のら猫の三文小説

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新しい子猫たち No.1421

2018-02-28 00:42:24 | 新しい子猫たち 

化学 と 紡績 は、過去の確執 どちらが純子の本家かの意識が強すぎた


 


紡績の中央研究所 は 今となっては世界でも有数の化学系の研究所 化学は会社の名前とは異なり、バイオ関係に研究を進めていたが、今でも根幹の化学製品は紡績の中研の特許とか研究が支えていた。もっと有機的に、紡績の中研の発明、研究が活用できれば、もっと伸びるのだった


 


アメリカの子会社は 紡績と化学の合弁会社として 伸びていた。アメリカの世界有数の化学関係の会社も出資して 研究中心の会社して伸びていた。紡績の研究所は有名だったし、この会社は紡績の研究所の評価を高めていた。 更なる発展をするには、もっと有機的な協力関係を作るのが大切とみんな頭では判ってはいたが、両社の首脳に具体的な話が近づくとどうしても ウチが本家の意識が出てしまう


 


今回の社外取締役は、洋太郎の推薦といいながら、洋太郎の狙いがはっきりとしない、治部レーヨンの影のバックとも言えた二郎でさえ、洋太郎の本音が見えないと云っていた。


 


この時の洋太郎はそんな特別な意識はなかったのだから当然だった。ただ優秀な人材に対する 洋太郎の保護意識がそうさせていた。洋太郎は表の誠実、愚直一直線の単純な人間ではない事は役員クラスになると百も承知の事で洋太郎の本音はナニかをみんな意識してしてしまうだけの話だった。この時は優秀な人材を埋もれさせるのは経営者としてもっとも恥ずべき行為と云う、それこそ、純子の精神に沿った洋太郎の思いからだった。


 


話をしてみると、単なる会計ゴロ、会計の専門家だけでなく、エンゼルホープ病院、付属とも言えた、遺伝子治療研究所を財政面で支えた人物らしい。コイツを使って 紡績と化学の垣根を超えた協力関係を推進する事が出来るかもしれない と両社の役員連中はそう思っていた。


 


紡績の社長の清太郎 化学の社長もそもそも その意識が強いが、洋太郎とか化学の会長となるとどうしても本家意識が出てくる、紡績の清太郎も化学の社長もそうした目に見えないラインに近づくと言葉使いが慎重になりがちだった


 


この時は洋太郎の推薦だったし、話をした洋治も化学の会長もコイツの優秀さは判った。あんな人を使わない手はないと周囲に言っていた。それこれ 純子の精神と云うのは、みんなに判っていた。


 


 


新しい子猫たち No.1420

2018-02-27 00:39:34 | 新しい子猫たち 

治部レーヨンは 一部上場会社 取締役になるのには株主総会の賛同が必要だった。まだ株主総会の時期は少し先だった。


 


社外取締役と云っても 加代子の意見も聞かないといけなかったが 加代子はあっさりと承諾した。少し時間を経って コイツの意見も聞いた。コイツもあっさりと承諾した


 


オッサンはこうなると思い、時間を空けた。アイツが加代子さんに相談するのは見えていた


 


承諾すると、洋太郎の所に挨拶に行く、オッサンもそうしろと言って洋太郎に頼んだ、洋太郎は息子の副会長の二郎、孫の社長の清太郎も呼んで挨拶を受けた。清太郎は又連絡しますが 紡績の役員会で挨拶をお願いしますとか言った


 


治部レーヨンは元々は化学と紡績の作った会社、両社は大株主でもあった。化学は紡績の子会社であるが株主比率は低く、完全子会社ではなく、上場もしている。


 


洋太郎は弟の洋治にも話した 洋治は今は化学の役職にもついていないが 個人として 化学の株主でもあって、影の天皇とも言われていて、配下を会長にしていて、この会長が表の天皇と言われている


 


洋治は会長と話して、社長以下の主要な役員を家に呼び、コイツの挨拶を受けた。社長は又連絡しますが 化学の役員会で挨拶をお願いしますとか言った


 


化学と紡績の役員たちは こっそりと会合を持っていた。紡績と化学 は 双方が 本家意識があって 中々上手くいかない、それを突破できる話がコイツに出来るかもしれないのだった


新しい子猫たち No.1419

2018-02-26 00:36:12 | 新しい子猫たち 

初めはどうでもいい話が続いたが


 


洋太郎は言った


他人には知られたくない個人の事情は人はみんな持っている。君がそれを表立って問題にしようとしたいとは思わないが、それを暴き立てるのはよくないよ、暴きたてなくともその資料はどうする、流失する事もある。彼は優秀な人ではある。加代子さんはそれを知っている。加代子さんから昔相談を受けた事を突然と思い出してね


