徒然なか話

誰も聞いてくれないおやじのしょうもない話

「奇跡の人(1962)」のアーサー・ペン監督

2010-09-30 19:04:50 | 映画
 「奇跡の人」のアーサー・ペン監督が亡くなった。彼の作品で最もヒットしたのは「俺たちに明日はない(1967)」だと言われている。しかし、「奇跡の人」なくしてアーサー・ペンの成功はあり得なかっただろう。三重苦の偉人ヘレン・ケラーを教育したアン・サリバン先生の物語は、もともと舞台劇としてアン・バンクロフト、パティー・デュークの配役で演じられ、その演出を担当したアーサー・ペンが自ら、同じ配役で映画化したものだ。映画でも二人の演技は凄かった。その年の、アカデミー主演女優賞と助演女優賞をダブル獲得したのは当然といえる。映画デビュー作の「左きゝの拳銃(1958)」も含め、「奇跡の人」以降も「逃亡地帯(1966)」、そして「俺たちに明日はない」など、社会性の強い作品を次々と発表していたが、晩年は徐々に影が薄くなっていったのは残念だ。ちなみに「奇跡の人」とは、ヘレン・ケラーに奇跡を起こしたアン・サリバンのことだ。
※アン・サリバン役のアン・バンクロフトとヘレン・ケラー役のパティー・デューク

“西郷どーん”騒動に決着!

2010-09-29 22:08:01 | 時事
 JR熊本駅に設置されるはずだった九州新幹線全線開業カウントダウンボードに、西郷隆盛をイメージしたキャラクター「西郷どーん」が使われていたため苦情が殺到し、修正を余儀なくされたJR九州は、「新幹線くまもと創りプロジェクト」のキャラクターである「クマモン」を使うと発表した。このニュースを聞いた母がひと言。「なんね、これ!西郷さんの方がまだマシ!」。それはさておき、この問題、僕はどうでもいい。だいいち来年の3月までに熊本駅を使うことはまずないので、カウントダウンボードにお目にかかることはないだろうからだ。そんなことより、あの西郷どーん、ちょっとひどい!着物が左前(死装束)で、しかも目をつぶっている。これは作成者の常識やセンスの問題というより、悪意すら感じられる。また、今回の騒動で、西郷さんが熊本で嫌われているかのような話がネット上で散見されたが、そんなことはない。西南戦争の時だって、熊本の士族の多くは薩軍で戦っているし、日本の近代化を促進した偉人の一人として尊敬しているお年寄りは多い。つまらないことで熊本・鹿児島間に波風を立てないでほしい。

色鮮やかな棚田と絶品がんもどき

2010-09-28 17:44:52 | 熊本
 今日は雨もあがったので、母と家内を伴い、菊鹿町の番所の棚田を見に行く。雲が多かったせいか、初めて行ったちょうど1年前、「ここは天国か!?」と思ったほどの衝撃こそなかったが、黄金と真紅の見事なコントラストは相変わらずだった。ただ、昨年に比べて休耕田が多いような気がする。ここにも農家の高齢化や後継者不足の影響が出ているのだろうか。やがてこんな綺麗な風景も見られなくなるかもしれないと思うと寂しい限りだ。帰りがけ、おいしいと評判の、菊鹿町の「社方豆腐店」に寄って、豆腐とがんもどきを買った。車の中で食べた揚げたてのがんもどきはまさに絶品だった。










愛おしき映画たち・・・その6 ~ グレン・ミラー物語(1954) ~

2010-09-27 19:50:47 | 映画
 多くの映画ファンがそうであるように、僕もグレン・ミラーと聞いて、本人よりも先にジェームズ・スチュワートの顔を思い浮かべるくらい、演じた人のキャラクターが確立した珍しい伝記物だ。もともとジミー・スチュワート自身がユニバーサルに企画を持ち込んだといわれているが、ちょうどこの頃は、アンソニー・マン監督作品に立て続けに主演していた時期で、マン:スチュワートのコンビは、「ウィンチェスター銃'73」など西部劇が多く、音楽物は意外な気がしたものだ。“アメリカの良心”とも謳われたジミー・スチュワートは、アンソニー・マン以外にもフランク・キャプラ、アルフレッド・ヒッチコック、ジョン・フォード、ビリー・ワイルダーなど大監督たちにも重用された。僕のオールタイム・ベストワン男優はジミー・スチュワートだ。さらにこの映画の魅力は妻ヘレンを演じたジューン・アリソンだ。これまた当時彼女には“理想の妻”というような呼び名があったが、ジミー・スチュワートとは都合3回、夫婦役を演じている。ジューン・アリソンはこの映画の他にも「若草物語」や「マッコーネル物語」などを見て大好きになった想い出がある。それからこの映画の最大の魅力はなんといっても“スイング・ジャズ”。ごきげんなグレン・ミラーサウンドが聴ければもう「オール グッド!」。


