徒然なか話

誰も聞いてくれないおやじのしょうもない話

死者の書 ~「にっぽんの芸能」より~

2019-08-31 15:22:31 | 音楽芸能
 昨夜の「にっぽんの芸能」(Eテレ)は、これまで300曲以上を作曲し、83歳の今も創作活動を続ける長唄三味線方の人間国宝今藤政太郎さんの音楽世界を取り上げた。若い頃作った挑戦的な曲「六斎念仏意想曲」と自ら「最後の大作」と称する「死者の書」が披露された。
 特に「死者の書」は、民俗学の巨人、折口信夫の作品の中でも最も難解とされる「死者の書」をもとに音楽化したもの。折口信夫の小説世界が音楽で表現できたのかどうかは、残念ながら勉強不足な僕には評価できない。ただ、ミもフタもないことを言ってしまえば、モチーフとなっている中将姫の当麻曼荼羅伝説を荘厳するありがたい音楽は奏者が見えない方がよかった。
 近々、新屋敷の金剛寺中将姫に参拝に行こうという気になった。


▼死者の書(あらすじ)
 死後百年の時が流れ、墓の中で目覚めた大津皇子。謀反の罪を着せられ処刑された皇子は死の直前に恋した耳面刀自(ミミモノトジ)を思い出します。その頃、藤原郎女(イラツメ)という少女が家出し、ある寺に迷い込んでいました。そこで出会った老女から、皇子の魂がミミモノトジの血をひくあなたを呼んでいると教えられます。夢うつつの中で魂を通わせる皇子とイラツメ。着物の無い皇子のために、イラツメは蓮の糸で衣を織ります。やがて皇子もイラツメも姿を消し、後には尊い極楽浄土が描かれた曼荼羅が残されました。

よみがえる悪夢

2019-08-29 18:17:08 | ニュース
 九州北部を中心に降り続く記録的な大雨が各地に甚大な被害をもたらしている。佐賀県大町町では鉄工所の工場から大量の油が流出。流出した油量は最大で約8万リットルに達し、六角川下流の広範囲にわたり、油が流れ着いており、その対策に追われているというニュースが流れた。このニュースを聞きながら、48年前の悪夢がよみがえった。

 1971年、玉名に建設中の工場がまもなく操業を開始するという3月下旬、集中豪雨に見舞われた。その豪雨は完成間近の新工場にとんでもない事故をもたらした。重油タンクの送油機構がダメージを受け、重油を大量に菊池川に流出させたのだった。事故発生が夕方ですぐに暗くなり、被害の実態を確認できなかったが、川にオイルフェンスを張るなどの応急処置が行われた。翌朝になって唖然。流出口から河口付近まで約4㎞にわたり、両岸とも真っ黒い重油でベッタリと覆い尽くされていた。それからは操業開始を延期し、従業員総出で中和剤を使っての河岸清掃の日々が始まった。その一方、直接の被害者である漁業関係団体との補償交渉が始まった。中でも深刻だったのは養鰻組合。シラスが壊滅的な被害を受けていた。養鰻組合からの要求は金銭補償に加え、シラスの現物補償。総務部門にいた僕は上司とともにシラスの買い付けに仲買業者を走り回る羽目となったのである。


1級河川 菊池川

第18回熊本城島唄コンサート

2019-08-28 20:21:25 | イベント
「秋のくまもとお城まつり」の定番イベントとなった沖縄民謡歌手・古謝美佐子さんの「熊本城島唄コンサート」は今年でもう18回目を数える。
 昨年は、すっかりレギュラーとなった感のある舞踊団花童が、古謝さんが歌う「童神(わらびがみ」に合わせて舞うという初めての趣向もあり、大いに盛り上がった。さて、今年はどんなプログラムが用意されているだろうか。

◆日 時:2019年10月12日(土)17:30~20:00
◆会 場:熊本城二の丸広場
◆出 演:古謝美佐子、佐原一哉、琉球國祭り太鼓熊本支部
     中村花誠、舞踊団花童(熊本市PR特命大使)

▼昨年の島唄コンサート風景



今年の「熊本城薪能」は?

