毎年恒例、玉名市の「高瀬裏川花しょうぶまつり」が始まった。まだ花しょうぶは咲き始めたばかり。6月初旬が見ごろか。花しょうぶを愛でるだけではなく、往年の「高瀬米」の積出港の名残りを味わうのも楽しみの一つ。



これがかつて高瀬川と呼ばれた菊池川


そしてこちらが高瀬川に沿って開削された裏川。この水路を使い小舟で米俵などを揚げおろす。


かつて廻船問屋や船宿などの町屋が立ち並んだ裏川沿いの河岸の雰囲気が残る


花しょうぶ





今は流域は麦の稔りの季節

▼肥後の俵積出し唄

規工川佑輔先生の訃報

2017-05-26 19:58:19 | 友人・知人

 教育者、歌人そして海達公子の発掘者でもあった規工川佑輔先生が旅立たれた。病との闘い続きの最晩年だった。先生とのお付き合いが始まって10年になる。きっかけは僕が先生の著書「評伝 海達公子」を読んで感動し、いきなり電話をさせていただいたことに始まる。それまで先生から教えていただいたこともなければ、お会いしたことすらなかった。ただ、僕の母校熊大附中に、かつて勤務しておられたという接点があった。大いに話がはずみ、今度一度会おうという話になった。後日、玉名の某所でお会いし、海達公子の調査研究について、微に入り細を穿った話をお伺いした。それから、度々ご自宅を訪問させていただいたり、海達公子顕彰の催しにご一緒したりした。さらに公子の最後の生き証人である叔母様・岩本澄さんをご紹介いただき、岩本さん宅へも何度もお邪魔した。お聞きした話の中には、既に著書に書かれたものはもちろん、まだ書かれていないもの、あるいは書けないものも含まれていた。だが、先生はまだ話つくしてはおられないと思う。それを聞くことができないのが残念でならない。
 今頃きっと先生は、一昨年、先立たれた叔母様や、幼な子の時に会っている海達公子さんたちと再会を喜び合っておられるに違いない。享年87歳。合掌

蓮台寺 ~檜垣のあとどころ~

2017-05-25 21:22:15 | 文芸
宗不旱の歌集「茘支」より「蓮台寺」

 蓮台寺は熊本市近郊の古寺。
 後撰集、大和物語などに伝ふる檜垣のあとどころなり。暮春の一夕たまたまここに遊ぶ。

くれかかる霞ぐもりを橋銭出だし蓮台寺橋ふみならしゆく
寺の縁に腰かけゐつつ見あげたる霞曇りの松の暗しや
蝋の燭のてらすに見ればあなゑまし檜垣嫗は立膝したり
立膝の姿にはあれど面影になまめく媚をつくるにあらず
立膝のあらはなる見ればいにしへも女は老いて退屈しけむ
人の息かかりゐるとは思はねどまづ心触る口もとと見む
芝庭にちらばりゐるを春越しの楢のふる葉と座敷より見る
後撰より今につたふる息吹かと人を思ひをれば牡丹のゆらぐ
寺よりのかへり道をば夏の夜に廓のさなか来かかりにけり
蕎麦や風ひと夜くすりと書きてある看板の前牡丹のくづる







檜垣の塔


檜垣の井戸

▼備考
 歌集「茘支(レイシ)にがうり」は昭和16年に出版。「蓮台寺」と題するこの10首を含む。
 蓮台寺橋はまだ有料だったのかとか、帰り道に二本木遊郭を通って帰ったとか、「風一夜薬」など当時のうどん屋や蕎麦屋のキャッチフレーズが登場したりとか時代を感じさせる。

ロジャー・ムーアの西部劇

2017-05-24 17:59:38 | 映画
 知っている俳優さんが亡くなると、きまってその人の若い頃を思い出し、寂しいけれど成功してよかったなぁと思う。昨日他界されたイギリスのロジャー・ムーアさんも同じで、この人の代名詞のようになったジェームズ・ボンドよりも先に、若手の頃出演したアメリカ映画「セブンセントの決闘」を思い出した。イギリス紳士らしからぬ西部劇への出演で、当時西部劇のスターだったクリント・ウォーカーの相棒役だった。なんともたよりない相棒で、後年、ジェームズ・ボンド役で大スターになるなど夢にも思わなかった。
 この「セブンセントの決闘」には僕個人の忘れられない思い出がある。見たのは高校1年夏の東京合宿中。練習休みの日に、チームメイトと一緒に、渋谷で公開が始まったばかりのジョン・フォード監督の「馬上の二人」を見に行った。当時の僕にはこの作品の面白さがいま一つ理解できなかった。不満足感が残ったまま東横線で宿舎のある元住吉まで帰って来ると、「セブンセントの決闘」の看板が。まだ時間もあるし、ハシゴするかとチームメイトを誘い、その映画がかかっている二番館へ直行した。当時の僕にはこちらの方がよっぽど面白かった。満足して宿舎へ帰ると、初めての上京で地理不案内な僕たちを心配して渋谷の映画館まで案内してくれた先輩がおかんむりだった。先輩がおっしゃるには映画が終わる時間を見計らって迎えに行ってくれたという。そんなこととはつゆ知らず、さっさと映画館のハシゴをしてしまったことを謝るしかなかった。そんな思い出が残るロジャー・ムーアの西部劇なのである。


