のら猫の三文小説

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新しい子猫たち No.1962

2021-08-31 02:31:31 | 新しい子猫たち 
高齢者用のレアメタルサプリは非常に高い 栄養補助食品扱いの薬、元々値段なんて気にしない、敷地内の治部一族向けに作られたもの、いやあまりにも高価なので、嫌がる製薬に無理言って作らせた。純度も高い方がいいだろうとして作ったのだ。


あの男の子も初めは曽祖父の使用していたものを使っていた、骨関係の専用アプリが出て、病院からの支給になった。ジブシティーの金持ち層は、エンゼルホープ病院の治療代とか支給される薬代などは、タダとは云え、実費程度は余分に寄付すると云う慣わしがあった。一応値段は判るようになっていた。製薬は原価が下がると価格も下げるのであるが この時は病院の方がミスした、どっちにしても金を貰わないと云う 軽い気もあって 改定するのを忘れていた。


あの男の子は、未成年でもあり、父親の保険の中で処理されていて、父親はそれを見て高い薬だなとふと本音を漏らした。曾祖父のジイサンは横にいて、アホな事を言うな、命と金を比較するな ワシが代わりに寄付しておく、子供の前で金の話はするな と怒った


ただこの子は生真面目と云うか 細かい事を気にする性格だった。一緒にいる時間の長い 曾祖父はそれを知って、わざわざ あの子がいる時に カヨコファイナンシャルの資産管理担当と 神之助の金庫番のオッサンに来てもらい、ウチには金があるんだよ と云う話題をした。


その時にカヨコファイナンシャルの資産管理担当は ちょっとした芸をした。田舎に山をお持ちですよね、レアメタルの試験採掘をしてもらいませんか、みんなの役にも立つし、見つかったら 儲けは大きい。資産も今でも巨額ですが もっと増えます。曾祖父が頼んだ事だった。あの子の表情がナーンダとなるのを曾祖父もカヨコファイナンシャルの資産管理担当も神之助の金庫番のオッサンも見た、


あの子が席を外した時に、曽祖父は あの子には苦労するよ、細かい所に気がつくのはいいんだけど。自分の薬代が高いらしいと子供たちに言っていたんだね、気にしているんだ、レアメタルなんぞ出ても出なくてもいいから 頼むよと言っていた。金庫番のオッサンも本当に細かい所まで気がつきますね、ただあの子の資産もタイトルの優勝金額も大きく、単なる中学生のものではないのにと云った。


曽祖父はそれはあの子は生まれてくる子供のために置いておく金、あの子自身も健康に自信がなくなっていた時があってね 生まれてくる子のために 自分の出来る事はそれぐらい とか子供たちに言っていてね みんなはきっと元気になるよと慰めたらしい。


金庫番のオッサンも まあナントいうか 神之助さんと似てますよ、豪放磊落で神のように儲けるのに、不思議に細かい事にも気が付く人です。神之助さんもしきりに娘の神香さんに残す金を気にしていた時があります、神之助さんがあの子を気に入っているのも判ります。


ただ あの男の子は急速に元気になって 腰のだるさ、痛さ などは無くなってきていた。ただ一時の危機感はそのままだった。難病センターの医師も観察とか検査の手を緩めなかったのも原因していた。


体は元気、気力も復活していたのに、危機感だけが あの子にはあった。

新しい子猫たち No.1961

2021-08-30 02:27:07 | 新しい子猫たち 
エンゼルホープ病院の難病センターは、エンゼルホープ病院とはいいながら、設立は治部産婦人科小児科病院で、コツコツと難病の治療研究をしていた奴らだった。エンゼルホープ病院は神三郎が東大出身でいつしか東大閥となったが 治部産婦人科小児科病院は日の当たらない各種大学出身者か多かったのだ。その上 儲かりそうもない難病センターには東大卒なんかいない。エンゼルホープ病院は高報酬であり、人員配置も余裕を持っているが、これは財政基盤が裕福で且つ、院長の神三郎が難病治療に理解があると云う、この病院の特殊事情によるものだった。本能的に日の当たる場所にいる人には反発してしまうのだ。


院長代行は外科からの転出組で、いわばよそ者意識が難病センターにはあった。


しかも難病分野で レアメタルは幾つかの難病に効能がある事は実は知られていたが、これも面白くはない。効能がある事は歓迎だったが、いままでは我々は何していたのかと云う本質的問題にもいきつく


あれやこれやもあって、ああそうとは彼らは言えなかった


神三郎は複雑な意識の問題がある事は知ってはいたが 神三郎は医師、効能がある可能性のある薬はそれを突き留めるのが先決と 難病センターを口説き、難病センターも本質的には 難病に悩む人たちにとって効能がある薬が見つかる事は歓迎であって、反発は自分たちの感情によるものと理解はしていて、神三郎の説得に応じた


そして大阪の病院を中心とした 全国のエンゼルホープ病院の関係先で、この高齢者用のレアメタルサプリが骨の難病に対して、効能実験が始まったのだ


そしてそれが意外など効いた


そして製薬では 骨関係に使われると聞いて、別のレアメタルサプリを提示してきた。実は骨関係だけなら、レアメタルの純度が落としたサプリが実はよく効いた。これは判っていた事だったが、全体的には高純度のレアメタルを使ったサプリが 多くの病気には効いたので、純度の高いレアメタルを使っていたのだ。骨関係だけなら、この比較的純度の低いレアメタルを使用した方が効くと彼らは知っていた。しかもそれ以外の成分は同一であって、単にレアメタルの純度の違いしかない。