横井小楠と坂本龍馬の訣別

2010-09-26 23:21:40 | 熊本
 熊本市の市政だよりには「横井小楠 -その業績と生涯-」と題した連載があり、毎号楽しみに読んでいるが、先日、横井小楠記念館を訪問して館長からお聞きした話が、今月号に詳しく掲載されていた。
 ところでテレビの「龍馬伝」の方は、「おや?」と思う場面が多くなり、しばらくお休みをさせていただいている。
======================================================
(略)龍馬個人としては、薩長同盟を画策していた慶応元年(1865)5月、薩摩からの帰りに四時軒に寄っています。その時の様子を徳富蘆花は父一敬から聞いた話として自著『青山白雲』に次のように記しています。
 「坂本(龍馬)は薩摩からの帰りがけと言ったが、今思えば薩長連合(同盟)に骨折る最中であったので、白の琉球絣の単衣に鍔細の大小を差しており、衣服は大久保(利通)の呉れた物と言っていた。酒が出て人物評が始まった。小楠が『おれはどうだ』と聞くと、坂本は『先生は、2階に上がって酒を飲みながら、西郷や大久保共がする芝居を見物していてください。大久保共が行き詰った時はちょいと指図をしてください』。小楠は笑って頷いた。」
 ところが、龍馬側の資料によりますと、幕府による第二次長州征伐のことも話題になり、それに肥後藩が参戦することの是非について議論しています。小楠があくまでも長州の非を断じ、征伐の正当性を主張したことに龍馬が激しく批判し、遂には口論になったということです。その後二人は会うことがありませんでした。


横井小楠と坂本龍馬が激論を戦わした四時軒の座敷

日めくりタイムトラベル ~ 昭和37年! ~

2010-09-25 22:50:57 | テレビ
 今夜のNHK-BS2「日めくりタイムトラベル」は昭和37年だった。昭和37年といえば僕は高校2年、いろんな想い出がある。番組を見ながら、当時、学校の教室でどんなことが話題になっていたかを思い出してみた。番組でも取り上げられていたが、吉永小百合の話題はよく出ていた。この年は「キューポラのある街」で女優としてブレークした年。この映画のこともよく話題になっていて、吉永小百合扮するジュンが突然、生理が始まるシーンが話題になったりした。そんなとこに食いつくなんてやっぱり高校生だったんだなぁ。また、彼女が歌ってヒットした「寒い朝」や「いつでも夢を」なんかもみんなよく歌っていた。あと、映画の話題で憶えているのは「椿三十郎」くらいかな。個人的には「リバティ・バランスを射った男」が記憶に残る。ちょうどインターハイ前の合宿中で、当時あった映画館、大劇の大きなジョン・ウェインの看板を見ながら朝練に通っていたことを思い出す。番組の中で当時の白黒映像を見せられると、とんでもない大昔のように見えるが、僕自身の記憶の中のカラー映像は全然古びていなく、すごいギャップを感じる。

イチロー 10年連続200安打達成! でも・・・

2010-09-24 18:46:42 | スポーツ一般
 眠い目をこすりながら記録達成の瞬間を待った。第2、第3打席と続けて目の醒めるようなクリーンヒットを放ち、あっさり達成した。凄い記録には違いない。だが、一抹の寂しさを感じる。やっぱり野球はチームスポーツ。マリナーズが勝てないと喜びも半減だ。彼が大リーグに身を投じた2001年、マリナーズは強かった。ヤンキースに敗れてリーグチャンピオンにこそなれなかったが、ルー・ピネラ監督のもと年間116勝もした。エドガー・マルチネス、ブレット・ブーン、ジョン・オルルド、マイク・キャメロン、佐々木主浩らがいて、リーグいやワールドチャンピオンになる日も近いと思われた。ところがチームは徐々に弱体化、2008年には遂に年間101敗を喫する下位常連チームになってしまった。イチローより後に海を渡った選手でワールドチャンピオンになった選手は既に何人もいるというのに。イチローがあと何年、大リーグでプレーするかわからないが、チャンピオンリングを手にする日は来るのだろうか。