2019-08-27 14:22:29 | イベント
 今年の「秋のくまもとお城まつり」は、熊本城特別公開開始と合わせて10月5日(土)からスタートします。様々なイベントが予定されていますが、その中でも注目のいくつかを紹介します。
 今回はまず、「熊本城薪能」を。昨年は台風の接近で中止、一昨年は主催者側の都合で中止となりましたので、今回は3年ぶりの開催となります。

日 時 2019年10月13日(日)18:30~20:00
会 場 熊本城二の丸広場
番 組
【金春流】仕 舞:竹生島、羽衣
【観世流】舞囃子:経政
     仕 舞:班女
【金春流】 能 :半蔀(はしとみ・はじとみ)
        (あらすじ)
         里の者から、光源氏と夕顔の君の恋物語を聞いた修行僧が、夕顔が咲く寂しげ
         な家を訪ね菩提を弔おうとすると、半蔀を上げて夕顔の霊が現れます。夕顔の
         霊は、光源氏との恋の思い出を語り、舞を舞うのでした。


喜多流 能「半蔀」(2018年藤崎宮例大祭御旅所奉納能 シテ 友枝雄人)

法界廻向 ~カバー写真~

2019-08-26 17:37:51 | 熊本
 この野仏は、平安時代の閨秀歌人、檜垣嫗(ひがきのおうな)が、白川の辺りから、信仰する岩戸観音へ閼伽の水を供えるため日参したと伝えられる山道の胸突き八丁に鎮座まします仏様。近くに湧水が流れている。檜垣嫗の足もとがふらつき、水桶の水をこぼしこぼし登ったので誰が言ったか「檜垣のこぼし坂」と呼ばれる難所。「法界廻向(ほうかいえこう)」と刻まれているが、昔はこの辺りで行き倒れになる人もいたのだろう。「無縁の人であれ成仏を祈って供養を行う」という意味のようだ。天保十三年壬寅(みずのえとら)と刻まれているので、江戸後期の1842年に建てられたものとみられる。


古書店と吹奏楽

2019-08-25 21:15:08 | 
 「新熊本市史」を図書館へ行って見たり、借りて来たりするので、古書店に出てれば購入してもいいかなと上通の河島舒文堂へ出かけた。棚に並べてあったので、特に使用頻度の高い「別編 民俗・文化財」はいくらくらいするのだろうと思って店の方に聞いてみると、なんと新品と同じ値段。なんだ古書じゃないのかい!。6千円を超えるので早々にあきらめた。
 ついでに上通入口のびぷれす広場で行われている「3県交流コンサート」を見に行く。福岡の某銀行グループが毎年実施しているらしく、福岡・熊本・長崎の高校吹奏楽部が交流しているのだそうな。出演校の中に、先日「いのちの電話チャリティ公演」にも出演した国府高校の名前があったので登場を待っていると、何だか妙に寂しい。3年生が引退したので今回は中央高校と合同でとのことだが、それでも他校の半分もいない感じだ。進学を目指すのかどうか、夏が過ぎると3年生は部活を引退するのかと、その現実にも寂しさを感じた。


国府高校&中央高校の演奏

熊本城 二様の石垣に新説!?

2019-08-24 18:01:42 | 歴史
 熊本城の竹の丸から本丸へ登る途中の撮影スポットである「二様の石垣」の築造年代に新説が提示された。(23日付熊日新聞より)提示したのは熊本市・熊本城調査研究センターの鶴嶋俊彦さん。ブラタモリの熊本城編で大仰にコケてみせたあのご仁である。鶴嶋さんによると、これまでいわれてきた、傾斜が緩やかな手前の石垣が加藤時代、奥の急傾斜が細川時代という説には疑問があるという。鶴嶋さんの調査研究によれば石垣の特徴や史料の分析から、どちらも加藤時代に築造されたのではないかという。伝説はしばしば史実になることがあるという肥後考古学会の富田紘一先生のお話を聞いたこともあり、これまで散々聞かされてきた「二様の石垣」の話もひょっとしたら伝説に過ぎなかったのかも。これからの議論が興味深い。


