のら猫の三文小説

のら猫が書いている、小説です。
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新しい子猫たち No.1810

2021-03-28 00:55:42 | 新しい子猫たち 
ジブシティーからの引っ越しの最中 事件が起きた


旦那は 例のバアサンにもきっちりと挨拶に言ったし 離れは通常の一軒家以上の設備が揃っていた事を知っていたし、奥さんにもそう言った。 旦那はあのバアサンに会った。奥さんが順調に歳を取れば ああいう人になるだろうと密かに思って 変な親近感が出た。


ただ奥さんは 自分の化粧道具等 ナンダカンダは持っていきたかった。それでも 今のマンションの部屋はそのまま 残り、子供たちが住むのであって、アーダコーダと悩んだ。旦那もなんでも揃っている家だよといいながらも、文献とか資料、そして蔵書は持っていきかった。それが結構 ドーンと大きくなりそうで、引っ越しトラックは大型にした。


ただそれでは やっばり 空きスペースは結構あった


東京近郊から田舎とは云え大阪近郊の引っ越しなので 大した時間は掛からない筈だった


旦那も奥さんも大型トラックでスペースもあったし、一緒に行った。


荷台で猫の鳴き声がするのに気が付いた。最寄りのサーピスステーションで止まり、荷台を調べると猫が紛れ込んでいた。この猫はサッパリとしていたし、しかも美猫で奥さんが飼いかった品種でもあり、買えば高い品種でもあった。


のら猫ではあるまい どこかで飼われていた猫ではないかと奥さんは言った。旦那は程々猫の言葉が判った。クリスはエンゼルホープ病院本院の幹部医師にとって大物だった


旦那はこの猫に聞いてみた。飼い主さんが心配しているだろう、君は単なる のら猫ではないだろう。猫は答えた。誰も心配してませんよ。近くの動物愛護施設にいる猫ですよ。


旦那はトラックの運転手に行って暫く待ってもらって、猫の云う動物愛護施設と連絡を取った

新しい子猫たち No.1809

2021-03-27 00:51:49 | 新しい子猫たち 
実際に赴任するのは遅れたが病院は既に動き出していた。この人は盛んに出張の形で行っていた。この時 息子たちと一緒に飯を食っていた。この時の経験が この奥さんの決意を固めた


奥さんは損得計算が表に出やすい。息子たちは 旦那の血も引き継ぎ 頭は良かったが 医師はツマラン 割が合わない とかいいだして、理学部と法学部に行っていた


旦那の理想論をいつも聞いていた筈なのに 自分流の損得勘定がまず前面に来る子供たちと話をしていて、 ある時 ぞっとした。これが私なのかと思った。子供は子供とは云え、子供の言っている事は自分が普段言っていた事なのだった


そして両方の両親もあまりにも損得勘定が表に出る 子供たちにとっくに閉口していた。賢い、子供たちと小さい時は盛んに話題にしていたが 最近は子供たちについてふれないし、見に来る事もなくなった。旦那の両親は特にガッカリとしていた。旦那が青年の時は、青年らしい夢を語っていた。この子たちは、損得勘定しかしない。これではね、これで上手く行くなら 世の中は間違っているし、しかし孫たちが上手く行って欲しいしと複雑な思いが出ていた


奥さんは反省して 旦那についていく事にした。子供は親を見て育つ、自分が変わらなければ、この子たちも変わらない、それが漸く判った。長い人生、損得勘定が表に出て、それで通用するとも思えない。子供はもう大きいし、ジブシティーは便利なのだった。

新しい子猫たち No.1808

2021-03-26 00:47:50 | 新しい子猫たち 
この人の赴任が遅れたのには幾つかの原因が重なっていた


大阪のセンターの代表がジブシティーに引っ越して、詳しくエンゼルホープ病院の内部を知り、この人の優秀さに気がつくまで時間が必要だった。エンゼルホープ病院本院の次期エースと神三郎が期待していたので神三郎を説得する時間が要った。もう一つ この人自身の問題もあった。この人は 最終病院構想に納得していて、こんな病院で働いてみたいとは思ってはいたが 奥さんの説得に時間もかかった。奥さんは 悪い人ではないが、何しろお嬢さん育ち。東大でも秀才の この人との縁は周囲も納得してくれたし、彼も秀才らしくなく気さくでいい人だった。