にっぽん紀行「約束のサクソフォン~鹿児島・沖永良部島~」

2010-09-23 17:27:20 | テレビ
 日本一の実力を誇る小中学生のジャズバンド、リトルチェリーズにいた小学6年のあゆみちゃんは、父親の仕事の都合で、鹿児島市内から沖永良部島に引っ越すことになった。別れ際に顧問の大西先生は、「夏に島へ演奏会に行くので一緒に最後の演奏会を開こう!」とテナーサックスを貸してくれた。島の小学校では心ならずもドラムをまかされたあゆみちゃんは演奏を楽しむことが出来ない。やがて夏が来て、かつてのバンド仲間たちが島へやって来る。大西先生の以前と変わらぬ厳しい指導を受け、仲間たちとリトルチェリーズとして最後の演奏をし、過去との訣別をする。涙を流しながら一生懸命サックスを吹くいたいけなあゆみちゃんの姿を見ながら、涙をこらえることができなかった。転勤族として、何度も子どもたちに転校を強いた僕としては、あゆみちゃんのような子どもの姿を見るのはつらい。

マリエ・ディグビー ~ シンガーソングライター ~

2010-09-22 17:49:00 | 音楽芸能
 昨年の春頃だったか、FMクマモトの生放送にゲスト出演しているのを聴いてその存在を知る。アメリカのシンガーソングライターで、日米のハーフ。お母さんが熊本出身の日本人。お祖母ちゃんが熊本に健在ということで、度々熊本を訪れているそうだ。YouTube上では既に世界中にその名を知られている。どちらかというとカントリー系の持ち味が特徴だ。日本語も流暢で、日本語で歌ったJ-POPのカバーアルバムも出しているが、まだ日本ではなかなか浸透していないのが残念。いい曲と巡り会って、シェリル・クロウやシャナイア・トゥエインのようなカントリー・ポップスのビッグネームになることを期待している。


清正公の遺骨はどこに? ~ 永遠のミステリー ~

2010-09-21 17:52:51 | その他
 鶴屋デパートで行なわれていた「清正公400年遠忌記念 加藤清正と本妙寺の至宝展」が最終日だったので見に行った。最終日ということもあってか、ここ数年に見た展覧会と名の付く催しの中では一番人が入っていた。熊本での“セイショコサン”人気の高さをあらためて実感した。本妙寺に伝わる清正公ゆかりの古文書や書画、甲冑などが展示されていたが、直筆の書状「ゆめの事」や、二条城における豊臣秀頼と徳川家康の会見に立ち会った際、懐中に忍ばせていたという短刀などは特に興味深かった。僧侶をやっている高校の後輩が会場で案内をしていたので、以前からの疑問をぶつけてみた。それは「本妙寺には清正公の遺骨は残っていないのか」ということだ。一般的には、後を継いだ加藤忠広が改易され(1632年)、庄内藩預りとなった時に、墓を荒らされることを怖れて密かに持ち去ったと言われており、現に、今の山形県鶴岡市の天澤寺には清正公のお墓がある。彼の答えは、「本妙寺の地下深く、遺骸はそのままの形で埋葬されている、と本妙寺では言い伝えられている」とのことだった。永遠のミステリーだ。 

藤崎八旛宮秋季例大祭

2010-09-20 20:23:45 | その他
 今日は、藤崎八旛宮の秋季例大祭の最終日。神幸行列が行なわれるクライマックスの日だ。久留米の次男一家も帰って来て、例年どおり、朝5時に起床、6時スタートの神幸行列を見に行った。縁起物だとして、毎年、孫たちには獅子舞に噛まれさせているが、今年はてっぺいが恐怖のあまり大泣きし、周りの観客の失笑を買ってしまった。ここ数年、神幸行列沿道の混雑に恐れをなして、ビデオ撮影はしていなかったが、今年は久しぶりに撮影してみた。




小林桂樹さん・・・

2010-09-19 20:34:11 | 映画

「名もなく貧しく美しく」(1961年)