二様の石垣

2012年春、二様の石垣の上、本丸御殿中庭で行われた「桜の宴」で「羽根の禿」を踊るあかね(現はつ喜月乃)とゆりあ

雨の夜、玄宅寺で舞踊を見ながら…

2019-08-24 11:38:15 | 音楽芸能
 半年ほど足が遠のいていた玄宅寺での花童舞踊会を観に行った。先日の出水神社薪能の時、玄宅寺の奥様からお誘いを受けていたこともあったし、中村花誠先生にCD作成のお礼をきちんと言わなければということもあった。雨の金曜日の夕方で車が混んでいて、着いた時にはもう始まっていた。この舞踊会が始まって7年目になるが、久しぶりに行ってみると、かつて前席を占めていた初期のサポーター連が姿を消し、観客の層が随分変わったことに気付いた。花童のメンバーもだいぶ入れ替わったし、こうして時代は変わって行くのだろう。まわるまわるよ時代はまわる…


楽しみな邦楽演奏会

2019-08-23 22:44:33 | 音楽芸能
 毎年、熊本市で開かれる「長谷検校記念 くまもと全国邦楽コンクール」は、今年6月に行われたコンクールで25回を数えたことを記念し、これまでの最優秀賞受賞者が集う「邦楽新鋭展Vol.5」が開かれます。出演者のほとんどを大会の時に見ていますが、超絶技巧の奏者ばかりで再見が楽しみです。
 
 日 時:令和元年11月24日(日) 開場13:30 開演14:00
 会 場:熊本県立劇場 演劇ホール
 入場料:【全席自由】2,000円

 司 会/葛西 聖司(古典芸能解説者)
 ゲスト/藤原 道山(尺八)
 演出・音楽監督/藤本 草(日本伝統文化振興財団理事長)

◆出演
 箏/松井 美千子、清野 さおり、市川 慎、山名 玲璃、佐藤 亜美、今野 玲央
 琵琶/長須 与佳
 尺八/松本 宏平、川村 葵山、石垣 征山、大萩 康喜
 三味線/菊聖 公一、本條 秀五郎


音楽劇 おてもやん

2019-08-22 20:54:54 | 音楽芸能
 劇団ひまわり熊本スタジオの2019年公演を観に行った。今回のテーマは熊本民謡ということもあり、主役のおてもやんを演じた東島希海と永田イネを演じた東島愛海の姉妹は、相変わらず芝居の上手さに加え、日本舞踊や着物の身のこなしはさすがに花童での経験が生きている。
 舞台の全体的な印象としては、トモ(おてもやん)とトジュ姉妹やイネの半生を幹としながら、民謡「おてもやん」が生まれる経緯を描いてはいるが、不必要と思われるエピソードも挿んだりして散漫な印象だったのが残念。
 それはともかく、また次回が楽しみだ。

 
おてもやん役の希海さん            永田イネ役の愛海さん

藤崎八旛宮例大祭の日の料理

2019-08-21 19:56:17 | 歴史
 今年の藤崎八旛宮例大祭は9月16日(月・祝)を御神幸とする日程となった。熊本で最も古式ゆかしい祭の一つであるこの大祭が毎年日にちが変わるというのはどうなんだろう。
 この祭の最終日である御神幸の日には、しきたりにうるさかった祖母の存命中はお決まりの料理があった。それは、赤飯にマンビキ(シイラ)の煮びたし、それに甘酒だった。うちだけかと思っていたら「新熊本市史」の藤崎八旛宮例大祭の項には下記のように記載されており、地域の風習だったことがわかる。

-- 一般の家庭では、祭の日にあわせて甘酒をつくりマンビキの煮びたしという料理に赤飯を炊いて、来客をもてなした。--

 祖母が亡くなった後も母や妻に受け継がれたが、好んで食べる者がいないため、最近では赤飯だけが残っている。なぜ、魚がマンビキなのかという点だが、どうもハッキリしない。この時季の旬の魚であることはもちろんだが、やはり縁起モノだったのだろう。熊本ではマンビキというが、地域によってはマンサクともいい、季節柄、「豊年満作」にかけたのではないかという説もあるようだ。


飾馬飾卸(かざりうまかざりおろし)


マンビキ(シイラ)


