のら猫の三文小説

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香奈とコシロの子供たち No.160

2013-11-15 00:00:44 | 香奈とコシロの子供たち


あっち、こっちと出てくる湧き水




研究所などの主要な建築も終わり、研究所の中庭に噴水でも作ろうと掘っていたら、突然湧き水が出た。小さい池を作っていたら、どんどん大きくなり大きな池を作る事になった。その水も念のため製薬が調べてみると、分岐状の水やリング状の水が敷地内と同程度含まれていた。これも勿体ないので、水処理をして飲料水にする計画だった。




ジブシティーはもっと凄い事になっていた。ジブ交通が駅に使用するつもりだった山の麓の広場から湧き水が出て、これは威勢が良かった。大きな大きな池を作る事になった。製薬はこれも調べた。これも同じように分岐状の水やリング状の水が敷地内と同程度含まれていた。しかもこれは流量が多かったので、製薬は「いつまでも元気で」の原料に使用しようと思い、今まで駅を立てる積もりの土地に無理を言って、工場を作る事になり、貯水槽に貯めていた。しかし、どんどん出るので、タンクローリーが何回も来て、製薬の工場まで運んだ。



どこにいっても家談議があったので、沙織は不安になり、青不動さんに相談した。青不動さんは、問題は心の中なんだよ、心配するなと言ってくれた。



それでも沙織はジブシテイーに建てる予定の不動マンションの庭にお不動さんの像を置きたいと相談した。青不動さんはそれはそれでいい事だよ、わしの友達を紹介してやろうと言って、珍しい大理石のお不動さんを紹介してくれた。その石仏を置く予定の場所の前から湧き水が出て、小さな池を作り、大きな大きな池に流れ出るようにした。




香奈と恵はお隣さんにもなり、一層仲がよくなり、よく話すようになった。それでも香奈の家の引越しは大変だった。香奈はある時期から、まったく金を気にせず、お不動さんの絵を中心として美術品を購入するようになり、海外のオークションでも香奈が気に入ると、どーんと高値をつけた。


そのためみんなお不動さんの美術品関係のせりにはせり勝てる相手ではないと思い、参加しないようになった、そのためオークションでは安値で落札されるので、まず香奈に、見せにくるようになった。


香奈は出入りの美術商に任せて、本当にいいもので、香奈が気に入るものを、買った。古美術は不思議な世界で、作品の出来以前に、ナンタラと云う仏師が彫ったとか、カンタラと云う絵師が描いたと判るとやたら値段が上がった。偽物もあった。美術商も真贋のわかるおっさんだった。


香奈も、初めはナンタラと云う仏師とか絵師の真偽に拘っていた時期もなかったとは言えないが、青不動さんは、自分から香奈に声をかけてきた。やっぱり、香奈は、自分が気に入るものを買う事にした。ナンタラと云う銘が嘘っぱちのような偽物はさすがに避けた。香奈出入りの美術商も、そんな事にはうるさいおっさんだった。


しかし、無銘ではあるが、香奈がやたらと気に入った作品があった。あのおっさんも、いいものだと思った。香奈は、お不動さんからの声が、聞えてくるような作品は、買う事にした。不思議とそんな作品は高くはなかった。


香奈は、やたらと気に入った美術品を購入していた。香奈のコレクションは、香奈が死んだら、そのほとんどは、美術館に遺贈する事になっていた。青不動さんと大きなお不動さんの絵ともう一つのお不動さんの絵は香奈が初期に買った絵だった。


青不動さんは、香奈の守り本尊で、ジブトラストの守り本尊でもあった。大きなお不動さんともう一つのお不動さんは、猫たちの守り本尊でもあり、税金なんぞは別にして、ジブトラストや香奈ファイナンシャルへの寄贈にしようかとも香奈は考えていた。そんな絵も何点かあった。


香奈の家に置けない美術品の管理などは美術館に任せた。無銘の美術品だった筈が、X線とかナンタラと云われる鑑定方法で、カンタラと云う仏師や絵師の作品くさいとわかったものもあった。


香奈のコレクションは、国宝級の美術品もあったので、美術館にも保管してもらっていたが、やっぱり香奈の家には一杯あった。引越し屋も、そこからそこまでの短い距離なのに、気を使った。絵を展示する部屋もあったが、空調やなんやかやと気を使った。


真理は石仏や木造の仏像のコレクションが多かったので、これ又気を使った。二人の引越しには、美術館の人が立ち会って、アーダコーダと指示していた。


香奈のお不動さんの石仏も、やたら重かった。香奈はコシロの骨を埋めた土を持っていき、石仏の前に埋めた。チャとココがそれぞれ、ここの土も持っていってくれと鳴くので、やっぱりその土も持っていった。


二匹がしんみりしているので、小さいお不動さんの石仏をそれぞれ購入し、小さい2つの石仏を、新しく置いた。


しかし、これには悲しい話があった。チャの奥さん猫は産後の状態が思わしくなく、子猫を置いて亡くなった。唖然としたチャではあったが、奈津美に必死の思いで訴え、その奥さん猫のお葬式をして、骨を庭に埋めた。


ココの旦那猫も猫にしては子煩悩で、子猫たちに会いに来ていたが、見送りにでたココの目の前で車に引かれた。とおりかがった正人に、必死の思いで訴え、お医者さんにつれていったが、もう死んでいた。正人が黙ってお葬式を出し、火葬してくれた。


チャとココには悲しい思い出だった。それだけに子猫たちにはむやみに外に出ないようにいい、自分たちも庭の散歩ぐらいしかしなかった。それ以来、ココは正人に思いを通じる猫チャンネルが出来、チャは奈津美に思いを通じる猫チャンネルが出来ていた。