 この方の出演した映画やドラマは、名作、大作を含め、数え切れないほど観ている。しかし、訃報を聞いてすぐに想い出したのは、「名もなく貧しく美しく」でもなければ「裸の大将」でもなく、また「黒い画集」でも「江分利満氏」でも数々の社長シリーズでもなかった。僕がすぐに想い出したのは次の2本だった。
■「婚約三羽烏」(1956年)
 僕が初めてスクリーンで小林桂樹という俳優を見たのがこの映画だった。戦前に作られた映画のリメイクだったらしいが、三人の若いサラリーマンの恋模様を描いた作品で、その中の一人を演じたのが小林桂樹だった。三者三様のキャラクターの違いと、それぞれの相手役の女優との組み合わせが面白かった。他の二人、宝田明と小泉博よりも小林桂樹に共感を抱いたことを憶えている。 
■「田舎刑事 時間よとまれ」(1977年)テレビドラマ
 渥美清の田舎刑事シリーズの1本で、僕はテレビドラマ史上、傑作中の傑作だと思っている。小林桂樹が演じたのは殺人犯である過去を消し、別人として有力者に成り上がった男の役だった。渥美清との鬼気迫る対決が印象に残るが、人のよいサラリーマン的なイメージを払拭する快演だった。「夢千代日記」などで有名な早坂暁が書いた脚本は、まるで松本清張を思わせる迫力があった。

 あなたがスクリーンに登場するだけで、えも言われぬ安心感を抱いたものです。永い間ありがとうございました。合掌。

ショッキングな屏風絵の変色事故!

2010-09-18 14:38:26 | 時事
 7月24日に見に行った「へるんさんの秘めごと」展の中で、そのおどろおどろしい画風で最も印象深かった、絵師金蔵の屏風絵に変色事故が起きていたというニュースはショッキングだった。しかも、その事故のため、僕が見たのはレプリカだったというのは二重にショックだ。防虫などの目的で行った薫蒸のミスから画面の一部の緑色などが黒色に変色しているというが、熊本市現代美術館は美術品のプロが集まっているはず。その程度のノウハウがなかったのだろうか。起きてしまったことを今さら言ってもしょうがないが、借りた高知県や香南市に対して、熊本県民として恥かしいし、本当に申しわけないと思う。まずは何としても修復に全力をあげてほしい。そして、二度とこの様なことがないよう、今回の事故を教訓にしてほしい。
※写真は変色が見つかった「蘆屋道満大内鑑 葛の葉子別れ」

英国女性ポップス歌手華やかなりし時代・・・

2010-09-17 19:19:44 | 音楽芸能
 今朝、車を運転していたら懐かしい歌声が聴こえてきた。ダスティ・スプリングフィールドの「イフ・ユー・ゴー・アウェイ」だった。この歌はもともとフランスのジャック・ブレルという人の歌だが、歌詞が英訳されてから世界的に大ヒットした。フランク・シナトラやバーブラ・ストライサンドなど、多くの歌手が歌っているが、たしかに僕もダスティ・スプリングフィールドのバージョンが一番印象に残っている。そういえば60年代の前半、イギリスではビートルズを始めとするリバプールサウンドが台頭してきた頃だが、女性ポップス歌手も多士済々だった。中でもよく聴いていたのが、ダスティ・スプリングフィールド、ペトゥラ・クラーク、マリアンヌ・フェイスフルの3人だ。久しぶりに3人の歌を続けて聴いてみた。


ダスティ・スプリングフィールド「二人だけのデート」


ペトゥラ・クラーク「ダウンタウン」


マリアンヌ・フェイスフル「涙あふれて」

愛おしき映画たち・・・その5 ~ ヘッドライト(1956) ~

2010-09-16 19:46:11 | 映画
 フランスのアンリ・ベルヌイユ監督の名作。初老の長距離トラック運転手ジャンは、行きつけのドライブインの若い給仕女クロチルドとふとしたことで恋仲になる。明日への希望のない人生を送っていた二人は、一緒に人生をやり直そうとする。しかし、ジャンは職場でトラブルを起こして失業し、クロチルドは堕胎に失敗して命を落とす。というとてもシンプルではかない恋の物語。ジャンを演じるのが名優ジャン・ギャバン。クロチルドを演じるのが名女優フランソワーズ・アルヌール。アルヌールの儚げな美しさと、全編に流れるジョゼフ・コズマの悲しげなメロディ、それと寒風吹き荒ぶ街道の風景がいつまでも忘れられない。なにせ観たのは随分前のことでディテールはだいぶ忘れているので、“フレンチなオヤジ”さんのブログ「屋根裏のフランス」を参考にさせていただいた。

■屋根裏のフランス
http://dupleix5.blog49.fc2.com/blog-entry-2.html