それはさておき…

2019-08-20 22:01:12 | 友人・知人
 昨日、同級生のF君が帰省しているので一緒にメシでも食わないか、と同じく同級生のH君から電話があったので、今日の昼、上通の入口に三人で落ち合い、市内でも割と人気の某店へ出かけた。F君と会うのはたしか5年ぶりくらいだ。会えばいつも高校や大学時代の水球にまつわる昔話に花が咲く。F君は大学を卒業後、ちょうど国体を控えていた和歌山県に招かれ教員となった。水球指導のかたわら、ガラが悪い生徒を抑える先生として勇名を馳せていたらしく、最終的には名物校長として教職を務め上げた。教職を引いた後も、わけあって親から離れて暮らさざるを得ない子供たちの養護学校の指導にも関わったらしい。そんな仕事で痛感したのは、今は親になる資格のない若者から生まれた不幸な子供があまりにも多いという現実だったそうだ。生徒たちにはとにかく幼い頃から自立を促す教育をしていたという。含蓄のある話ばかりでとても有意義なひと時を過ごした。
 それはさておき、店先に大きな看板が出ていた「シーフードパスタ」を注文したが、「これのどこが美味いんだろう?」と首をかしげるような代物。外食でパスタなどもう何年もないが、今はこの程度でも人気店になれるのだろうか。昔、城見町にあったイタリア料理店の美味さを懐かしく思い出した。


おてもやんの誤ったイメージ

2019-08-19 20:32:37 | 音楽芸能
 世界大百科事典第2版(平凡社)には民謡「おてもやん」について次のような説明が書かれている。

ユーモラスでとぼけた方言まじりの歌詞で有名な熊本の民謡。1935年赤坂小梅がコロムビアレコードに吹き込んで以来,広く流行して全国的な人気民謡となり、とくに花柳界でお座敷歌としてうたわれた。各地の花柳界でうたわれていた騒ぎ歌《本調子甚句》が熊本に入って《熊本甚句》とよばれたが、最初の一句をとって《おてもやん》の曲目名で定着したものである。不美人の主人公おてもやんのちょっと開きなおった言いぐさが楽しい。

 これを読んで不可解なのは、「不美人の主人公おてもやんの…」のくだりである。民謡「おてもやん」の歌詞をちゃんと読んでもらえばわかると思うが、おてもやんが不美人であることをうかがわせるような言葉はどこにも出て来ない。それではなぜ、おてもやんは大げさな赤チークだったり、眉毛が太かったりという、いわゆる「おてもやんメイク」のイメージになったのか。それは戦後の昭和30年代、隆盛を極めていた「肥後にわか」に登場するおてもという娘が、器量は悪いが気立ては優しいというキャラクターだったことが影響しているようだ。2006年に小山良先生(故人、小山音楽事務所主宰)の著書「くまもと人物紀行 おてもやん」が出版されることにより、作者が永田イネであることやおてもやんのモデルが富永トモ(チモ)であることが広く世に知られることとなった。トモさんは割と背が高く小奇麗な方だったようだ。

 さて、今週21・22日に行われる劇団ひまわりの音楽劇「おてもやん -トモ・イネ物語-」には、ビックリするような美人のおてもやんが登場します。ぜひご覧になってください。



晩夏と日本人

2019-08-18 20:33:26 | 日本文化
 朝晩めっきり涼しくなった。昨日あたりから、すっかり「晩夏」を感じさせる。一年のうちで最もメランコリックな季節である。「晩夏」というのは処暑(8月23日)を過ぎたあたりから9月初めの頃をいうそうだが、人はなぜこの時季になるとメランコリックな気分になるのだろうか。あれほど盛んだった夏が衰えていく、その無常観。四季に恵まれ、その移ろいの中で身に付けて来た日本人特有の感性なのかもしれない。毎年同じことを書いている気がするが、今年も懲りずにユーミンの「晩夏」を聴きたくなった。


いのちの電話チャリティ公演

2019-08-17 18:07:02 | イベント
 記念すべき第20回を迎えた熊本いのちの電話・チャリティ公演が今日、くまもと森都心プラザホールで行われた。「華の熊本 城下町めぐり」と題して、熊本太鼓連盟の4団体による太鼓競演や熊本県吟剣詩舞道連盟の皆さんによる吟詠と剣舞、熊本国府高校吹奏楽部による吹奏楽演奏、舞踊団花童による舞踊などが華やかに繰り広げられ、会場を埋めた観客から盛んな拍手が送られた。
 熊本国府高校吹奏楽部と舞踊団花童のコラボはとても新鮮。