セブンセントの決闘(1961)におけるクリント・ウォーカーとロジャー・ムーア

かくれ里の危機

2017-05-23 21:07:34 | 熊本
陰暗き岩間の水と聞きしかばたづねても来しけふの暑さに(宗不旱)
若葉しててのひらほどの山の寺(夏目漱石)

 これはいずれも成道寺についての詩歌。上は放浪の歌人と呼ばれた宗不旱(そうふかん、明治~昭和前期)の「成道寺」と題する一首。下は漱石が若葉の頃に成道寺を訪れて詠んだ一句。
 成道寺は熊本市の西部、柿原の奥まった所にある山寺で590年の歴史を有する古刹。岩間から清水が湧き出で、緑に覆われた境内は往古より避暑地となっていた。そんな風情を歌ったのが上の二人の詩歌である。
 熊本市内からほど近く、「かくれ里」とも呼べるような成道寺とその周辺の景観が、熊本西環状道路の開通により激変しつつある。はたして我々の次の世代までこの貴重な文化遺産は残せるだろうか。


成道寺の湧水が清流・成道寺川となって田畑を潤す


新緑が美しい古刹の初夏


キショウブが鮮やかなコントラストをなしているが、実はこれ要注意外来生物なんだそうな


緑のとばりに覆われたような成道寺本堂


そんな成道寺も目前にコンクリートの塊が迫り周辺の景観は激変

二千年にわたる菊池川流域の米作り文化

2017-05-21 20:15:29 | 歴史
 二千年にわたり継承されてきた菊池川流域(玉名市・山鹿市・菊池市・和水町)の米作り文化が、先々月、文化庁より日本遺産として認定されました。
 構成遺産を見ますと、いずれも僕にとってなじみ深いところばかりですが、いつかこれらの遺産群を巡るツアーをやりたいものです。

▼主な構成遺産

菊池渓谷(菊池市)


菊池の松囃子(菊池市)


番所地区の棚田(山鹿市)


鞠智城跡(山鹿市)


八千代座(山鹿市)


歴史的町並み(山鹿市)


江田船山古墳(和水町)


梅林天満宮流鏑馬(玉名市)


菊池川下流域の船着場(玉名市)


旧玉名干拓施設(玉名市)

昭和34年 再建工事中の熊本城天守閣

2017-05-20 23:05:27 | 歴史
 現在、熊本地震からの復興のシンボルとして熊本城天守閣の復旧工事が進んでいるが、今から58年前、その天守閣の再建工事が行われていた。1億8千万円の工事費と1年半の工期を経て、翌年の昭和35年9月、熊本国体開催に間に合わせるように完成した。
 現在、二の丸広場となっているあたりには熊本大学医学部の建物が見える。この2年後には、ここに熊本第二高校が開校する。また、現在、加藤神社がある櫨方のあたりは木が茂って見えないが、一時、図書館があったと記憶している。監物台は何なのかよくわからない。


♬ 筑後柳川 水の上

2017-05-19 23:41:49 | 音楽芸能






北原白秋「柳河風俗詩」より

水路
 ほうつほうつと螢が飛ぶ…………
 しとやかな柳河の水路を、
 定紋つけた古い提灯が、ぼんやりと、
 その舟の芝居もどりの家族を眠らす。

 ほうつほうつと螢が飛ぶ…………
 あるかない月の夜に鳴く蟲のこゑ、
 向ひあつた白壁の薄あかりに、
 何かしら燐のやうなおそれがむせぶ。

 ほうつほうつと螢が飛ぶ…………
 草のにほひする低い土橋を、
 いくつか棹をかがめて通りすぎ、
 ひそひそと話してる町の方へ。

 ほうつほうつと螢が飛ぶ…………
 とある家のひたひたと光る汲水場(クミツ)に
 ほんのり立つた女の素肌
 何を見てゐるのか、ふけた夜のこころに。

さながら熊本城再建ショー!

2017-05-18 19:53:28 | 熊本
 だいたい週に2回は加藤神社を訪れて大天守修復工事の進捗状況を見ているが、観光客が引きも切らず詰めかけている。今まで、年始や祭事の時以外に、これほど多くの人々が加藤神社の鳥居をくぐるのを見たことがない。
 熊本地震で甚大な被害を被った不幸を逆手にとって、まるで壮大な「熊本城再建ショー」を見せる一大観光スポットに仕立て上げたようだ。熊本人もなかなかしたたかだ。


雨月物語

2017-05-16 21:22:10 | 映画
 今日のカレンダーを見ていたら、日本映画の巨匠・溝口健二監督の誕生日と記されていた。いまなお世界で高い評価を受けている溝口監督の作品は「雨月物語」「山椒大夫」「近松物語」「祇園の姉妹」「新・平家物語」など、名作ぞろいだが、なかでも僕はやはり「雨月物語」が一番好きだ。怪しい幽玄の美の世界に引きずり込まれるようだ。
 この映画は江戸時代後期、上田秋成が著した「雨月物語」の9編の中から、「浅茅が宿(あさぢがやど)」と「蛇性の婬(じゃせいのいん)」の二編を原作としている。この原作もまたなかなか面白い。
 この「雨月物語」が公開されたのは昭和28年(1953)だが、この年は豊作の年で、邦画では小津安二郎監督の「東京物語」、洋画ではウィリアム・ワイラー監督の「ローマの休日」、ジョージ・スティーヴンス監督の「シェーン」など時代を超えて支持を受けている名作揃いである。映画産業が一つのピークを極めた時期だったのだろう。

▼「雨月物語」より