ここで薬を交換してみた。効能はドーンと上がったのだ


そして 価格もドーンと下がった。レアメタルの価格は高純度になると爆発用弾薬への転用が可能となり、国際的には高い価格になる。これは精錬費用の問題だけではなく、秘密の国際条約があった。


その国際条約の規格設定がある純度よりも下がると 価格はドーンと下がるのだ。


製薬としても安い価格設定を求められた事もあって研究所と話してみて判った。骨関係だけなら この純度の方が むしろ効くのですと研究所がいい、ナーンダとなった。そして この骨関係専用のレアメタルサプリの誕生となった。

新しい子猫たち No.1960

2021-08-29 02:23:32 | 新しい子猫たち 
ところが あの男の子がそのサプリを飲んでから、日増しに症状は緩和し、腰のだるさはなくなり、レントゲン検査でも脊椎の間隔も修正されていった。しまいには DNA検査からの症状の危機を示す数字も改善されていった


ただ難病センターの担当も含めて 難病センターは動かなかった。継続して観察の姿勢を崩さなかった。なにしろ具体的な治療はほとんど していないと彼らは思っていた


ただ院長代行は 久しぶりに本院に来て、あの男の子を見ると改善していた気がしたので難病センターによって 検査結果も見た。これは明らかに改善していると院長代行は思った。話を聞いてみると高齢者用のレアメタルのサプリを飲んでいるらしいと担当者は言った。


院長代行は 大阪の病院を通じて 日本全体の難病治療にもあたっているといってもいい。神三郎とかエンゼルホープ病院の首脳と相談して、日本全国で この高齢者用のレアメタルサプリを 骨の問題で悩んでいる人たちに投与する事を決めた。何が効いているかを突き止めるために 医学研究所は製薬と協議し、事務局は カヨコファイナンシャルと連絡して この高価なサプリをタダで投与する許可まで取った。高いサプリなんだけど カヨコファイナンシャルの理屈として金貰うワケにはイカンのであった。ただ製薬に対して もう少し安くはデキンのかとの要望は出した。製薬もこのサプリの効能を広めてくれるし、他の効能が得られるかもしれないと思って 価格を安くする事に同意した。


そして症例は少ないものの 全国で骨関係の症例で苦しんでいた人の症状は改善していった。中には顕著といっていいほど劇的に効いている例もあった

新しい子猫たち No.1959

2021-08-28 02:20:47 | 新しい子猫たち 
回りの状況は 大きく変わっていたが 両家の人たちにとってはそんな事は ほとんど気にならなかった。とりあえず あの子の健康が大事なのだ。


中学校は普段に変わらなく接していた。ただ あの男の子の両親は 担当の先生にあって 現在の状況について報告をしていた。担当は校長に話して、無理なら体育の授業は見学でも構わないと云って、体育の先生にもその事を告げていた。


難病センターの担当も具体的な対応があったワケではなかった。DNA分析が示す危機的な状況も症例が少なく、理解が難しいのが現状、研究もほとんど進んでいない。あまり患者が少ないと研究する医師も少ないのだった


あの男の子は 曽祖父が飲んでいた 高齢者用のレアメタルサプリが気になっていた。ジイサンは腰が弱く、直ぐにダルクなる癖があって、このサプリを飲んで 腰が良くなっていた。あの男の子は 自分にも効くのではないかと思って、生真面目だけに難病センターの担当に事前に聞いていた。担当はそんなサプリなんぞ効くものかと思ったが、他に具体的な薬もないし、不妊傾向があると云っても、この子は既に 父親、それにそんな事を言っている状況では当然なかった。製薬に聞いてもたいした答えは返ってこなかったが、一日三回食前に飲んでと言われ、その事をこの男の子に告げた。


この担当はそんな事は直ぐに忘れてしまった。定期的に男の子の状態をチェックするしかなかった。脊椎間に 軟骨成分にも似たものを少量注射していたが生育期でもあって、ほんの少量しか注射できない。ほとんど 効果的な対応を出来なくて焦っていた

新しい子猫たち No.1958

2021-08-27 02:17:52 | 新しい子猫たち 
あの男の子も 女の子も 特定の人たちにとっては有名、ある三流週刊誌が 男の子と女の子を揶揄した記事を書いた。この週刊誌にとっては まだましな書き方だったが


リトルホワイト事務局の怒りは凄く、正義弁護士と悪徳弁護士が結託して、民事どころか刑事でも攻めた。刑事にはなりにくい事件の筈が 積極的に 名誉棄損の意思を認め 略式起訴で罰金を支払った。民事でも謝り、小銭ではあったが慰謝料も払い、謝罪の記事を載せ、週刊誌は廃刊となった。リトルホワイト事務局の怒りの凄さを知って 取引した。そしてリトルホワイト事務局の計らいで別の名前の週刊誌に変わったのは言うまでもなかった


資産家のオッサンも 中絶の話をした事を悔やみ、それ以後 世間体は全く気にしなくなった。自分にとって大切な存在は 世間体ではなくて、奥さんと子供たちだった事に気が付いた。そしてリトルホワイト事務局の勧めに応じて 裁判もしたのだ。これ以降こんな事をする奴らを撲滅するためです と彼らは言った


奥さんも資産家のオッサンを見直していた


これ以降 この関係で記事を書く所は パッタリとなくなった