ただ いずれは東大医学部の教授と思っていたのに、エンゼルホープ病院に行くとか言い出して、この時もゴネタ。ただエンゼルホープ病院が奇跡の病院と云われ、普通ではすんなり入れない ジブシティーのマンションも神三郎と云うかカヨコファイナンシャルが手配してくれて、闇の値段では結構高い筈も給料天引きで安い値段で自分たちのものと出来た。天引きされても高い給与だったし、ジブシティーは快適だったし、ご機嫌だった。


それが大阪の田舎町に行くのが 納得できなかった。旦那の理想は判るが ナンで貴方なの。エンゼルホープ病院の幹部として指揮していればいいでしょう と云うワケだった。





新しい子猫たち No.1807

2021-03-25 00:41:50 | 新しい子猫たち 
エンゼルホープ病院の難病センターは 元々治部産科婦人科小児科病院にあって、資金的に余裕のあった エンゼルホープ病院が引き取った。当然ながら 昔から コツコツと難病治療に取り組んできた人たちが多い。しかしエンゼルホープ病院の外科から転身した人がいた。外科では優秀な人だったが、ブラックジャックみたいな 手術の達人とは少し違った人がいて、理論派と言われていて、難病センターに移動してきた。ブラッグジャックみたいな奴がゴロゴロしていて、スーパージイサンたちもいる外科から離れて、冷静になって自分を見つめ直したいと 難病センターに移動してきた。


ソイツは 手術手腕とは別に色々な臨床にも詳しく、神三郎も密かに期待していた。出来る人だけに 今までコツコツと難病センターで苦労してきた人たちとは ある種の異質感があった。それでも最近は難病センターの幹部になっていた。初めはその人は例の 最終病院には移動しない筈だった。ただ初代院長の就任予定の大阪の基礎センターの代表で 治部由来のジイサンが目を付けた。難病だけに拘らずに 自然と振る舞う事が出来る、東大出身だったが学閥意識もなく、しかも理論にも詳しい、次期院長にもなれる人だと あのジイサンは惚れ込んだ。神三郎にも頼んだし、コイツも口説いた


幅広い分野を統括できる部署を任せる事になって大阪の田舎町に移動する事になった。突然だったし、住む場所も決まらない、病院の近くのあのバアサンの離れに引っ越す事になった。離れと云っても同じ敷地内と云うだけで 普通の一軒家、しかも病院にも近いのだった

新しい子猫たち No.1806

2021-03-24 00:41:50 | 新しい子猫たち 
その山も瑠璃興業と香奈オフィスは調査した。その山も吃驚する程 レアメタルが多い、ただ最初の山 程ではない。ガタンと減ってはいないがそれでも大分違う。局所的に集中していた可能性が高い。敷地内は どっぶりとレアメタルがあるようだが そんな場所はむしろ稀。偏在しているのがレアメタルの特徴と云えた。それに最初の山から離れると離れる程 レアメタルが少なくなった。二つ目の山と奥の山との境界の部分は普通と差はなかった。


バアサンにその山の奥について聞いた。財産分けの時に前の二つの山は 私名義にして、その奥の山は子供たち名義にしたのだとバアサンは言った。


瑠璃興業と香奈オフィスはそれを聞いて ピーンときた。レアメタルは不思議な出方をする。金、金と思って発掘しても出ないものだった。この二つの山から出た量、地下深く眠るレアメタルだけでも大変な量と云えた。ハゲタカの瑠璃興業であってもそれ以上の対応をしようと思わなかった原因の一つでもあった


カヨコファイナンシャルの アイツ は バアサンに 毎年それなりの金が入るようにスキームを組んだ。カヨコファイナンシャルにも もっとドーンと入るようには当然したのではあるが。


この事があって バアサンはカヨコファイナンシャルのアイツを深く信用するようになって、離れの一つをエンゼルホープ病院の医師のために貸す事になった