 


彼は いわゆる私生児だった。それが大手の会計事務所では問題視されていた。それを加代子が引き抜いた形だったような。一般公募の形を取ったが既に決まっていた話だった


 


おやっさんは 調べるのではなく、話をしていて感じたのだろう


 


では周囲との折り合いが悪かったのは何だったのだろう、ふと気が付いた、タックスヘイブンの会計の問題を彼は気にしていて、加代子にも相談したのだろう、もうあの問題は解決したので、今は和気藹々の雰囲気に戻った、そう考えると納得できる。折角上手くいっているのに、そんな資料が出てしまうと 又 騒ぎの元を作ってしまう


 


洋太郎はそれを言いたかったのだろうと突然思った。このオッサンと洋太郎はどうでもいい事を話していた。洋太郎は突然と アイツを治部レーヨンの社外取締役にしたいとか言い出した。病院関係も落ち着いたのだろう。そんなに時間は取らせないよ、全体的な経理を見てもらうだけだよ


 


このオッサンは感じた。洋太郎は彼を高く評価していて、万一の時の助け船をだしている、君の所の処遇が間違ったら、彼は貰うよ


 


このオッサンは言った、


加代子さんにも相談して、彼の気持ちも聞いてみます。彼は病院関係の経理の中心人物ですから、そんなに多くの時間は避けませんよ


 


洋太郎は


判っているよ 全体的な総括と意見を聞きたいだけだし、治部レーヨンにもそれなりの経理の人は置いているから迷惑をかけないと思うよ


 


このオッサンは帰ってきて すぐに調査機関にさっきの話はなかった事にしてと連絡した。昔の事を掘り返しては不味い、知らなくてもいい事があると思った。あっさりと調査機関もそうですかと言った。洋太郎に連絡したなと思ったが黙っていた


 


治部の凄さをこのオッサンは感じた。自分の事もそうだったのかもしれないが、加代子は何にも言わない。このオッサンにも個人的事情はあったが加代子はそれを話をした事もなかった。自分もそうしないといけないと思っていた


 


おやっさん 恐るべし、調査機関ではなしに、おやっさんの人格の広さ 懐の広さでナントナク判るのか、アイツが話をしたのか、今となっては もう どうでもいい事なんだろうね。おやっさんの人間力と云うのだろう。自分でも 人間力をある程度計算していたが、予想以上だったな、世間は広い。


 


 


 


新しい子猫たち No.1418

2018-02-25 00:32:17 | 新しい子猫たち 

このオッサンには おやっさんの話は意外だった


 


ジブシティーにある日本のカヨコファイナンシャルのオフィスに行ってみた


 


近くにあるのに行った事は稀だった。用事がある時は担当を呼びつけるのが一般的だった


 


和気藹々とした雰囲気が漂っていた


 


いい事なんだけど 拍子抜けの感じがした。表面的な用事は簡単にすみ、さっさと帰った。役員連中との折り合いが悪いのはどこにいった


 


おやっさん の 言っていた 個人的事情とはなんだろうと ふと疑問に思った。洋太郎から紹介を受けて使っていた調査機関に調べてくれと依頼を出した


 


直ぐに 思いがけず 洋太郎から電話があって、ヒマならちょっとこないかと言われた。


新しい子猫たち No.1417

2018-02-24 00:29:28 | 新しい子猫たち 

加代子のアメリカの会社の責任者 は流石に心配になって 月曜日に おやっさんに電話をかけた


 


日本に長いとは云え、電話をするのは珍しい。洋太郎とは電話はするが 洋太郎はああ見えて、英語はペラペラなので、緊張感がなかった


 


おやっさん に電話して、アイツはご迷惑をかけましたか と聞いて、おやっさん は少し長い沈黙があった。ナニかしたのかと不安になった程だった。


 


おやっさん


あんな人がいるんですね、カヨコファナンシャルの人材には感心しました。あの方には色々とご苦労をかけました。グループ企業の幹部たちも集まってきて、日程を変更してもらい話をしてもらった。彼が問題のある人と貴方が言った真意が判らなくて とてもいい人なのに。


 


アメリカの会社の責任者


加代子さんの信頼が厚くて、みんなとの折り合いが決定的に悪くても、私でさえ手が出さないのです。


 


おやっさん


ほう 加代子さんは流石ですね。私からいいにくいが あの人には個人的な事情があることは事実でもよく出来た人です。周囲との折り合いが悪いのは、むしろ周囲の方に問題があるのでは