「赤ちゃんポスト」を題材にした日テレのドラマが物議を醸しているようだ。現場の悩みや苦しみ悲しみなど全く取材もせず、話題性だけを求めたドラマだからこうなるのは当たり前だ。
「こうのとりのゆりかご」がスタートした7年ほど前、何度かこれについてブログに書き込んだことがある。あらためて読み直してみた。
▼赤ちゃんポスト(2006-11-10)
熊本市島崎の慈恵病院が実施すると発表した「赤ちゃんポスト」が、全国的にセンセーショナルな話題となっている。今年84歳になる母は永年、養護教員を務めていたが、その昔、この病院とも連携していたことがあるそうで、今回の話も全然違和感はないと言う。この病院は、明治時代の後期、フランス人のカトリックの神父がハンセン病患者の救済施設として創設した起源を持つ。母が島崎で養護教員として活躍していた終戦直後の頃は、戦災孤児などを救済する孤児院として「待労院」の名前で知られていたそうだ。もともとカトリックは堕胎を許していない。従って、望まれずして生まれてきた子供たちの養育に宗教的使命感を持っている。そんな歴史的、宗教的な背景も知らず、TVなどではコメンテーターたちが勝手なコメントをし、「赤ちゃんポスト」なる名称だけが一人歩きしている。
▼赤ちゃんポスト 「こうのとりのゆりかご」(2006-11-13)
先日書き込んだ「赤ちゃんポスト」の記事と同趣旨のメールを慈恵病院に送っていたが、それに対し、看護部長から次のような返事が来た。
メール有難うございます。ご心配頂いている「赤ちゃんポスト」の名称ですが、当院では「こうのとりのゆりかご」と名づけ、そこに預けることが目的ではありません。妊娠かっとうしている多くの女性に“ご相談ください”とメッセージを伝えるものです。相談により尊い命が救われます。その事が大切だと考えています。今後共、よろしくご支援願います。お母様によろしくお伝え下さいませ。
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〒 860-0073
熊本市島崎6丁目1番27号
医療法人 聖粒会 慈恵病院
(TEL) 096-355-6131
(FAX) 096-359-8221
看護部長 T・Y
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▼こうのとりのゆりかご(2007-04-05)
熊本市がついに、こうのとりのゆりかご(俗称:赤ちゃんポスト)の設置を許可した。まずは、全国に先駆けて設置を申請した慈恵病院・蓮田院長とそれを許可した幸山熊本市長に敬意を表したい。全国的に物議をかもす中、「抵抗感を感じる・・・」などと何の解決にもならない間抜けな発言をした首相もいたが、もともとこの件に抵抗感を感じない人などいないのだ。それは蓮田院長や幸山市長とて同じだろうと思う。しかし、それより優先すべきは子どもたちの生命を守ることである。政治的な判断というのは、すべて優先順位をどうつけるかにあると思う。その意味で今回の一件は大変教訓を含んだ歴史的判断になるだろう。
▼こうのとりのゆりかご(2007-05-16)
慈恵病院の「こうのとりのゆりかご(俗称:赤ちゃんポスト)」にさっそく子どもが預けられたということでマスコミも大騒ぎしている。まぁ、第1号だから騒ぐのもわからなくはないが、そのために作られた施設だから別に驚くことはない。預けられたのが3歳児ということが意外だったらしいが、年齢制限をしているわけじゃなし、当然ありうることだ。元は一緒だった待労院(同じ敷地内にあるハンセン病等の救済施設)では終戦直後、孤児の救済もやっていたから何も驚いていないと思う。それにしても第1号のニュースを受けての閣僚たちのアホな発言はあきれるばかりだ。相変わらず「あってはならないことだ。」だと。どうして、まず「子ども一人の命が救われてよかった!」と言えないのだろう。すべて大人の目線でしか物事を見ていない。今の世の中、昨日起こった母親殺しは言うに及ばず、「あってはならない」ことだらけだ。そんな社会にしてしまった政治の罪は大きい。